黒剣の魔王

ニムル

第10話/神様召喚

 王国軍が攻めてくる日程が判明した。

 勇者パーティたちが、ここから王都まで行くのに馬車で二週間かかると言っていたので、軍が出発すると言っていた日時から計算するとここに着くのはざっと数えて4週間後だな。

 ちなみにこの世界は1年が13月、1月88日で1週11日という頭のおかしい周り方をしている。

 月の呼び方は

1月目→カプリコーン

2月目→アクエリアス

3月目→ピスケス

4月目→アリエス

5月目→タウラス

6月目→ジェミニ

7月目→キャンサー

8月目→レオ

9月目→ヴァルゴ

10月目→リブラ

11月目→スコーピオ

12月目→サジタリウス

13月目→アスクレピオス

となる。

 月と同じように、88日の一つ一つもしっかりとした呼び名があるが、数が多すぎるので割愛。

 だって全天88星座の名前を当ててるだけだしね。

 週の分け方は

1週目→クロノス

2週目→レア

3週目→ヘスティア

4週目→ハデス

5週目→ヘラ

6週目→ポセイドン

7週目→デメテル

8週目→ゼウス

の順番になっている。

 日にちの呼び方を変える習慣は特にないようで、〇日目と数えているようだ。

 前までは日本と同じように日を数えてたんだけど、こっちの世界のヤツら(勇者パーティ、スカコンティー)の話についていけなくなるので、こちらの世界の暦に合わせて生活をすることにした。

 今日は『キャンサー レア 11日目』。

 元いた世界と同じように言い直すと、7月11日。うわぁ、なんかなれないな。感覚として。

 因みに、壁の文字を久々に確認してみると、週の名前になった神の名前はすべて残っていた。

『時神クロノスの降身術』

『大地神レアの召喚法』

『炉女神ヘスティアの抽出法』

『冥神ハデスの創り方』

『貴婦神ヘラの降ろし方』

『海神ポセイドンの召喚法』

『豊穣神デメテルの降身術』

『全能神ゼウスの降身法』

 なんか一部おかしな名前もあるけど、全て神をこの世に呼ぶとかそんな感じのタイトルだった。

 まぁ、『召喚条件が揃っていません』って出てきて何も出来ないんだけどね。あ、一つだけ見れたわ。『ヘスティア』の表記だけ、

『召喚必要レベル→1

 召喚法→ヘスティア週1日目にヘスティアにまつわる何かを自身の右手に持ち、左手を添えて祈る。

召喚効果→火属性強化
     熱属性追加
     神通力の追加』

 何かと便利そうではあるけどなんか微妙だな、今度試しにやってみるか。


 と、まぁそんなことを考えながら日をまたいだわけですが。


 よく考えたら今日がヘスティア週1日目ダネ。ヤッテミヨー。

「『炉女神』とか書いてあるから暖炉とかか? 流石にでかいか。うーん、自分でミニサイズのを作ればいいか」

と、言うことでミニサイズの暖炉っぽいものを作って右手に置く。

 それに左手を添えた。

 後は

「神様help me! 神様help me! 神様help me!(繰り返し)」

 ……はい。祈り続けました。

 そうし初めて五分くらいだった。それはほんの一瞬の出来事。

 俺の体に謎の電流が走って、俺の意識は暗転した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 と、思ったのだけれど?

 ここどこだよ。周り真っ暗で何も見えないんだけど。

『ほう、貴方が私を呼び出したのね』

 え? 目の前にいきなり金髪ショートカットのロリたんが現れたんだけど?

『どうしたの? とぼけた顔して。貴方が私を呼び出したのよ?』

「えっと、どちら様でしょうか?」

『貴方が呼び出した神様でしょうが!』

「え」

『ヘスティア、それが私の名よ』

「マジすか、実験のつもりだったのにほんとに出来ちゃったよ……あれ、でもそれだったらここは?」

『貴方の精神世界よ。私は貴方の中に召喚されたの。だからこうしてここにいるわけ』

 異世界、金髪ロリ、「私が神様」、ま、まさかこれは!?

「おうふ! 厨二病的なやつキタコレですね、あっ、ワタクシ『キタコレ』などとついネット用語が。いや失敬失敬」

『……何言ってるかさっぱり理解不能なんだけど』

「軽く興奮してるということで」

『あ、ああそう……』

 やったよ、やっと異世界来た感が湧いてきた気がするよ! 神様ありがとう! あ、目の前にいる人が神様か。

 だって勇者とか弱すぎて拍子抜けしちゃって異世界感味わえなかったからね。

『とにかく、召喚されたからにはあなたに力を貸すわ。力の使いかたは、まぁ、この場所から外に出ればすぐにわかるようになるから』

「了解であります!」

『もうなんかついていけないわ……変なのに呼び出されちゃったなぁ』

「嘆かなくてもいいでありますよ! 処女神殿!」

『んあ? なんか言った?』

「はい、嘆かなくてもいいでありますよ! 処女神殿!」

『気にしてんだから連呼するんじゃねぇぇぇぇ!』

「ぐほぉぉぉ!」

 金髪ロリが目の端に涙を溜めながらアッパーカットをしてくれました! 何たる御褒美!

『え、なんで喜んでんの、貴方……怖』

 ヘスティア様とは良好な関係を気づいていけそうな気がした。


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「おっはよー! 早く起きて、お兄ちゃん!」

 ゆいの声で目が覚めた。

「うるせぇな、朝っぱらからどうしたってんだよ、こっちはロリ女神様もとい、炉女神様と戯れてたってのに」

「なんか家の外に金髪の小さい女の子が」

「なにっ! すぐ行く!」

 急いで玄関に向かう。

「おはよう。貴方が怖すぎるから、力は貸すけど、貴方の魔力を使って分離させてもらったから!」

「うっほーい! やったぜ! 金髪ロリをリアルでも愛でれる!」

 自分の思考が本格的に終わってる気がした。

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