異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~
十六話:マネー男と特別指名依頼
翌日ギルドへ行くと、門の前でサテラに止められた。サテラは息を切らしており、俺とラフェエニル、レージストやルーフェが何か言う前に引っ張ってギルドマスター室に無理矢理連れてこられた。
そこではギルドマスター―――メリアが険しい顔をしてまっていた。
「ど、どうしたんだよ? 何か問題でもあったのか?」
「私たちには何も問題は無いと思うわ。恐らく内部で何かあったのよ」
「ケンキ……問題ない……絶対……」
俺が不安に声が震えながら問いかけると、ラフェエニルとルーフェが否定する。まあルーフェは信頼だが。いや、嬉しいんだよ?
一旦話が終わったのを見てメリアが口を開く。
ドアの向こうサテラなど見知らぬ者達が慌ただしくあちこちに動いている。ドアは閉めてあるが何となく足音で分かるのだ。これも訓練(楽勝)の成果だろう。
「この国―――リンスタントに対立する国―――メイシリンドの将軍が喧嘩を吹っ掛けてきた。さらに国王まで同意し戦力を貸した……負けるわけには行かないし勝つわけにもいかない」
「は? 勝っちゃダメなのか?」
「ああ。これはただの喧嘩なのだ。対立関係―――まだ戦争になっていない関係で維持し続けていたのにそれが台無しになるのは困る」
「言い忘れていたわ健樹君。リンスタントの国王様は平和主義なの」
リンスタントのことはラフェエニルに教えてもらっていないが、今此処で教えてもらったということでいいだろう。
メイシリンド……どこかの本で見たことのある国だ。
どの国とも友情関係がなく、独立的で喧嘩を吹っ掛けるのが好きだそうだ。
メイシリンドの国王は平和主義なリンスタントの国王―――スメン・リンスタントのことが気に入らないそうだ、とメリアは言う。
「ということで、スメン様からの指名だ。見事勝つこともなく負けることもなく無力化してみろ―――期待の冒険者ケンキよ」
「はぁあ!? な、なんで俺なんだよ、出来るわけねえだろ!?」
突然で申し訳ない、そういうとも思っていた、とメリアは続ける。どうやらこう返されるのもあるようで慣れているようだが、ギルドマスターからの指名依頼は断れない。
ギルドマスターの顔もあるからだ。ギルドマスターが指名するのだからそれなりの強さもあるわけで、それだけの実力があると思われる。
それを拒否するとギルドマスターまで評価が下がるということだ。
そんな大事な依頼を突然受けてしまった俺は驚いて戸惑いたじろいでしまう。
「だが、私からお願いだ。どうか止めてくれ。まだこの国での生活を終わりたくないんだ。メイシリンドの強さは本物なんだよ」
「――――――」
だから、何だと言いたいんだ。
俺は異世界に選ばれただけで、ラノベみたいにオタクでも夢見ていたわけでもいじめられっ子でもないただのおっさんだ。
金というポイントがある、何処にでもいるおっさんだ。
何を期待するというんだ。
何で期待されなければいけないんだ。
ラノベのように助けようだなんて思わない。
俺は今自分の命だけでも、と心の深い所では思っている。
「健樹君、ちょっと健樹君?」
小さな声でラフェエニルが話しかけてくるが、何も答えられない。
「やるしかねえのか?」
「えぇ、生きるためにもやるしかないわよ。というか……あんたには金パワーがあるじゃない。きっといけるわよ」
「ケンキなら……できる……頑張れ……」
「第二のマイマスターはこの私が誠心誠意お守りいたしましょう……」
ぷっ。
この突っ込みがいのある三人を見たら笑えて来てしまった。さらに金パワーを使うと何もかもが大丈夫に思えてきた。
あぁ、やっぱり金は最高だ。何でもできる全知全能神(?)だ。
金、と何度も何度も頭の中で暗示するとなんだかぶっ飛ばせそうな気がしてきた。
「引き受けよう。ただ、お願いがあるんだ」
「何だ? 出来ることなら何でも引き受けよう」
「実は報酬は出来るだけ前払いをしてほしい。金が好きすぎて金操師なんて称号貰っちまってさ」
「そ、そうか。では百万マネーを前ばr」
