記憶共有的異世界物語
第62話:飽きる女神
「そんなに殺気立たなくてもいいさね...」
ヴィクセンは子供をなだめる様にそう言った。
舐められている。
なんと傲慢な女神なのだろうか?
<a href="//19508.mitemin.net/i257175/" target="_blank"><img src="//19508.mitemin.net/userpageimage/viewimagebig/icode/i257175/" alt="挿絵(By みてみん)" border="0"></a>
気持ち悪く笑っている。
僕が。
分かっているさ。僕は今超ワクワクしている。
【ウッドソード】
地面を掘り返し、そこから槍を取り出した。
「これまた物騒さね....でもまぁそっちがやる気なら話は早いさね」
気付くとヴィクセンの頬に紅い紋章が浮かんでいた。
その顔から白狐面が連想される。
辺りの空間が歪み、気付くと神社の様な場所に居た。
「幻術か...」
槍をヴィクセンに投げる。
槍はまっすぐ投げられたが、ヴィクセンに当たる直前にぐにゃりと方向を変えた。
【ウッドソード】
槍を元の形に戻し、銃に【再構成】する。
弾丸は最初から込められている。そう作った。
ヴィクセンに対して数発打ったがどれも手応えは感じなかった。
「アンタなんでそんなに銃の扱いに慣れてるさね....」
ヴィクセンが耳元でそう囁いた。
さっきまで目の前にいたのにいつの間にか僕の真後ろの耳元まで近づいていた。
反射的に銃で殴ったがそれもスカで終わった。
「ウッドソードで作ったものだからな。元から僕にフィットする」
「そう...」
幻術...これほどまでに厄介とは。
無駄な抵抗を繰り返しても全く意味を成さないだろう。
何かこの幻術の穴を見つけない限り僕に勝ち目は無い。
何か...。
何か。
幻術...ヴィクセンに当たらない攻撃...。
ヴィクセンの位置さえ掴めれば...。
そうか!
【ウッドソード】
極端に体力を消耗する。
しかし今そんな悠長な事は言ってられない。
幻術で神社になっているが元の場所から移動した感覚は無い。
ならば地面はずっと地面のままだ。
だから地面を盛り上げた。
ビンゴ。
【ウッドソード】
2回目の詠唱で地面を檻に変えた。
体を押さえつける簡素なものだったが、それでも僕からすれば十分だった。
そこにヴィクセンは見えない。
しかしそこにちゃんといるのだ。
【ウッドソード】
3度目の詠唱で僕は再び銃を作り、檻に撃ち込んだ。
パァーン...と甲高い音が辺りに響き、幻術が解けた。
やっ...?
違う。
目の前には突然変異によって産まれたモンスターの死骸があった。
頭には弾丸が打ち込まれており、僕が殺した事を理解した。
「ほらほら、セッカチに攻撃しようとしてくるからさね...無益な殺生はあまり感心しないさね」
その煽りは僕の内心の深いところまでを怒りで埋めた。
これほどまでに不快な煽りがあるだろうか。
この煽りを入れるが為に命を奪う...。
クソ。
「攻撃ってのはこうするものさね」
フッ...とヴィクセンは消えて、急に目の前0距離で現れた。
ヴィクセンはその場からジャンプし月面宙返り蹴りを僕に喰らわせる。
その場に叩き込まれた僕の額から血が流れるのがわかる。
猛烈な痛みとクラクラする意識の中、ヴィクセンの狂気的な笑みが僕の内心をえぐる。
クソッタレ。
フゥ...。
一旦落ち着こう。
相手を煽るならまだしも、煽られて攻撃が単調になっては意味がない。
【ウッドソード】
僕の傷口を止血して、完全に回復させた。
ヴィクセンに威勢の笑みを見せたが、彼女の狂気的な笑みに若干表情が引きずってしまった。
彼女が右手を上げると宙に無数の文字が浮かび上がった。
僕が理解できる範囲だと【陰・陽・攻・防・異・同・汚・美】などがあったが、その文字がこちらに突進してきて僕はその意味を理解した。
全ての文字が攻撃だった。
一つ一つの文字が別の攻撃を仕掛けてくる。
陰が光を奪い、陽が僕を燃やす。
攻が僕をグサグサ刺し、防が僕が攻撃を防ぐ腕をほどく。
異が僕の四肢をねじり、同が折れた骨を無理やり治そうとする。
汚が僕の足を奪い、美が炎の威力を上げる。
全ての文字が全く別の攻撃をしてくる。
ヴィクセンは次から次へと新しい文字を生み出しては僕に飛ばしていた。
「普通はもっと抵抗するもんさね....」
「ヘヘ...これでも猛抵抗してるんだがな」
ウッドソードを使って攻撃されては治してを繰り返している。
全く...痛みを感じない訳ではないんだがな...。
「つまんないなぁ....それがアンタの全力さね?」
そう言ってヴィクセンは大きな一文字を作り出した。
【死】
その一文字の重みと能力は考えるまでもなく分かった。
あーあ。こりゃマズイ。
死の文字はゆっくりと近づいてくる。
必死に地面に固定された足を動かす。
自分の脚を切断してすぐ再生させたが、逃げる前に別の文字に捕まる。
正直ここまで強いとは思ってもいなかった。
ヴィクセンに対してではない。
この小さな文字に対してだ。
文字一つの能力は大したことないくせに、集団で行動されると極端に厄介になる。
死の文字はゆっくりと辺りのものを吸い込みながらこちらに近づいてくる。
近づくほどその大きさに圧倒されるばかりだが、その一文字の禍々しさと言ったらもう...。
「なんと言うか期待外れさね....ミレイ・ノルヴァの目も落ちたもんさね」
ヴィクセンの声のトーンが落ちて、おもちゃに飽きた子供のような話し方になった。
その目にハイライトは入っておらず、病的な目の隈がより濃く見えた。
マズイ....死ぬ。
ヴィクセンは子供をなだめる様にそう言った。
舐められている。
なんと傲慢な女神なのだろうか?
