真実はいつもひとつ?

夜咲 彩花

いつもの日常 1日目

「おはよー」「おっ、おはよ」「ねえねえ昨日何見た?」「えーっとねーたしか…」「ねえねえ、昨日電話したの気づかなかった?」「あ!ごめん、その時間寝てたわ…」「今日の部活って、外練だよね?」「そうだよー。どうかした?」「あぁ、いや、なんでもないよ…」

(……朝からよくそんなに話せるなぁ、こいつら……)

光はクラスの全体を見渡してそう思った。基本、いつも1人でいたいだけの光は、朝から戯れて話をしているリア充やオタク共の理解ができないのだ。決して1人が寂しい訳ではない

(……にしても、眠い……なんだこの異様な眠さは……異世界にでも飛ばされる前触れか?)

そんな馬鹿なことを考えながら光は机の上にうずくまりながら寝ていた。これは、毎朝の行事かなにかだと本人も思っているので、ただ寝ぼけながら考えていただけだった。

「…………すみませー……、……おき……」

(……なんだよ、うるさいなぁ……)

「………ははぁーん、起きないんですね…………なら仕方ねぇ」
(……何が仕方ねぇだよ……俺は今寝てんだかr「ソイヤッ!」(ガンッ)
「ぐはっぁ!」
「何寝てんだよ、さっさと起きろ」
「……うるさいなぁ……」
「あぁ?もう1発いっとくか?」
「わかったわかった!わかったから!起きた!今起きた!」
「なら最初から起きとけ」
「……チッ…(ガンッ)…イデっ!」

今殴って来たのは、空手部の顧問兼光のクラスの担任をしている教師歴2年目のみね そら先生だ。学校では、スレンダー美人と言われており、生徒にも優しくかなりの人気者だ。放課後は図書室で本を読んでいるのをよく見かけるという。空手を経験したこともあってその技術はすごいと、空手部の中だけでは無く、見学しに行った生徒たちにも知れ渡っている。…………と、みんなは思っている。光は、それが間違いだと言うことを知っている。
峰 空23歳 独身 住んでいるところはアパート2階で一人暮らし。趣味は本を読むこと……ではもちろん無く、人を投げ飛ばす事だ。

なぜ光がここまで知っているのかと言うと、小さい頃、光と空の家は隣同士で、年は6歳も離れているが、空が随分と光を可愛がっており、近所では「姉弟に見える」と言われていた。小さい頃、空のしている空手を見た光は、それを見て何を思ったのか隣でしている合気道をしたいと言い出したと言う。それも、今は昔の話である。

(……ったく、なんで空姉がここに来てんだよ……流石に先生になるって言ってたからって一緒の学校になるか?普通)

昔はすごいやんちゃだった光は、空が独り立ちすると同時くらいに、落ち着き始めた。空が去っていったことで、現実が見えだしたからかもしれない。空姉とは、幼い頃からの言い名である。

「はい!では、朝のホームルームを始めます。日直さん、お願いします。」

「起立、礼、着席」

「はい、ありがとうございます。では、今日の予定を………」

(はぁ、また長い1日が始まるなぁ…………)

光はそう思うと、机に突っ伏した。

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品