異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

十七話:マネー男と幼女フラグ

 厄介ごとは、嫌いだ。
 しかし俺は今更なる厄介ごとへ頭を突っ込んでいる。

 健樹
 二十二歳
 独身
 称号:異世界人/金のベテラン操り師
 魔力:220760(₊120600)
 速度:220712(₊120600)
 体力:220703(₊120600)
 攻撃力:220706(₊120600)
 防御力:1310707(₊120600)
 属性:火₊5/水₊4
 スキル:マネー・チェンジ—S/マネー・買-S/マネー・売—S/鑑定不可能LV5-F/スキル転写LV5—F/鑑定LV80-S/慧眼LV52-C/行動封印LV20-E/金操師マネードールLV100—S/
 所有マネー:1000

 水のランクも1000マネーで上げておいた。何か上げにくかった。
 そうしてステータスを上げていき、その翌日ギルドへ行くとサテラがまた走ってきた。国の城……王宮に行ってほしいと言われた。
 面倒事は避けたい、と言ったが「大事なことです」と言われ引っ張ってこられた。

「本当……マジかよって言いたい」

「もう言ってたじゃない。安心しなさい、基本トークは私がやるわよ。まあ喋れと言われてしまったら健樹君が喋るのよ」

「ケンキ……いける……頑張れ!」

 そんなこんなで今俺達は一番乗り心地の良い馬車に運ばれて王都―――カランナへ向かう。大都市ピラノスと一番近いらしい。
 王都、か。
 ラノベはあまり見たことがないが同僚の勧めで見たときに俺が一番憧れたのはこれだ。
 魔術でもなく剣術でもなく、俺が憧れたのは王都だった。
 だってめっちゃ豪華でめっちゃ金が手に入りやすそうだったのだから。

「王都……金……金ええ」

「ちょっと、キャラが崩壊しているわよ。いいえキャラ崩壊はしてないわね。精神崩壊ね」

「ひでー言いようだなお前」

「凄い……王都……広い!」

 誰か王都ではなくカランナと呼んでやってくれ、と俺は一人苦笑いをしていた。王都の名はカランナなのに誰もそう呼ばないというのが虚しかった。
 約一時間辺り乗っていたであろう。
 車酔いなどというものはなく、順調に王都まで来ている。風景を見ていく中でとある錬金術師が目についた。彼の鍛治しているその剣が目に留まったのだ。
 現在俺の戦い方はマネーだが、それを変えずに剣で戦う方法は無いか模索している。

「―――ひれ伏せ『ハイグラビティ』」

「悪しき者に最後のひと時への癒しを―――ゴースト・ヒール」

「ぁ―――」

 面倒くさいことが増えたな。と俺は思った。一度ラフェエニルのせいで表に出てしまった俺の正義感が「これ」を許せるはずもないだろう。
 まあ正義感ではなく良心なのだが。
 俺の中に正義感など思い返せばなかったかもしれないのでな。

「健樹君、助けるんでしょ? 勇者らしいことしなさいよ」

「俺、勇者じゃないんで。助けるけど」

「第二のマイマスター、応援しています!!」

「ケンキ……いける……絶対……!」

 そう、そこには木で作られた十字架に縛り付けられた六歳辺りの紫寄りの黒い髪を寝ぐせらしくクリッとさせた、濁った眼をした女の子がいた。
 彼女は重力魔術でつぶされ癒しの魔術で内側から破壊させられなおも生きていた。

 鑑定を使ってみると彼女が魔族だということがわかり、無限再生スキルを持っていることも分かった。リエイス、これが彼女の名前だ。
 どうやら魔族であるのを見抜かれ処刑されているらしい。
 一度馬車を止め、降りてみる。
 女の子もといリエイスは枯れた声で何度も「たすけて」と繰り返していた。

「ふん。厄介ごとってのは次から次へと来るもんなのか。―――悪魔の一族か、特別忌み嫌われているわけでもないがカランナの信仰している女神が悪魔を嫌う、と」

「どこから入手したのよ、そんな情報」

「え? 図書館。フィナとレーキスが見てねえ間に気になったから読んでみたんだよ。まさかこんなところで役立つとは思ってもみなかったけどな」

 今も痛めつけられるリエイスを見上げながら俺はそう言った。気の毒だが今助けるとカランナに嫌われるのでやめておく。
 もう一度いうが俺は善人なんかではない。所詮は過程を置いて行って助けたという事実だけで満足している小心者だ。俺は俺をそう評価する。

「なあ、あれ悪魔だよな? なんで処刑されてんだ?」

「お前知らねえのか? 女神ミファレレス様からの予言だ、あの魔族はこの王都を滅ぼす原因だとな。まあやり方が少しえげつねえとは思うがなぁ」

 横に居た冒険者に尋ねると、冒険者は苦笑いをしながらそう返した。「そうか」と返して俺達は馬車に乗り込む。
 やはり此処に居る者全員が「処刑」に賛成しているわけではないのだろう。
 仮にも見た目は六歳の女の子を痛めつけているのだ、それを少しも可哀そうだと思わないとなると俺もそいつの神経と脳みそを疑うことになる。

 最もこれを命令したとかいうミファレレスは失礼ながら頭がイッた奴なんだろう。

「ねえ健樹君。女神について詳しく知ってるかしら?」

「知らねえよそんなん、そこらへん詳しくみてねえからさ」

「女神には善と悪に別れていて、ミファレレスは悪の女神なのよ。何故信仰されているのかは私にもわからないわ。でも」

「洗脳……ミファレレス……得意だった……ワタシ会ったことある……すごく……残酷……強い人洗脳して……連れ去った……」

「マイマスター……が森を出た原因は……それも……あるんです」

 ルーフェは悪とつながりがあったので詳しいのも分かる。しかし今ミファレレスについて聞いている場合ではない。
 そろそろ第二王女・・・・国王・・との約束時間が過ぎてしまう。

「早く行かねえとな」

 そう言って俺は馬車の人(仮)にもっと早くしてほしいと頼んだ。

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