【書籍化作品】無名の最強魔法師
絡み合う思想と想い(11)
「リネラスッ!?」
リネラスの後を追って俺も走り出す。
彼女の手が扉に触れるところで追いつく。
それと同時に扉が外側に向かって開けられていくのに危機感を抱きながら彼女を抱き寄せる。
「ユウマ!? 一体なのを!?」
「静かにしていろ!」
俺は、リネラスの口元を手で覆う。
そして身体強化魔法を発動し、その場から跳躍した。
冒険者ギルドのフィンデイカ村支部。
その建物の上に着地した俺は、リネラスがすぐに動けないように力を入れて押さえ込みながら下を見る。
建物から出てきたのは、リネラスの精神世界で出てきた男ではなく、まったく別人の老人であった。
ただ、その男には見覚えがあった。
「あれは……」
「コークスさん?」
抵抗していたリネラスが、ハッとした表情で下を見ながら落胆した表情で言葉を紡いでいた。
それと同時に。
「ユウマ、ごめんなさい」
「いい、気にするな……」
「私、お父さんに会えるかも知れないって思って――」
「そうか……」
「私、馬鹿だよね……。死んだ人に会えるわけがないのに、記憶の中だって分かっていたのに……。それでも、お父さんに会えると思ったら……、気がつけば走っていて――」
「気にすることはない。誰だって、大切な人はいるものだ。俺にとってお前や妹みたいににな……、だから大切な人に会いたいって気持ちを抑えるのは間違っていると思う。ただ、精神世界では、取り込まれる可能性があるから、今回は止めたんだ」
「それって……」
「ああ、お前を助けるためにリンスタットさんを連れて行ったときに、物の見事にリネラスの精神世界の住人として取り込まれていた」
「そうなの……」
「ああ――」
俺はリネラスの問いかけに頷く。
「私、よく覚えていないのだけど……、お母さんは私のことを――」
「俺が見ている限りでは、とても大事にしていたぞ?」
俺はリネラスの頭を撫でながら話かける。
先ほどまで体を強張らせていた彼女の体から緊張感が抜けていくと、俺に体を預けてきた。
「そうよね……、イノンの真意を確認しないといけないからね。取り込まれるわけにはいかないものね」
「ああ、それに……いまの、お前には俺がいるからな。何かあれば頼ればいい」
「――!?」
何故か知らないがリネラスが顔を真っ赤にして、「ユウマのバカッ!」と、小さく呟いてくると、耳元に顔を寄せてくると「ありがとうねっ」と囁いてきた。
一瞬、その仕草にドキリとしながら、話題を転換しようと考え――。
「リネラス、さっき出てきた人を知っているのか?」
「えっと――」
「コーク爺のことだ」
「コーク爺? コークスさんのことだよね?」
「ああ、たぶん……」
「あの人は、お父さんが冒険者ギルドのギルドマスターとしてフィンデイカ村に赴任してくる前の冒険者ギルドマスターだったはずだよ?」
「ほー……」
俺はコーク爺を見ながら、リネラスの説明を聞く。
てっきり、コーク爺は薬師がというか医師の真似事をしていたのが本来の職業だと思っていたのだが……。
本来の職業はギルドマスターだとはな――。
人は見かけによらないものだ。
「そうなると、今の時期はリネラスと父親は、まだフィンデイカ村には来ていないのか?」
「分からないわ、でも赴任してきてから、しばらくして冒険者ギルドマスターをコークスさんは辞めたから」
「つまり、フィンデイカの村には、リネラスと父親が居る可能性もあるってことか……」
「それは無いと思うけど……だって、たぶんだけどエルフガーデンから向かっている途中だと思うから……」
「そうか……」
しかし、それにしても……。
コーク爺が、フィンデイカ村の元とは言え冒険者ギルドマスターだとは思わなかったな。
「とりあえず、俺だけで冒険者ギルドに入ってくるからお前は、ここで待っていろ。いいな?」
「分かったわよ……」
俺の言葉に、リネラスはしぶしぶと言った表情で頷くのを確認すると、屋根の上から俺は飛び降りた。
