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約束〜必ずもう一度君に〜

矢崎未峻

さぁ、どうしよう??

 ようやく、街に着きました。街に、着きました!!
 この世界に来て初めての街。どんなところか端的に述べよう。テンプレだ。中世ヨーロッパ風の街並み。としか表現しようのない光景。うん、テンプレだ。

「面白くないな」

 さて、そんなことはともかく、街に着いたんだ。予定通り、ここに来るまでに手に入れた素材やらなんやらを売りに行こうではないか!!
 ・・・と、思ったのだが。よくよく考えればどこで売ればいいのか皆目見当もつかん。

「てな訳で、案内してほしいんだが?」

「えっと、どこに?」

 おっと、思考の続きをそのまま伝えてしまった。
 ちなみに現在、ユーリと二人きりである。なぜか、簡単な話だ。自由人二人が速攻消えたので3人になり、アリシアは別の個人的用があるとかで別行動。そして今に至るというわけだ。

「あれ?聞いてる?」

「っと、悪い悪い。それで、なんだっけ?」

「いや、ユウキ君が案内してほしいって言って、どこに案内すればいいか聞き返したんだけど?」

「ああ、そうだったな。えっと、案内してほしい場所だが、素材の売れるとこに案内してくれ」

「それなら先に冒険者ギルドに行って冒険者登録しようよ」

「?なんで?」

「その方が素材が高く売れるからだよ」

「なるほどな。じゃあ、早速行こう。案内よろしく!」

「は〜い♪」

 その笑顔はズルイだろ。
 それは置いといて、肝心の冒険者ギルドだが、案外近いとこにあった。距離でいうと歩いて数分の距離。
 そんことより、冒険者ギルドデカすぎるだろ!国会議事堂並みのデカさだな。・・・自分で言っといてなんだが、この例えはどうなんだ?
 俺が驚いている間にユーリはさっさと中に入っていく。慌てて付いて行き少し遅れて中に入る。
 ああ、うん。そういう展開な。面倒クセェ!
 乱闘騒ぎが起こってました。ここでもテンプレですよ。うんざりだ。

「わぁ、すごいタイミングで来ちゃったね〜」

「まあ、無視して行こうぜ」

「あ、ユウキ君、今はやめといた方が・・・」

 ユーリの忠告は遅かった。
 忠告が聞こえた時には、乱闘騒ぎの真っ只中に放り込まれていた。
 どうやら、野次馬の1人が俺が新人だと言うのに気付いたらしく、面白がって放り込んだらしい。
 全く、面倒クセェ。

「あぁ?なんだテメェ」「文句でもあんのか?あぁ!?」

「「ぶっ殺すぞ!!」」

 なんでそうなる!あんたら実は仲良いのかよ!息ぴったりじゃん!
 と言う3つのツッコミが浮かんだが、どれから行けばいいか分からず、結局固まってしまった。
 それをビビって動かないと捉えたらしいその2人は、仲良く同時に殴りかかって来た。
 放たれた2つの拳を呆然と見ながら、最小限の動きで回避する。
 勢い余った2人はつんのめり数歩前に出る。その勢いを利用し、足を払い、2人を転ばす。
 ここまで1秒ほど。

「ったく、いきなり殴りかかって来るとか頭おかしいんじゃねぇのかよ!巻き込むのやめろよな!?」

 さすがにイラっとしたので一言怒鳴ってから堂々と受付の方まで歩いていく。
 気付けばギルド内は静まり返っていた。
 内心、焦っていた。

(あっれ〜?俺なんかやらかした!?やっちまった!?いや、待て待て!先に手を出して来たのはあっちだ。つまり俺は返り討ちにしただけ。何も変なことはしてない。・・・訳ねぇだろ!!それだ!もう絶対それだ!ヤベェ、いきなりやらかした〜。思わず返り討ちにしたけど考えて行動すべきだった〜!!)

