異世界転移!~俺は金(マネー)で強くなる!~

なぁ~やん♡

三話:マネー男と冒険者ギルド

 俺とラフェエニルはギルドの机に座ってコーヒーを飲んでいた。食文化については日本とそう変わらないようだ。ちなみに豆知識としてこの世界が地球と最も近いことが分かった。

 ギルド登録をすると、たくさんの説明を受けた。
 ギルドとは、出された依頼をこなして報酬をもらう物。聞いたときにはよだれが出そうになった。貴族からでも、国からでも、或いは冒険者からでも依頼は出せる。
 そしてある程度の報酬がないと冒険者が動かないというのも聞かせてもらった。

 ランクはF、D、C、B、A、S、SS、Mとなっている。最初聞いたときはドSよりドmが上だとかいう象徴をしているのが由来だと思った。だって一番上が「M」ではその想像も異世界人ならではだ。
 Fランクでも相当な強さがあり、Dランクとなれば誇れるランク、Cランクは人々が羨むランク、Bランクは貴族からも一目置かれるランク、Aランクは爵位を貰えるようになるランク、Sランクともなれば賢者になることも可能なランク。賢者とバトルするというのが付け加えられる。
 SSランクになればもう金には困らないだろう、どのような素晴らしい人にも面会はできるようになる。例えば賢者よりも上な大賢者とか。国と優位になって取引もできる。

 Mは誰もいないし、過去にも大賢者以外履歴がない。

「Mまでになったら金には困らないだろうなぁ……」

「あら、SSランクではまだ満足しないの? あ、まさかドmになりたいのかしら?」

「どっちかというとドSになりてえ」

「……引くわ」

 Mまでになったら大賢者と取引だってできるのではないかと考える。もしかしたら魔王的なのを撃破するというのも狙えたり。
 どちらにしろ俺はただ単に金が欲しい!! 金が欲しい!!!!!!!!

 ドSとかドmなんかどうでもいい、金がもらえれば、それでいいのだ。

「依頼をこなすのは修行を終えてからにするわよ。戦いも未熟じゃ何もできないじゃない」

「そらもっともだな、そりゃ……」

「あの、ケンキさんですよね? あなた達にぴったりな依頼があるのですが……」

 そう言って羊皮紙を差し出してきたのは受付嬢サテラだ。彼女は身長が低いの以外では非の打ちどころがなく、ラフェエニルより胸も大きい!
 そしてギルドではマドンナ的存在で、彼女の敵は皆の敵という感じだ。

 サテラが俺の隣に座ると周りからの視線が痛くなる。
 幸い自分でも自分の姿が一際上だということは自負しているためラノベのように白目を向けられることはない。

「あの、ステータス上げ専門で定期に来る依頼なんです」

「へぇ……スライムダンジョン、Fランクでも可能。人数制限なし。層数は三層か」

「それなら私たちでも行けそうね」

 どうやらラフェエニルも乗り気のようだ。
 ダンジョンがどうしてできるのかは未だ解明されていない。

 ただ、ダンジョンマスターが管理していて、迷宮よりレベルが低いもの。迷宮との違いは、ダンジョンマスターが居るということ。層の数が分かれていること。そして難易度。
 迷宮には五十層、六十層、七十層、八十層、九十層、百層にそれぞれマスターがいる。
 どれも強く、突破するには半端な気持ちではムリだ。

 しかしダンジョンは初心者が通うことが多い。全百層ある迷宮より難易度が低い。

 そしてスライムとはぷるぷるの最弱魔物。見くびってはいけないが。今の俺達には確かにぴったりの依頼だった。

「んー、あさって此処に来るから取っておくとか言うのはありか?」

「はい。必ず来ると証明できればありです」

「私達のことが信用できないかしら? まあいいわ、これをあげる」

 ラフェエニルは称号に女神と剣士がある。それはギルド登録の際にステータスを羊皮紙に書く時に俺もサテラも分かっていたことだ。
 その分身であり命である剣を預けるということは、相当なことがなければない。

 分かっているサテラは剣を受け取ると頭を下げて羊皮紙を持って受付に去っていった。剣をよく見たくてそそくさと帰っていったのは本人のみが知る。

「つーかスライムダンジョンとかよぉ」

「ボスのキングスライムのコアは意外にも高価よ。マネーになるわ」

 ずず、とラフェエニルはコーヒーを一口すする。

「マジか!? マネーになるのか! 絶対行く、明日にでも行きたい!! 金ぇえ!」

「……本当健樹君はお金のことになるとそうなるわよね」

「たりめーだろ!? 金は命! 金は俺の分身!!」

 ちなみにこれでも声を絞っているため周りの冒険者には聞こえない。
 ぐい、と二人は残っているコーヒーを飲み干す。

 冒険者ギルドでのコーヒーは無料で支給される、休憩用の飲料だ。

「そうと決まったら早く帰りましょう、色々訓練をする必要があるわ」

「うわぁ、傷み慣れとかあるよなあ」

「えぇ。最初は刺されまくるだけよ、段々と痛くなくなるわ」

「それ、俺マジでドm化しないか心配なんだけど……いや金が守ってくれるから大丈夫!」

 やはり金への熱情は変わらなかった。
 街を歩いているとドワーフや獣人が居たりして思わずモフモフしたくなったりする。
 しかし金で感情を制圧する。マネーは万能なり。

 今無一文なのはとってもとってもイラつくが働いて取り戻すしかない。

「んじゃあ、始めようか」

 家についた俺達はラフェエニルの掛け声とともに修行(仮)を始めたのだった。

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