「待て待て待て! 価値が! そんなにくれる必要あるのか!?」
欲しい。欲しい。思わず手が出そうだ。
しかし此処は常識を守りたい。
それに「百万」と平然と言ってしまうメリアがなんだか羨ましくて反論したくなった。
後ろではラフェエニルがすべて分かっているとでも言うような顔をしている。
「ふふ、そう言うと思っていたよ。五十万だ。これからだとしてもこの戦いを終わらせてくれる見込みのある者なのだから当然だ」
「……金持ちだな、メリア。マジで羨ましい、いや恨めしい!!」
「よく噛まずに言えるわね。うらやましい……うりゃめし……あ……」
こんなくらい地球に居た頃の早口言葉と比べればどうってことないのだがラフェエニルは噛んでしまって顔が紅潮している。
ディスられ系どころかヒロイン系なのではないか。
しかし羨ましいを通り越した恨めしいなのは事実で、億万長者くらいになりたかった。
そして五十万を眉ひとつ動かさずに差し出せるなんて。
ましてや出来るかもわからない、国へ関係する依頼への前払いだなんて。
「しっかしいいのか? 即決しちまって」
「問題ない。五十万マネーくらい上司の許可をもらう必要などない。所詮は一マネーと同じ感覚だ。冒険者になっていたらいつかはこれくらいにはなるさ」
「大体何年かかるんだよ?」
「五十年はあるかな。ちなみに私は不老不死スキルを手に入れているのでな、見た目は二十歳くらいだが中身は五百を超えとるぞ」
「冒険者いつ始めたんだよ!!」
「このスキルを手に入れてからだ。六十歳くらいだろうか」
ババアじゃん、と言いそうになったがそんなことを言ったらミンチにされてしまう。俺に禁句があるように人には行ってはいけない言葉というのがあるものだ。
不老不死スキルは年齢を自由に設定できて、一度設定すると変えられない欠点はあるが永遠にその姿で止まる。
使用者がその姿であった時の身体能力もそのまま引き継がれる。
まーぁ便利な能力だな。
「とりあえずマネーは今此処で手渡しだ。貴様らは帰ってから対策を考えろ。それからのことは後だ」
「おう」
ギルドマスター室から出た俺達は速足で家に帰るのだった。
目的はステータス!
もっと詳しく言うと、金だ!!!!!!!!!
そこではギルドマスター―――メリアが険しい顔をしてまっていた。
「ど、どうしたんだよ? 何か問題でもあったのか?」
「私たちには何も問題は無いと思うわ。恐らく内部で何かあったのよ」
「ケンキ……問題ない……絶対……」
俺が不安に声が震えながら問いかけると、ラフェエニルとルーフェが否定する。まあルーフェは信頼だが。いや、嬉しいんだよ?
一旦話が終わったのを見てメリアが口を開く。
ドアの向こうサテラなど見知らぬ者達が慌ただしくあちこちに動いている。ドアは閉めてあるが何となく足音で分かるのだ。これも訓練(楽勝)の成果だろう。
「この国―――リンスタントに対立する国―――メイシリンドの将軍が喧嘩を吹っ掛けてきた。さらに国王まで同意し戦力を貸した……負けるわけには行かないし勝つわけにもいかない」
「は? 勝っちゃダメなのか?」
「ああ。これはただの喧嘩なのだ。対立関係―――まだ戦争になっていない関係で維持し続けていたのにそれが台無しになるのは困る」
「言い忘れていたわ健樹君。リンスタントの国王様は平和主義なの」
リンスタントのことはラフェエニルに教えてもらっていないが、今此処で教えてもらったということでいいだろう。
メイシリンド……どこかの本で見たことのある国だ。
どの国とも友情関係がなく、独立的で喧嘩を吹っ掛けるのが好きだそうだ。
メイシリンドの国王は平和主義なリンスタントの国王―――スメン・リンスタントのことが気に入らないそうだ、とメリアは言う。
「ということで、スメン様からの指名だ。見事勝つこともなく負けることもなく無力化してみろ―――期待の冒険者ケンキよ」
「はぁあ!? な、なんで俺なんだよ、出来るわけねえだろ!?」
突然で申し訳ない、そういうとも思っていた、とメリアは続ける。どうやらこう返されるのもあるようで慣れているようだが、ギルドマスターからの指名依頼は断れない。