リネラスの後を追って俺も走り出す。
彼女の手が扉に触れるところで追いつく。
それと同時に扉が外側に向かって開けられていくのに危機感を抱きながら彼女を抱き寄せる。
「ユウマ!? 一体なのを!?」
「静かにしていろ!」
俺は、リネラスの口元を手で覆う。
そして身体強化魔法を発動し、その場から跳躍した。
冒険者ギルドのフィンデイカ村支部。
その建物の上に着地した俺は、リネラスがすぐに動けないように力を入れて押さえ込みながら下を見る。
建物から出てきたのは、リネラスの精神世界で出てきた男ではなく、まったく別人の老人であった。
ただ、その男には見覚えがあった。
「あれは……」
「コークスさん?」
抵抗していたリネラスが、ハッとした表情で下を見ながら落胆した表情で言葉を紡いでいた。
それと同時に。
「ユウマ、ごめんなさい」
「いい、気にするな……」
「私、お父さんに会えるかも知れないって思って――」
「そうか……」
「私、馬鹿だよね……。死んだ人に会えるわけがないのに、記憶の中だって分かっていたのに……。それでも、お父さんに会えると思ったら……、気がつけば走っていて――」
「気にすることはない。誰だって、大切な人はいるものだ。俺にとってお前や妹みたいににな……、だから大切な人に会いたいって気持ちを抑えるのは間違っていると思う。ただ、精神世界では、取り込まれる可能性があるから、今回は止めたんだ」
「それって……」
「ああ、お前を助けるためにリンスタットさんを連れて行ったときに、物の見事にリネラスの精神世界の住人として取り込まれていた」
「そうなの……」
「ああ――」
俺はリネラスの問いかけに頷く。
「私、よく覚えていないのだけど……、お母さんは私のことを――」
「俺が見ている限りでは、とても大事にしていたぞ?」
俺はリネラスの頭を撫でながら話かける。
先ほどまで体を強張らせていた彼女の体から緊張感が抜けていくと、俺に体を預けてきた。
「そうよね……、イノンの真意を確認しないといけないからね。取り込まれるわけにはいかないものね」
「ああ、それに……いまの、お前には俺がいるからな。何かあれば頼ればいい」
「――!?」
何故か知らないがリネラスが顔を真っ赤にして、「ユウマのバカッ!」と、小さく呟いてくると、耳元に顔を寄せてくると「ありがとうねっ」と囁いてきた。
一瞬、その仕草にドキリとしながら、話題を転換しようと考え――。
「リネラス、さっき出てきた人を知っているのか?」
「えっと――」
「コーク爺のことだ」
「コーク爺? コークスさんのことだよね?」
「ああ、たぶん……」
「あの人は、お父さんが冒険者ギルドのギルドマスターとしてフィンデイカ村に赴任してくる前の冒険者ギルドマスターだったはずだよ?」
「ほー……」
俺はコーク爺を見ながら、リネラスの説明を聞く。
てっきり、コーク爺は薬師がというか医師の真似事をしていたのが本来の職業だと思っていたのだが……。
本来の職業はギルドマスターだとはな――。
人は見かけによらないものだ。
「そうなると、今の時期はリネラスと父親は、まだフィンデイカ村には来ていないのか?」
「分からないわ、でも赴任してきてから、しばらくして冒険者ギルドマスターをコークスさんは辞めたから」
「つまり、フィンデイカの村には、リネラスと父親が居る可能性もあるってことか……」
「それは無いと思うけど……だって、たぶんだけどエルフガーデンから向かっている途中だと思うから……」
「そうか……」
しかし、それにしても……。
コーク爺が、フィンデイカ村の元とは言え冒険者ギルドマスターだとは思わなかったな。
「とりあえず、俺だけで冒険者ギルドに入ってくるからお前は、ここで待っていろ。いいな?」
「分かったわよ……」
俺の言葉に、リネラスはしぶしぶと言った表情で頷くのを確認すると、屋根の上から俺は飛び降りた。
コメント
翔平
何で魔法使えるん?笑
精神世界は使われへんかったくない?わら