記憶共有的異世界物語
第16話:世界の崩壊
空気が重く凍り、まるで時が止まったかのように思えた。
周りに居た馬場さんや、奈恵の行動がピタリと止み、視線はその女がすべてをさらっていった。
「やぁ俊介。調子はどう?」
「随分フレンドリーに聞いてくるんだな」
声でミレイ・ノルヴァであることを確認すると同時に、憑依では感じ取ることの出来なかった圧倒的な威圧感を感じた。
その圧力だけで跪かれそうになるような、そんな圧力。
「人間のコミュニケーションの基本でしょう。流石にそれぐらいは知ってるわ」
「なんか履き違えてんだよなぁ....」
馬場さんと奈恵が怯えているように思えたが、それ以上に現状の理解に頭を悩ませていたのが見て取れた。
「ね、ねぇ俊介。この方は?」
「あれ?話したことなかったっけ?ミレイ・ノルヴァ。ちょっと前に女神がどうこうって」
奈恵の表情に改めて恐怖が浮かんだ。
正直、この2人がものすごくオーバーリアクションに感じた。
しかし、僕がここでそう感じられるのは、どう考えてもあの憑依が原因だなと思っていた。
「そんなに怯えなくてもいいのに」
ミレイ・ノルヴァは、まるでカタコトで話す外国人のような覚束無い笑顔でそう言った。
流石神。人間のあれこれを勉強中と...ご勤勉な事で。
「フレンドリーなのはいいが、正直僕は君の事をイマイチ信用できていない。君が【憑依】に深く関係しているって言うなら尚更だ」
「あらら、随分嫌われてるのね」
ミレイ・ノルヴァの顔に普通の笑顔が浮かんだ。
さっきの覚束無い笑顔はなんだったんだってぐらいに普通の笑顔...。
コイツもしかして感情がすぐ表に出る奴なのか?
だとしたら面白い。
皆に怯えられ、圧倒的なオーラを放っているこの女神の唯一の弱点を見つけたような気がする。
「なぁすまん俊介、話が全く見えないんだが」
馬場さんに対して説明するのを忘れていた。
どう説明したものか。
「あぁ....【記憶共有現象】の原因」
「違うでしょ!」
指を指して言った僕の発言を遮る清々しいほどの否定だ。
ミレイ・ノルヴァのノリの良さに笑いそうになったが、どうやらフレンドリーな態度は演技でやっている訳では無いようだ。
ならば、だ。
「なぁ、ところでなんの用でここまで来たんだよ」
「あぁ、すっかり忘れるところだった。貴方、世界が滅びるって言ったら信じる?」
待て待て待て待て、今なんて言った?
すごい勢いで頭に困惑が浮かんできているが、それよりひとつだけハッキリさせよう。
うん。こいつはコミュニケーションのやり方を知らない。
よし落ち着いた。
で?なんて言った?
世界が滅びる?
あ、クソ。頭が逝かれた。
理解が出来ない、言葉の意味を理解できない。
「いやいやいや、そんな突拍子の無い話されましても」
「そうね、じゃぁ単刀直入に...」
「エルフの予言はまだ見てないのよね?その予言に私達が確認した時には無かった項目が追加されたの。どんな手段でどうやって追加したのかは分からないのだけど、その追加された内容って言うのがね」
「おいそれって・・・」
「バーミアを信仰する者、地球を知り邪魔と思う者。神に対抗すべく力を持つ者。その全ての条件を満たした我々が認識できる唯一の男。その男地球を滅ぼさんと動き、地球は消滅する。対抗した4人の人間。我々の集落を襲い滅ぼし、禁忌の力を手に入れた4人の人間。そのものたちの足掻き虚しく地球は消滅する」
ミレイ・ノルヴァは記憶を読み上げるかのように喋っていたのだが、その内容が頭に入ってこなかった。
いや、入ってきたは入ってきたのだが、僕の脳がそれを拒んだ。
理解したくなかったのだろう。
もしミレイ・ノルヴァの言ったことが事実で、エルフの禁忌の書にその項目が追加されたとしたら、僕がやろうとしている事が失敗に終わることを予言されている事になる。
エルフの集落を潰す気はないのだが、だとするとその予言に書かれていた4人の人間というのは僕等の事ではないのか?
「いや、それはおかしい。そんな事を伝える為にわざわざここまで来たのか?先に本当の要件を喋ってもらわないと話が進まない。頭のこんがらがる話はそれからだ」
「そうね...順を追って説明したかったのだけども、貴方達にとって重要なのは【何が起きたか】じゃなく【どう動くか】だものね」
ものすごく煽られた気がしたが、それ以上にこの女神の提示しようとしている【どう動くか】に非常に興味がある。
「いいわ。単刀直入に言いましょう」
「私に協力して」
???