ギルドマスターの顔もあるからだ。ギルドマスターが指名するのだからそれなりの強さもあるわけで、それだけの実力があると思われる。
それを拒否するとギルドマスターまで評価が下がるということだ。
そんな大事な依頼を突然受けてしまった俺は驚いて戸惑いたじろいでしまう。
「だが、私からお願いだ。どうか止めてくれ。まだこの国での生活を終わりたくないんだ。メイシリンドの強さは本物なんだよ」
「――――――」
だから、何だと言いたいんだ。
俺は異世界に選ばれただけで、ラノベみたいにオタクでも夢見ていたわけでもいじめられっ子でもないただのおっさんだ。
金というポイントがある、何処にでもいるおっさんだ。
何を期待するというんだ。
何で期待されなければいけないんだ。
ラノベのように助けようだなんて思わない。
俺は今自分の命だけでも、と心の深い所では思っている。
「健樹君、ちょっと健樹君?」
小さな声でラフェエニルが話しかけてくるが、何も答えられない。
「やるしかねえのか?」
「えぇ、生きるためにもやるしかないわよ。というか……あんたには金パワーがあるじゃない。きっといけるわよ」
「ケンキなら……できる……頑張れ……」
「第二のマイマスターはこの私が誠心誠意お守りいたしましょう……」
ぷっ。
この突っ込みがいのある三人を見たら笑えて来てしまった。さらに金パワーを使うと何もかもが大丈夫に思えてきた。
あぁ、やっぱり金は最高だ。何でもできる全知全能神(?)だ。
金、と何度も何度も頭の中で暗示するとなんだかぶっ飛ばせそうな気がしてきた。
「引き受けよう。ただ、お願いがあるんだ」
「何だ? 出来ることなら何でも引き受けよう」
「実は報酬は出来るだけ前払いをしてほしい。金が好きすぎて金操師なんて称号貰っちまってさ」
「そ、そうか。では百万マネーを前ばr」
「待て待て待て! 価値が! そんなにくれる必要あるのか!?」
欲しい。欲しい。思わず手が出そうだ。
しかし此処は常識を守りたい。
それに「百万」と平然と言ってしまうメリアがなんだか羨ましくて反論したくなった。
後ろではラフェエニルがすべて分かっているとでも言うような顔をしている。
「ふふ、そう言うと思っていたよ。五十万だ。これからだとしてもこの戦いを終わらせてくれる見込みのある者なのだから当然だ」
「……金持ちだな、メリア。マジで羨ましい、いや恨めしい!!」
「よく噛まずに言えるわね。うらやましい……うりゃめし……あ……」
こんなくらい地球に居た頃の早口言葉と比べればどうってことないのだがラフェエニルは噛んでしまって顔が紅潮している。
ディスられ系どころかヒロイン系なのではないか。
しかし羨ましいを通り越した恨めしいなのは事実で、億万長者くらいになりたかった。
そして五十万を眉ひとつ動かさずに差し出せるなんて。
ましてや出来るかもわからない、国へ関係する依頼への前払いだなんて。
「しっかしいいのか? 即決しちまって」
「問題ない。五十万マネーくらい上司の許可をもらう必要などない。所詮は一マネーと同じ感覚だ。冒険者になっていたらいつかはこれくらいにはなるさ」
「大体何年かかるんだよ?」
「五十年はあるかな。ちなみに私は不老不死スキルを手に入れているのでな、見た目は二十歳くらいだが中身は五百を超えとるぞ」
「冒険者いつ始めたんだよ!!」
「このスキルを手に入れてからだ。六十歳くらいだろうか」
ババアじゃん、と言いそうになったがそんなことを言ったらミンチにされてしまう。俺に禁句があるように人には行ってはいけない言葉というのがあるものだ。
不老不死スキルは年齢を自由に設定できて、一度設定すると変えられない欠点はあるが永遠にその姿で止まる。
使用者がその姿であった時の身体能力もそのまま引き継がれる。
まーぁ便利な能力だな。
「とりあえずマネーは今此処で手渡しだ。貴様らは帰ってから対策を考えろ。それからのことは後だ」
「おう」
ギルドマスター室から出た俺達は速足で家に帰るのだった。
目的はステータス!
もっと詳しく言うと、金だ!!!!!!!!!
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