異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~
十話:マネー男とSSランク冒険者②
……やべえ、俺マジで死ぬ!?
「聖雷!! 健樹君!? 大丈夫!?」
「だ、大丈夫なわけねえだろ!? てかラフェニ遅い、マジ遅い!!」
責めてるわけではない、ただディスってみたかっただけなのだ。
詠唱の通り聖なる雷が降りて軌道がずれ、何とか俺に当たらなかったが変形してまた向かってくる。
フィナは本気中の本気で、眼がすでに輝いている。
「諦めるのです! そうすればこれ以上痛めつけることはありません! 私に勝てないと誓うのです!」
「……俺にもプライドってやつがある。はっきり言ってお前は暗黒騎士とかそういうのと同類だ」
あえて言った。あえて傷つけた。
フィナには彼女のやっていることが違うと明言される必要があるのだ。
そうしなければフィナは自分を締め付け、いつかは破滅に追いやられる。
聞かない、とでもいうようにもう一度魔法を放とうとする俺を守ろうとするラフェエニル。申し訳ないがラフェエニルには退散してもらわなければいけない。
フィナとレーキスを救いたくなった。ちょっと良心が痛んだだけだ。
「ラフェニ。下がれ」
「でも!」
「……ラフェニ、いいから下がれ」
俺が威圧をかけるとラフェエニルは渋々影響を受けないくらい離れていった。
これで安心だ、俺がフィナの魔術に直撃しても瀕死くらいで済むが、ラフェエニルがもし受けてしまったらどうなるかわからないのだ。
しかも俺は金で守られてるしな、そうだ、金の事を考えれば楽勝!
ずっとそれで生きてきたじゃないか!
「づおりゃぁあぁああああああああっ」
「はああああああああああああああ!」
銅貨二つとフィナの最大魔術がぶつかり合い、弾け、銅貨を押した。
さすがに俺のステータスの二倍もあるフィナの最大魔力をぶつかり合って押されないとも考えてはいなかった。
ま、そこは金パワーで制圧……。
「紅鞭!!」
「げっ」
控えていたレーキスから新たな武器を受け取り、あろうことか火属性を放つ。
魔術をそこまで極めていない俺、銅貨は引き戻すとしても間に合わない。
直撃するしかない。
覚悟を決めて、俺は銅貨に残っている魔力殆どすべてを込めてフィナに放った。
「きゃっ」
「がっ……ぐふっ…ぺっ! うおお……」
肩を切り裂かれただけのフィナと鞭が肩から腹まで思い切り当たり深くえぐれた俺ではダメージの差が全く違う。
しかし良心と金にかけて俺がフィナ救出作戦を止めることは無い!
口から一度血を吐き出してよろよろともう一度立つ。
マネーを引き戻して魔力を込めてまた構える。まあ魔力はまだ残ってるけどな。
「な、なんで立てるのですか!? なんでそこまでして諦めないのですか!?」
「そこのレーキスが真実を言いたくねえようだからな……俺がちょっとイケメンプレイを代わりにやろうって言ってんだよ! マネー行け!!」
「ざ、戯言です! レーキスが嘘をつくはずがありません! はっ」
「ぎっ……かはぁ……俺が、ここまで、して、るのに、まだ、信じられないと? そう、いうのか? よそ者が、ここまでして、嘘を、吐くかよ!!」
「っ……フィナ! とまれ! 奴の……奴の言っているとおりだ!!」
鞭が硬くなり俺の腹部の真ん中を貫き、血を吐きながらも俺は懸命に伝える。イケメンプレイについては突っ込んでほしくない。
しかしレーキスの言動にはフィナだけではなく俺までもが驚いた。
「うそ……ですよね? レーキスは騙されているだけです、嘘なんてつきません……」
「フィナ、お前は。お前は自分を責めすぎている。どうやらアタシじゃぁ、もうフィナという人格をとりもどせねえようだ」