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気持ち悪く笑っている。
僕が。
分かっているさ。僕は今超ワクワクしている。
【ウッドソード】
地面を掘り返し、そこから槍を取り出した。
「これまた物騒さね....でもまぁそっちがやる気なら話は早いさね」
気付くとヴィクセンの頬に紅い紋章が浮かんでいた。
その顔から白狐面が連想される。
辺りの空間が歪み、気付くと神社の様な場所に居た。
「幻術か...」
槍をヴィクセンに投げる。
槍はまっすぐ投げられたが、ヴィクセンに当たる直前にぐにゃりと方向を変えた。
【ウッドソード】
槍を元の形に戻し、銃に【再構成】する。
弾丸は最初から込められている。そう作った。
ヴィクセンに対して数発打ったがどれも手応えは感じなかった。
「アンタなんでそんなに銃の扱いに慣れてるさね....」
ヴィクセンが耳元でそう囁いた。
さっきまで目の前にいたのにいつの間にか僕の真後ろの耳元まで近づいていた。
反射的に銃で殴ったがそれもスカで終わった。
「ウッドソードで作ったものだからな。元から僕にフィットする」
「そう...」
幻術...これほどまでに厄介とは。
無駄な抵抗を繰り返しても全く意味を成さないだろう。
何かこの幻術の穴を見つけない限り僕に勝ち目は無い。
何か...。
何か。
幻術...ヴィクセンに当たらない攻撃...。
ヴィクセンの位置さえ掴めれば...。
そうか!
【ウッドソード】
極端に体力を消耗する。
しかし今そんな悠長な事は言ってられない。
幻術で神社になっているが元の場所から移動した感覚は無い。
ならば地面はずっと地面のままだ。
だから地面を盛り上げた。
ビンゴ。
【ウッドソード】
2回目の詠唱で地面を檻に変えた。
体を押さえつける簡素なものだったが、それでも僕からすれば十分だった。
そこにヴィクセンは見えない。
しかしそこにちゃんといるのだ。
【ウッドソード】
3度目の詠唱で僕は再び銃を作り、檻に撃ち込んだ。
パァーン...と甲高い音が辺りに響き、幻術が解けた。
やっ...?
違う。
目の前には突然変異によって産まれたモンスターの死骸があった。
頭には弾丸が打ち込まれており、僕が殺した事を理解した。
「ほらほら、セッカチに攻撃しようとしてくるからさね...無益な殺生はあまり感心しないさね」
その煽りは僕の内心の深いところまでを怒りで埋めた。
これほどまでに不快な煽りがあるだろうか。
この煽りを入れるが為に命を奪う...。
クソ。
「攻撃ってのはこうするものさね」
フッ...とヴィクセンは消えて、急に目の前0距離で現れた。
ヴィクセンはその場からジャンプし月面宙返り蹴りを僕に喰らわせる。
その場に叩き込まれた僕の額から血が流れるのがわかる。
猛烈な痛みとクラクラする意識の中、ヴィクセンの狂気的な笑みが僕の内心をえぐる。
クソッタレ。
フゥ...。
一旦落ち着こう。
相手を煽るならまだしも、煽られて攻撃が単調になっては意味がない。
【ウッドソード】
僕の傷口を止血して、完全に回復させた。
ヴィクセンに威勢の笑みを見せたが、彼女の狂気的な笑みに若干表情が引きずってしまった。
彼女が右手を上げると宙に無数の文字が浮かび上がった。
僕が理解できる範囲だと【陰・陽・攻・防・異・同・汚・美】などがあったが、その文字がこちらに突進してきて僕はその意味を理解した。
全ての文字が攻撃だった。
一つ一つの文字が別の攻撃を仕掛けてくる。
陰が光を奪い、陽が僕を燃やす。
攻が僕をグサグサ刺し、防が僕が攻撃を防ぐ腕をほどく。
異が僕の四肢をねじり、同が折れた骨を無理やり治そうとする。
汚が僕の足を奪い、美が炎の威力を上げる。
全ての文字が全く別の攻撃をしてくる。
ヴィクセンは次から次へと新しい文字を生み出しては僕に飛ばしていた。
「普通はもっと抵抗するもんさね....」
「ヘヘ...これでも猛抵抗してるんだがな」
ウッドソードを使って攻撃されては治してを繰り返している。
全く...痛みを感じない訳ではないんだがな...。
「つまんないなぁ....それがアンタの全力さね?」
そう言ってヴィクセンは大きな一文字を作り出した。
【死】
その一文字の重みと能力は考えるまでもなく分かった。
あーあ。こりゃマズイ。
死の文字はゆっくりと近づいてくる。
必死に地面に固定された足を動かす。
自分の脚を切断してすぐ再生させたが、逃げる前に別の文字に捕まる。
正直ここまで強いとは思ってもいなかった。
ヴィクセンに対してではない。
この小さな文字に対してだ。
文字一つの能力は大したことないくせに、集団で行動されると極端に厄介になる。
死の文字はゆっくりと辺りのものを吸い込みながらこちらに近づいてくる。
近づくほどその大きさに圧倒されるばかりだが、その一文字の禍々しさと言ったらもう...。
「なんと言うか期待外れさね....ミレイ・ノルヴァの目も落ちたもんさね」
ヴィクセンの声のトーンが落ちて、おもちゃに飽きた子供のような話し方になった。
その目にハイライトは入っておらず、病的な目の隈がより濃く見えた。
マズイ....死ぬ。
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