まただ。
結局こいつが話す言は理解できない。
もはや違う言語を喋ってるんじゃないかと思うほどに理解できない。
「なぁ、すまんお嬢さん。あんさんの事をよく知らんのだけど、この記憶共有現象の原因って何なんだ?」
馬場さんがしびれを切らしたように話し始めたのだが、馬場さんも奈恵にも恐怖の怯えた表情が消えていた。
どうやら僕とミレイ・ノルヴァが話している間に落ち着きを取り戻したらしい。
「ほらね?俊介。結局単刀直入に言っても分からなかったでしょう?【どう動くか】を知るには【何が起きたか】を熟知しないとダメなの。だからこそ順を追って説明させてもらう。それできっと馬場さんや奈恵ちゃん。更には貴方の求めてる情報が全部手に入ると思うわ」
周りに居た馬場さんや、奈恵の行動がピタリと止み、視線はその女がすべてをさらっていった。
「やぁ俊介。調子はどう?」
「随分フレンドリーに聞いてくるんだな」
声でミレイ・ノルヴァであることを確認すると同時に、憑依では感じ取ることの出来なかった圧倒的な威圧感を感じた。
その圧力だけで跪かれそうになるような、そんな圧力。
「人間のコミュニケーションの基本でしょう。流石にそれぐらいは知ってるわ」
「なんか履き違えてんだよなぁ....」
馬場さんと奈恵が怯えているように思えたが、それ以上に現状の理解に頭を悩ませていたのが見て取れた。
「ね、ねぇ俊介。この方は?」
「あれ?話したことなかったっけ?ミレイ・ノルヴァ。ちょっと前に女神がどうこうって」
奈恵の表情に改めて恐怖が浮かんだ。
正直、この2人がものすごくオーバーリアクションに感じた。
しかし、僕がここでそう感じられるのは、どう考えてもあの憑依が原因だなと思っていた。
「そんなに怯えなくてもいいのに」
ミレイ・ノルヴァは、まるでカタコトで話す外国人のような覚束無い笑顔でそう言った。
流石神。人間のあれこれを勉強中と...ご勤勉な事で。
「フレンドリーなのはいいが、正直僕は君の事をイマイチ信用できていない。君が【憑依】に深く関係しているって言うなら尚更だ」
「あらら、随分嫌われてるのね」
ミレイ・ノルヴァの顔に普通の笑顔が浮かんだ。
さっきの覚束無い笑顔はなんだったんだってぐらいに普通の笑顔...。
コイツもしかして感情がすぐ表に出る奴なのか?
だとしたら面白い。
皆に怯えられ、圧倒的なオーラを放っているこの女神の唯一の弱点を見つけたような気がする。
「なぁすまん俊介、話が全く見えないんだが」
馬場さんに対して説明するのを忘れていた。
どう説明したものか。
「あぁ....【記憶共有現象】の原因」
「違うでしょ!」
指を指して言った僕の発言を遮る清々しいほどの否定だ。
ミレイ・ノルヴァのノリの良さに笑いそうになったが、どうやらフレンドリーな態度は演技でやっている訳では無いようだ。
ならば、だ。
「なぁ、ところでなんの用でここまで来たんだよ」
「あぁ、すっかり忘れるところだった。貴方、世界が滅びるって言ったら信じる?」
待て待て待て待て、今なんて言った?
すごい勢いで頭に困惑が浮かんできているが、それよりひとつだけハッキリさせよう。
うん。こいつはコミュニケーションのやり方を知らない。
よし落ち着いた。
で?なんて言った?
世界が滅びる?
あ、クソ。頭が逝かれた。
理解が出来ない、言葉の意味を理解できない。
「いやいやいや、そんな突拍子の無い話されましても」
「そうね、じゃぁ単刀直入に...」
「エルフの予言はまだ見てないのよね?その予言に私達が確認した時には無かった項目が追加されたの。どんな手段でどうやって追加したのかは分からないのだけど、その追加された内容って言うのがね」
「おいそれって・・・」
「バーミアを信仰する者、地球を知り邪魔と思う者。神に対抗すべく力を持つ者。その全ての条件を満たした我々が認識できる唯一の男。その男地球を滅ぼさんと動き、地球は消滅する。対抗した4人の人間。我々の集落を襲い滅ぼし、禁忌の力を手に入れた4人の人間。そのものたちの足掻き虚しく地球は消滅する」
ミレイ・ノルヴァは記憶を読み上げるかのように喋っていたのだが、その内容が頭に入ってこなかった。
いや、入ってきたは入ってきたのだが、僕の脳がそれを拒んだ。
理解したくなかったのだろう。
もしミレイ・ノルヴァの言ったことが事実で、エルフの禁忌の書にその項目が追加されたとしたら、僕がやろうとしている事が失敗に終わることを予言されている事になる。
エルフの集落を潰す気はないのだが、だとするとその予言に書かれていた4人の人間というのは僕等の事ではないのか?
「いや、それはおかしい。そんな事を伝える為にわざわざここまで来たのか?先に本当の要件を喋ってもらわないと話が進まない。頭のこんがらがる話はそれからだ」
「そうね...順を追って説明したかったのだけども、貴方達にとって重要なのは【何が起きたか】じゃなく【どう動くか】だものね」
ものすごく煽られた気がしたが、それ以上にこの女神の提示しようとしている【どう動くか】に非常に興味がある。
「いいわ。単刀直入に言いましょう」
「私に協力して」
???
まただ。
結局こいつが話す言は理解できない。
もはや違う言語を喋ってるんじゃないかと思うほどに理解できない。
「なぁ、すまんお嬢さん。あんさんの事をよく知らんのだけど、この記憶共有現象の原因って何なんだ?」
馬場さんがしびれを切らしたように話し始めたのだが、馬場さんも奈恵にも恐怖の怯えた表情が消えていた。
どうやら僕とミレイ・ノルヴァが話している間に落ち着きを取り戻したらしい。
「ほらね?俊介。結局単刀直入に言っても分からなかったでしょう?【どう動くか】を知るには【何が起きたか】を熟知しないとダメなの。だからこそ順を追って説明させてもらう。それできっと馬場さんや奈恵ちゃん。更には貴方の求めてる情報が全部手に入ると思うわ」
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