「おいSSランクッ! 自分の、仲間も、信じられないのに、どうやって、悲しみを、乗り越えられる!? 信じてやれ、そんな苦しい顔を、しているよりもなぁ!!!」
最後の力。そんな言葉が適切だ。
切り捨てるかのように全身の力を使って俺は言葉を言い切って意識を失う。
フィナもレーキスも苦しそうな顔をしている。
しかし二人ともその意味は違っていた。
フィナはレーキスと「彼」への謝罪の意念、俺への尊敬の意念を込めた顔。
レーキスはフィナと「彼」への罪悪感と、フィナを止められなかったという顔。そして、フィナを本当に守って大切にしてあげられなかった顔……。
俺は、そこまでしか見ることができなかった。
「健樹君! 健樹君起きて、お願い! いや、いや!! いやよ!!」
「スーパー・ヒーリング」
レーキスがフィナの肩で重なるようにすれ違い、俺に回復魔法をかけた。
傷がふさがり、焼くような痛みも軽くなっていく。
俺の表情も緩くなっていったところで、レーキスとラフェエニルが安堵の声を上げた。
とん、という音がして二人が振り返ると、フィナが膝をついていた。
「私は……間違っていたというのですか」
そう言ってすすり泣くフィナに、レーキスは言葉をかけてあげられなかった。
何を言えばいいのか、分からなかった。
「いいえ、きっと間違ってはいないわ。貴方は貴方、それが貴方の気持ちの表れなのよ。きっとその「彼」も許してくれるはずだわ」
そんな時、出会って間もないラフェエニルが、フィナに声をかけた。
まだまだだな、とレーキスはため息をついてそっとフィナを抱きしめる。
「ケンキ、だったか? 図書館に行くんだろ、アタシとフィナはあそこになにがあるのか頭に焼き付けてるぜ、良かったらお詫びに手伝おうか?」
「勿論ケンキさんが回復してからでいいですよ。私達はギルドの隣の宿に居ますので、あとたまにギルドに居ますので、見かけたら声をかけてください」
「分かったわ。じゃあ健樹君行くわよ」
「あー……へい」
三人が話しているうちに俺の意識も戻った。
心のこもっていない返事を返すと何故かラフェエニルに担がれて帰ることになったのだ。
それを見てフィナとレーキスが笑っていたのは俺も聞こえた。
よし。
この事件も金で解決!
しまった! マネーを回収するのを忘れた!!
「聖雷!! 健樹君!? 大丈夫!?」
「だ、大丈夫なわけねえだろ!? てかラフェニ遅い、マジ遅い!!」
責めてるわけではない、ただディスってみたかっただけなのだ。
詠唱の通り聖なる雷が降りて軌道がずれ、何とか俺に当たらなかったが変形してまた向かってくる。
フィナは本気中の本気で、眼がすでに輝いている。
「諦めるのです! そうすればこれ以上痛めつけることはありません! 私に勝てないと誓うのです!」
「……俺にもプライドってやつがある。はっきり言ってお前は暗黒騎士とかそういうのと同類だ」
あえて言った。あえて傷つけた。
フィナには彼女のやっていることが違うと明言される必要があるのだ。
そうしなければフィナは自分を締め付け、いつかは破滅に追いやられる。
聞かない、とでもいうようにもう一度魔法を放とうとする俺を守ろうとするラフェエニル。申し訳ないがラフェエニルには退散してもらわなければいけない。
フィナとレーキスを救いたくなった。ちょっと良心が痛んだだけだ。
「ラフェニ。下がれ」
「でも!」
「……ラフェニ、いいから下がれ」
俺が威圧をかけるとラフェエニルは渋々影響を受けないくらい離れていった。
これで安心だ、俺がフィナの魔術に直撃しても瀕死くらいで済むが、ラフェエニルがもし受けてしまったらどうなるかわからないのだ。
しかも俺は金で守られてるしな、そうだ、金の事を考えれば楽勝!
ずっとそれで生きてきたじゃないか!
