記憶共有的異世界物語
第25話:異能力
「実行するためにはまずはシュンヤを正気に戻さないといけない」
冷静になってるからこそ人に説明する余裕が生まれる。
相手が理解できる説明を作れる。
「どうやって?」
「ナエラの協力を仰ぐしかないだろうな。最もシュンヤを正気に戻す方法はそれほど難しくはない」
純也に取り憑かれた...と言った表現は間違いなのかもしれないが、取り憑かれたあの時以降、異常なまでに直感が優れている。
本能的なものなのか、はたまたこれも彼の言っていた【加護】なのか。まぁ、助かっていることは確かだ。
「シュンヤを一度眠らせる。まぁ方法は物理的なものになるだろうが、それが嫌だってなら睡眠薬でも構わない。とにかく一度寝るって事が大事なんだ」
寝ている時には意識が一時的に切り替わる。
意識が飛んでいるが、睡眠を取った場合は上書きされた方の意識が吹っ飛ばされる。
そうなるとエルフは次の上書きをしようとするが、その間の無【意識】はシュンヤのものだ。
僕の能力でナエラをこちらに連れてくるのが不可能なように、シュンヤをここに連れてきてしまえばエルフに上書きされることは無い。
そしたらあとは本当の意識を持ったシュンヤが目覚めるのを待つだけだ。
「我ながら完璧な作戦だと思うんだがどう思う?」
「うん。ふざけないで」
「え?」
「相手はチュラル村のエルフよ?何の対策もしてないと思う?」
「物理的攻撃も薬をもろうとしても全部読まれて回避されるに決まってるじゃない」
安直だった。
よくよくかんがればそうじゃないか。
!!?
【ステンエギジス】
能力詠唱を唱えた。
完全に反射だった。
空間が歪み、そこから一人の男が落ちてきた。
シュンヤだった。
記憶で見た通りだった。
本物だった。
物凄い感動と、今起こった理解不能の現象を同時に体験したものだから、驚きで思考が若干停止してしまった。
「なぁ、もしかして」
「...ハァ。『私だって魔法ぐらい使えるのよ?』だってさ。私たちが戦おうとしてる相手ってどれぐらい強いのかしらね」
やはりそうだった。
睡眠魔法なんて物が存在することを今初めて知ったのだが、仮に僕が向こうに行ってその魔法をかけられたら死ぬなぁ...という事も学んだ。
「ウッ...んー....ん?」
シュンヤの意識が戻った。
恐らく地面に落下した時に意識が戻ったのだろう。
意識を戻させる手間が省けて何よりだ。
「大丈夫?聞こえる?」
「ナエラ....じゃなくて奈恵か。このタイミングで【憑依】が来ちまったのか。俊介には悪いことしたな...」
「うん、そうだな。勝手にチュラル村行った挙句操り人形にされてたもんな」
僕の声に気付き、こちらを向いたシュンヤの顔は、さながら幽霊を見た子供のように純粋で、なんというか面白い顔をしていた。
「なんでお前が?」
「まぁなんだ、初めましてシュンヤ。とりあえず一発殴らせてくんない?」
「なんで!!?」
今にも喧嘩を始めそうな雰囲気になっていたが、実際敵意は無い。
完全に冗談のつもりで言っていた。
「まぁなんだ、寝転びっぱなしで話すのもなんだから座りなよ」
そう言って手を伸ばした。
シュンヤは僕の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。
対になる2人。
異世界で生まれたものの、生まれた時から同心二体だった2人の初めての握手。
全てが魅力的に感じた。
「二人が同じ空間にいる状態の記憶共有はすごい違和感があるな」
シュンヤがそう口にした。
自分の記憶を見てみると、そこにはシュンヤ目線の僕が写っていた。
確かに違和感が有る【奇妙な】光景だった。
しかし僕にとってそれは、とても【魅力的】に映った。
「あぁ、自分がどんな立ち方してるのかがよく分かるよ」
シュンヤを席に座らせて、僕は反対側に座った。
奈恵が横に座り、正方形の机に一箇所空いてしまった空間に何を置こうか悩んでいたところに奈恵が話を持ち出した。
「で?ここにシュンヤを保護したのはいいけどこれからどうするの?向こうの世界に戻ったらまたエルフの魔法の餌食になるわ」
「あぁ知ってる。でも実際ここから先の事は何にも考えて無かったんだよな...どうしたもんか」
「なぁ、お前が新しい能力を手に入れたのはお前の記憶で知ってるんだが、俺も新しい能力を手に入れてるっぽいんだわ。見る?」
「え?」
シュンヤの突発的すぎるその発言に、この場にいる全員の視線が一カ所に集まった。
