真実はいつもひとつ?

夜咲 彩花

いつもの日常 2日目

「えー、今日は空先生が体調不良で学校を休むということなので、代理で担任を…………」

(……今日は空姉が休みか……くふふ、いい事を聞いてしまったなぁ。今日は寝ても殴られないで済むぞ……くふふふ……)

今日の朝、若干起きるのが遅かった光はギリギリで学校に到着し、寝る暇が無かったのでいつもよりどんよりしていた。だが、朝の担任代理の言っていたことで、全てが解消されるが如くの開放感にあった。いつも寝ていたら、ほかの生徒に見えないように殴るという器用なことをしていたが、今日は殴られなくて済むのだ。

(いやー、しかし、空姉が休みか……ぁ、やばい、この流れもしかして……)

「これで、終わります。あ、あと金沢は放課後職員室に来てください」

「あ、はい。分かりました」

「はい。では号令お願いします」

「起立、れーい…」

(あぁ、やっぱりそうなっちゃうよねー…めんど…)

光は呼ばれた理由を何となく察していた。むしろ、特に問題も起こしておらず、何もしていないので、選択肢が絞られただけであったが。

(まあいいか、帰りに体に優しいものでも買って帰るかなぁ…)


☆☆☆放課後


「せんせーい、来ましたー」

「おお、金沢か。じゃあこれ、空先生によろしくな」

「……はい、分かりました」(はあ、やっぱりなぁ…)

光は、少し大きめの封筒に入ったプリントやその他諸々のものを見つめ、ため息を吐いた。
何故光が空にプリントを届けに行かせられるかと言うと、理由は色々あるが、特に住んでいるところが近いからである。空は独り立ちして一人暮らしを始めていたが、光も高校に入ってから一人暮らしを始めたのである。理由は、「一人暮らしがしたかったから」という子供じみた理由だが、それでも親は反対しなかった。

そして、ある事件が起こったのは高校1年になったばかりの時である。冷蔵庫に飲み物が無くなり、お茶の葉も尽きていたため、買い物に出かけようとした光が出会ってしまったのだ。隣の部屋に入ろうとする空と。

「……え?なんで空姉がここにいんの?」

「……え?いや、え?いや、なんで光がここにいるのよ。てかその部屋光の部屋?」

「いや無視かよ。いや、そーだよ?てか、なんで先に独り立ちした空姉がここにいんの?そこ空姉の部屋?てかなんでいるの?」

「え、だって光のお母さんが『親戚がアパートの管理してるからそこに頼んでみようか?』って言ってくれたから有難く…」

「……え、それ俺と一緒じゃん……」

と言う一悶着があったのだ。1年の頃の担任をしていた教師が、住所が一緒だと言うことに気づき、空に聞いてみたところ、それが明るみに出てしまったのだ。それから、どちらかが休んだ時は、どちらかが連絡をしに行くと言うものができてしまったのだ。

(……よし、じゃあ買い物行くか)

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