「づおりゃぁあぁああああああああっ」
「はああああああああああああああ!」
銅貨二つとフィナの最大魔術がぶつかり合い、弾け、銅貨を押した。
さすがに俺のステータスの二倍もあるフィナの最大魔力をぶつかり合って押されないとも考えてはいなかった。
ま、そこは金パワーで制圧……。
「紅鞭!!」
「げっ」
控えていたレーキスから新たな武器を受け取り、あろうことか火属性を放つ。
魔術をそこまで極めていない俺、銅貨は引き戻すとしても間に合わない。
直撃するしかない。
覚悟を決めて、俺は銅貨に残っている魔力殆どすべてを込めてフィナに放った。
「きゃっ」
「がっ……ぐふっ…ぺっ! うおお……」
肩を切り裂かれただけのフィナと鞭が肩から腹まで思い切り当たり深くえぐれた俺ではダメージの差が全く違う。
しかし良心と金にかけて俺がフィナ救出作戦を止めることは無い!
口から一度血を吐き出してよろよろともう一度立つ。
マネーを引き戻して魔力を込めてまた構える。まあ魔力はまだ残ってるけどな。
「な、なんで立てるのですか!? なんでそこまでして諦めないのですか!?」
「そこのレーキスが真実を言いたくねえようだからな……俺がちょっとイケメンプレイを代わりにやろうって言ってんだよ! マネー行け!!」
「ざ、戯言です! レーキスが嘘をつくはずがありません! はっ」
「ぎっ……かはぁ……俺が、ここまで、して、るのに、まだ、信じられないと? そう、いうのか? よそ者が、ここまでして、嘘を、吐くかよ!!」
「っ……フィナ! とまれ! 奴の……奴の言っているとおりだ!!」
鞭が硬くなり俺の腹部の真ん中を貫き、血を吐きながらも俺は懸命に伝える。イケメンプレイについては突っ込んでほしくない。
しかしレーキスの言動にはフィナだけではなく俺までもが驚いた。
「うそ……ですよね? レーキスは騙されているだけです、嘘なんてつきません……」
「フィナ、お前は。お前は自分を責めすぎている。どうやらアタシじゃぁ、もうフィナという人格をとりもどせねえようだ」
「おいSSランクッ! 自分の、仲間も、信じられないのに、どうやって、悲しみを、乗り越えられる!? 信じてやれ、そんな苦しい顔を、しているよりもなぁ!!!」
最後の力。そんな言葉が適切だ。
切り捨てるかのように全身の力を使って俺は言葉を言い切って意識を失う。
フィナもレーキスも苦しそうな顔をしている。
しかし二人ともその意味は違っていた。
フィナはレーキスと「彼」への謝罪の意念、俺への尊敬の意念を込めた顔。
レーキスはフィナと「彼」への罪悪感と、フィナを止められなかったという顔。そして、フィナを本当に守って大切にしてあげられなかった顔……。
俺は、そこまでしか見ることができなかった。
「健樹君! 健樹君起きて、お願い! いや、いや!! いやよ!!」
「スーパー・ヒーリング」
レーキスがフィナの肩で重なるようにすれ違い、俺に回復魔法をかけた。
傷がふさがり、焼くような痛みも軽くなっていく。
俺の表情も緩くなっていったところで、レーキスとラフェエニルが安堵の声を上げた。
とん、という音がして二人が振り返ると、フィナが膝をついていた。
「私は……間違っていたというのですか」
そう言ってすすり泣くフィナに、レーキスは言葉をかけてあげられなかった。
何を言えばいいのか、分からなかった。
「いいえ、きっと間違ってはいないわ。貴方は貴方、それが貴方の気持ちの表れなのよ。きっとその「彼」も許してくれるはずだわ」
そんな時、出会って間もないラフェエニルが、フィナに声をかけた。
まだまだだな、とレーキスはため息をついてそっとフィナを抱きしめる。
「ケンキ、だったか? 図書館に行くんだろ、アタシとフィナはあそこになにがあるのか頭に焼き付けてるぜ、良かったらお詫びに手伝おうか?」
「勿論ケンキさんが回復してからでいいですよ。私達はギルドの隣の宿に居ますので、あとたまにギルドに居ますので、見かけたら声をかけてください」
「分かったわ。じゃあ健樹君行くわよ」
「あー……へい」
三人が話しているうちに俺の意識も戻った。
心のこもっていない返事を返すと何故かラフェエニルに担がれて帰ることになったのだ。
それを見てフィナとレーキスが笑っていたのは俺も聞こえた。
よし。
この事件も金で解決!
しまった! マネーを回収するのを忘れた!!
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