真実はいつもひとつ?

夜咲 彩花

いつもの日常 4日目

「……知らない天井だ……いや、ごめん、嘘ついた」

昨日、空が熱を出し休んでいたことを思い出した光は、誰に謝ったのか、そんなことを言いながら目覚めた。空が寝た後は、部屋の片付けや、洗濯物の残りをし、ついでにお風呂にも入っていて、家に帰らずそのまま空の家に止 泊まっていた。
知らない天井ではなく、あまり見ない天井と言った方が適しているだろう。

「……ぁあー眠た……でも学校か……起きるか」

(あ、ついでに空姉も起こしとこう)

基本、朝ギリギリまで寝ている光だが、違う環境での睡眠はやはり寝を浅くしたのだろう。まだ眠たいながらも学校に行く準備を始めた。
ついでに空も起こしとくことにした。

「おーい、空姉ー、朝だぞー…………ぉ?」

「…………ぇ?」

空をお越しに行った光が目にしたものは………………下着姿の空だった。

「……きゃ、きゃぁ「ちょっと待て」……ッ!?」

「俺は日々学校で空姉を見ているわけだが……俺は興味無いから安心し「死ねぇぇぇ!」ドゴッ!
「ぐほっ!」

「さっさとこの部屋から出ていけ!この変態!」

「いやいやいや、不可抗力だって」

「うるさい!何が不可抗力だっ!乙女の裸みて変態以外あるかっ!」

「自分のこと乙女とか笑え「ぁあ?」何でもない」

実際、空の下着姿を見ても何も思わなかった光は、普段通りだった。むしろ、何恥ずかしがってんだこいつ、とか、ちっさかったもんはやっぱ小さいんだな、などとなかなか酷いことを考えていた。
さらに、少し見たくらいでなんで俺殴られたんだ?不釣り合いすぎるだろ、とも思っていた。

「そもそも!何故!お前がここにいる!帰ったんじゃないのか!」

「めんどくさかった」「めんどくさいで私の家に勝手に泊まるな!」

「はぁ、わかったわかった。わかったからそろそろ……服着ろ」

「……ッ!?さっさと私の部屋から出ろ!!!」ドカッ バシーッン

「ぐほっ!……ぐっ、……昨日のしおらしい空姉は幻だったか……」

眠たいのに早く起きてしまい、若干寝不足の中、空の下着姿を見ただけで殴られ蹴られと散々な目にあった光は、今日1日、いや、朝から最悪だった。
こうなるなら家に帰っておけば……とは、軽い反省と後悔であった。

「じゃあ、先に行ってるから」

「…………」

(……返事無しっと。相当怒ってらっしゃる……ま、触らぬ神に祟りなしだな)

そんな不謹慎な事を思いつつ、光は学校に登校した。






☆☆☆空side

(うわぁぁぁぁ!!!見られた見られた見られた見られたぁ!!!よりにもよってっ、光にぃぃぃ!!!こ、こんなに恥ずかしいもんだっけぇぇ!?!?)

一方空は、凄まじい羞恥心に苛まれていた。
空自身としては、小さい頃から面倒を見ている弟的存在な訳だから、少々見られても大丈夫かと思っていたが、それはかなり昔の事だったと、再認識させられた。

(恥ずかしいよやばいよこんなんだっけこんな恥ずかしかったっけそんな事ないはず……い、いけない、クールダウンよ、クールダウン…………)

「……そもそもなんで光が家にいるんだし!私悪くねえし!………いや、もういい。着替えよう……」

そうこうしているうちに、だいぶ落ち着いてきた空は、いつも通り服に着替えてから学校に向かおうとした。

…………向かおうとした、のだが、よく見るとまだ洗ってないはずの洗濯物が、洗ってタンスの中にしまわれていた。そして、空はひらめいた。

「……そっか!光であるがしてくれたのか。これは後でお礼を言って…………って、なるか!誰が下着まで洗えって言ったのよ!この変態がぁぁ!!!」

空の下着類まで丁寧に洗濯されており、タンスの中にもしまってあったのだ。もちろん、女性ものであり、健全な男子高校生なら間違いを犯す可能性もあるだろう。しかも、洗濯していないものまであるのだから、空本人にとって、これ以上恥ずかしいものは無いであろう。

「……絶対……絶対足1本か腕1本は貰うぞ……ひかるぅ!!!」

こうして空の1日は始まった。

コメント

  • ノベルバユーザー602527

    ドキドキ、ハラハラ… イロイロありすぎて感情が忙しかったけど、とても面白かったです!!

    0
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