冷静になってるからこそ人に説明する余裕が生まれる。
相手が理解できる説明を作れる。
「どうやって?」
「ナエラの協力を仰ぐしかないだろうな。最もシュンヤを正気に戻す方法はそれほど難しくはない」
純也に取り憑かれた...と言った表現は間違いなのかもしれないが、取り憑かれたあの時以降、異常なまでに直感が優れている。
本能的なものなのか、はたまたこれも彼の言っていた【加護】なのか。まぁ、助かっていることは確かだ。
「シュンヤを一度眠らせる。まぁ方法は物理的なものになるだろうが、それが嫌だってなら睡眠薬でも構わない。とにかく一度寝るって事が大事なんだ」
寝ている時には意識が一時的に切り替わる。
意識が飛んでいるが、睡眠を取った場合は上書きされた方の意識が吹っ飛ばされる。
そうなるとエルフは次の上書きをしようとするが、その間の無【意識】はシュンヤのものだ。
僕の能力でナエラをこちらに連れてくるのが不可能なように、シュンヤをここに連れてきてしまえばエルフに上書きされることは無い。
そしたらあとは本当の意識を持ったシュンヤが目覚めるのを待つだけだ。
「我ながら完璧な作戦だと思うんだがどう思う?」
「うん。ふざけないで」
「え?」
「相手はチュラル村のエルフよ?何の対策もしてないと思う?」
「物理的攻撃も薬をもろうとしても全部読まれて回避されるに決まってるじゃない」
安直だった。
よくよくかんがればそうじゃないか。
!!?
【ステンエギジス】
能力詠唱を唱えた。
完全に反射だった。
空間が歪み、そこから一人の男が落ちてきた。
シュンヤだった。
記憶で見た通りだった。
本物だった。
物凄い感動と、今起こった理解不能の現象を同時に体験したものだから、驚きで思考が若干停止してしまった。
「なぁ、もしかして」
「...ハァ。『私だって魔法ぐらい使えるのよ?』だってさ。私たちが戦おうとしてる相手ってどれぐらい強いのかしらね」
やはりそうだった。
睡眠魔法なんて物が存在することを今初めて知ったのだが、仮に僕が向こうに行ってその魔法をかけられたら死ぬなぁ...という事も学んだ。
「ウッ...んー....ん?」
シュンヤの意識が戻った。
恐らく地面に落下した時に意識が戻ったのだろう。
意識を戻させる手間が省けて何よりだ。
「大丈夫?聞こえる?」
「ナエラ....じゃなくて奈恵か。このタイミングで【憑依】が来ちまったのか。俊介には悪いことしたな...」
「うん、そうだな。勝手にチュラル村行った挙句操り人形にされてたもんな」
僕の声に気付き、こちらを向いたシュンヤの顔は、さながら幽霊を見た子供のように純粋で、なんというか面白い顔をしていた。
「なんでお前が?」
「まぁなんだ、初めましてシュンヤ。とりあえず一発殴らせてくんない?」
「なんで!!?」
今にも喧嘩を始めそうな雰囲気になっていたが、実際敵意は無い。
完全に冗談のつもりで言っていた。
「まぁなんだ、寝転びっぱなしで話すのもなんだから座りなよ」
そう言って手を伸ばした。
シュンヤは僕の手を取り、ゆっくりと立ち上がった。
対になる2人。
異世界で生まれたものの、生まれた時から同心二体だった2人の初めての握手。
全てが魅力的に感じた。
「二人が同じ空間にいる状態の記憶共有はすごい違和感があるな」
シュンヤがそう口にした。
自分の記憶を見てみると、そこにはシュンヤ目線の僕が写っていた。
確かに違和感が有る【奇妙な】光景だった。
しかし僕にとってそれは、とても【魅力的】に映った。
「あぁ、自分がどんな立ち方してるのかがよく分かるよ」
シュンヤを席に座らせて、僕は反対側に座った。
奈恵が横に座り、正方形の机に一箇所空いてしまった空間に何を置こうか悩んでいたところに奈恵が話を持ち出した。
「で?ここにシュンヤを保護したのはいいけどこれからどうするの?向こうの世界に戻ったらまたエルフの魔法の餌食になるわ」
「あぁ知ってる。でも実際ここから先の事は何にも考えて無かったんだよな...どうしたもんか」
「なぁ、お前が新しい能力を手に入れたのはお前の記憶で知ってるんだが、俺も新しい能力を手に入れてるっぽいんだわ。見る?」
「え?」
シュンヤの突発的すぎるその発言に、この場にいる全員の視線が一カ所に集まった。
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