 心の中は嵐だったが、表には出さず受付の女の人に話しかける。

「あの、登録したいんですけど?」

「・・・あ、はい!で、では、これに血を垂らしてください」

 何か水晶的なの出て来たんですけど?え、なに待って。てっきり紙に何か記入するとかそんなんだと思ってたんだけど?
 まあ、いいか。
 差し出されたナイフを使い、指を少し切り、血を垂らす。
 すると水晶が光り出し、カードが形成されていく。

「はい、これで終わりです。どうぞ、お受け取り下さい」

 営業スマイルで渡されたカードを見ると、俺の名前とスキルのみが書かれていた。

「ありがとうございました」

 こちらも営業スマイルならぬ外面スマイルでお礼を述べ、ユーリの元に戻る。
 道中、様々な目を向けられた。
 あぁ、やっぱ完全にやらかしてるわ〜。

「お帰りなさい、ユウキ君。見事にやらかしたね♪」

「そんな可愛い顔で精神攻撃してくるのやめて。泣くよ俺」

 天使なのに悪魔な言葉を受けながらこちらも冗談で返し、尚も様々な目を向けられていたのでさっさと退散する。
 ユーリはずっと笑っていた。
 酷いな〜。

「おい、いつまで笑ってんだよ?流石に傷つくぞ」

「ふふっ、ごめんね。だって、面白かったんだもん」

「ったく、人の気も知らないで」

 結局、散々笑い続けた後、当初の予定だった素材を売りに行くため、次の場所に案内してくれた。
 たどり着いた場所は、鍛冶屋だった。
 なんだ、普通に鍛冶屋で売れるのか。
 中に入り、カウンターに素材を出した。
 店員は女の子だった。意外だな、おっさんかと思ってた。

「すみません、これ売りたいんだけど?」

「は、はい!少々お待ちください!あ、依頼はいいんですか?」

「場合によっちゃ依頼もするかもね。とにかく鑑定して、ここの素材だけで作れそうなものがあれば教えてよ」

「かしこまりました。鑑定が終わるまで店内をご覧ください」

 とは言われても、鑑定の仕方が気になった。
 しばらく眺めてたらユーリに睨まれたので見るのをやめ、店内を見渡す。すると防具が目に入ったので思い出したことがあった。

「そういや、ユーリ、俺の服って今どんな感じ?」

「あ!そう言えば、渡しそびれてたね。できてるよ」

 どうやら完成していたらしい。次々と取り出される服を見て、思わず感嘆のため息が出た。
 作業が早いと思ったのはもちろん。何よりも完成度が高いのだ。
 いくつか服を渡された、見て、合わせて、しまう。サイズは全てぴったりだった。
 しかし、多いな。頼んだのは確かに俺だが、服の数が想定していたより多い。しばらく困りそうにないのでありがたいが。

「これで、最後!」

 そう言って出された黒いコートをみて今度こそ感嘆のため、声が漏れた。
 質、デザイン、サイズ、全て完璧。素材はブラックウルフのものだろう。

「どう?これが1番出来が良くてね!自信作なんだ〜」

 楽しそうに話すユーリを見て頬が緩む。
 これはこのまま着たままにすることにした。

「うん、良い!気に入った!本当にありがとな、ユーリ」

「えへへ〜、良かった〜。気に入って貰えて」

 ふむ、最高の笑顔だ。可愛い。

「えと、あの、何?」

「ん、いや、悪い。ついな。ダメだったか?」

「ううん!そんなことないよ?」

「そうか、そりゃ良かった」

 何が起きたかと言うと、俺がユーリの頭を撫でていたのだ。無意識のうちに。
 気付かなかった。無意識に手が伸びるとか、ヤバイな俺。

「ふぅ、お待たせしました。鑑定が終わりました」

 この人、傍目に見るとイチャついているように見えていたはずの俺たちのやり取りに全く気付いてないのか?
 いや、ただ集中し過ぎてそんなことに気を回す余裕がなかっただけか。

「鑑定の結果ですが、このまま依頼をされないのであれば金貨50枚ほど、依頼をされるのであればこちらのリストからお選び下さい。ここに書いてあるものが今回の素材から作れるものです」

 わざわざリストを作ってくれたらしい。金額も書いているのでとても良心的だ。
 さて、何が作れるかな。

 ・ボーンガントレット
 ・ボーングリーブ
 ・黒狼のブーツ
 ・ウルフガントレット
 ・ウルフグリーブ
 ・虎双牙
 ・狼爪
 ・虎爪
 ・牙短剣
 ・双牙短剣
 ・虎剣牙
 ・双虎剣牙
 ・ボーンランス
 ・ボーンソード
 ・ボーンアックス
 ・ボーンレイピア
 ・ウッドロッド
 ・フォートレスツリーロッド
 ・ウルフブレスレット
 ・剣歯虎の腕輪
 ・ウルフピアス
 ・剣歯虎ベルト
 ・ウルフベルト
 ・緑石のネックレス
 ・ウルフソード

 リストはこれだけ、流石に多いな。
 いくつか惹かれるものもあったし、何個か依頼するか。さて、どうしよう?

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