【書籍化作品】無名の最強魔法師
親類の絆(12)
「私、一時でも貴方の事を聖人だと思っていたけど……取り消しにさせてもらうわ」
「ユウマさん、さすがに……それを女性に見せるのはどうかと思います」
エリンフィートに続いて、リンスタットが俺の格好を見て小言を言ってくるが、俺だって好きで裸でいるわけではない。
第一、二人が裸だと恥ずかしいようなことを言っているから、俺が堂々と裸を見せることで相殺してるようなものなのだ。
わざわざ気を使って腰に手を当ててまでいるのに、文句を言われるとさすがに俺としても気を使ってフォローしたのが馬鹿みたいに思えてならない。
「とりあえず、どうするか?」
俺は両腕を組みながら二人が「前を隠して!」と顔を真っ赤に言ってくる言葉を無視しながら考える。
さすがに、深層心理の世界と言えど裸で歩いていたらリネラスに何か言われるかもしれない。
そう考えると、洋服が必要か?
ただ、問題は洋服の生地が森の中にはないという点だ。
「エリンフィート」
「なんですか? この変態!」
「ひどくね? 俺がわざと裸を見せびらかしてるような誤解を与えるような言い方やめてくれないか?」
「変態に言いますけど、土地神は人の精神に作用を及ぼすことは不可能です。そんなことが出来たら全知全能です」
「なるほど、つまり痴女たるエリンフィートには、どうにも出来ないということか」
「はあ? 貴方、今なんて言いました!? なんて言いました? あなたが何も考えずに精神世界に引き摺り込んだからこんな事になっているのに! 言うに事欠いて! 私を痴女! 痴女扱いですか?」
エリンフィートは立ち上がると俺の首を両手で掴み前後に揺らし始めた。
そこには、もう普段のお淑やかさを全面的に押し出したエリンフィートの姿は欠片も存在していない。
「おい、やめろ! 頭が揺らされて気持ち悪いだろ!」
「死んでください! 本当にもう死んでください! 死んで詫びてくださいいいい」
「エ……エリンフィート様……」
普段とは似て似つかないというか本性を現したというか馬脚を見せたエリンフィートの様子を見てリンスタットは、ショックであったのか呆然とエリンフィートの名を呟きながら、俺とエリンフィートの掛け合いを見ている。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
すると、深層心理世界に入ったときに初めて出会った幼少期のリネラスとサマラが姿を現して。
「え?」
「は、はだ……はだか?」
二人とも、いつもなら近づいてきて話しかけてくるというのに、リネラスとサマラは、それぞれ言葉を発すると、まるで俺たちと彼女達との間に壁があるように近づいてこようとしない。
本来なら、上手く出会う方法を考える予定ではあったが、こうなっては仕方ない!
上手く話して相手に危険人物もとい変態では無いと説明するしか――。
「えーと、リネラスにサマラだな? そこの金髪碧眼の幼女! リネラス! お前に少し話しがある」
「ど、どうして……私の名前を……」
「――あ……」
「何をしているんですかー」
短くとも相手に明確に物事を伝えようとした言葉は、少しだけ、ほんの少しだけ言葉選びを間違えてしまったようだ。
おかげで、エリンフィートが後ろで突っ込みを入れてくる。
そんな俺たちの様子を見ていた幼少期のサマラが「リネラス、危険だよ! 逃げないと! 絶対、この人たちおかしいよ!」と、リネラスに忠告している。
まぁ間違ってはいないが、俺も含まれているのはちょっと心外だ。
だいたい全部、エリンフィートが悪い。
土地神って言うくらいなんだから、きちんと対策を取っておくべきだったのに、白色魔法石を用意しておかなかったおかげでこの様だ。
「はぁー……」
溜息しかでない。
間違いなく、かなり相手に危機感を持たせてしまった。
おかげで前回に来た時とは、違った反応が見られるが、本当に困ったものだ。
とりあえず、最初の出会いから再スタートになる可能性がある―ーそう、俺は思っていたが……。
「お母さん? どうして裸でいるの? え? 老けてる?」
「まって! どういうこと! 私が老けてるってどういうこと!?」
どうやら、リネラスがリンスタットに気がついたようで少しだけ警戒心が緩んだ表情を見せてきた。
どうやら、話が出来るようだな。
「待って! 老けたってどういうことなの! ちょっと! リネラス! もう一度聞くわよ!」
「お母さんが怒った……」
何故か知らないがリンスタットが、かなり怒っているが、上手く話しが回りそうだったところで、そういうのは本当にやめてほしい。
「リンスタット、少しくらい老けて見られてもいいじゃないか? おかげで話ができそうだし」
「老けて見られてもいいって!? ユウマさんまで!? どうせ、私はおばさんですよおおおお」
よくは分からないがリンスタットもエリンフィートも叫んでばかりだな。
やはり、この世界は危険な場所なのかも知れない。
たしかに精神を防御できる白色魔法石が無いと、色々と大変なようだ。
「ユウマさん、さすがに……それを女性に見せるのはどうかと思います」
エリンフィートに続いて、リンスタットが俺の格好を見て小言を言ってくるが、俺だって好きで裸でいるわけではない。
第一、二人が裸だと恥ずかしいようなことを言っているから、俺が堂々と裸を見せることで相殺してるようなものなのだ。
わざわざ気を使って腰に手を当ててまでいるのに、文句を言われるとさすがに俺としても気を使ってフォローしたのが馬鹿みたいに思えてならない。
「とりあえず、どうするか?」
俺は両腕を組みながら二人が「前を隠して!」と顔を真っ赤に言ってくる言葉を無視しながら考える。
さすがに、深層心理の世界と言えど裸で歩いていたらリネラスに何か言われるかもしれない。
そう考えると、洋服が必要か?
ただ、問題は洋服の生地が森の中にはないという点だ。
「エリンフィート」
「なんですか? この変態!」
「ひどくね? 俺がわざと裸を見せびらかしてるような誤解を与えるような言い方やめてくれないか?」
「変態に言いますけど、土地神は人の精神に作用を及ぼすことは不可能です。そんなことが出来たら全知全能です」
「なるほど、つまり痴女たるエリンフィートには、どうにも出来ないということか」
「はあ? 貴方、今なんて言いました!? なんて言いました? あなたが何も考えずに精神世界に引き摺り込んだからこんな事になっているのに! 言うに事欠いて! 私を痴女! 痴女扱いですか?」
エリンフィートは立ち上がると俺の首を両手で掴み前後に揺らし始めた。
そこには、もう普段のお淑やかさを全面的に押し出したエリンフィートの姿は欠片も存在していない。
「おい、やめろ! 頭が揺らされて気持ち悪いだろ!」
「死んでください! 本当にもう死んでください! 死んで詫びてくださいいいい」
「エ……エリンフィート様……」
普段とは似て似つかないというか本性を現したというか馬脚を見せたエリンフィートの様子を見てリンスタットは、ショックであったのか呆然とエリンフィートの名を呟きながら、俺とエリンフィートの掛け合いを見ている。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
すると、深層心理世界に入ったときに初めて出会った幼少期のリネラスとサマラが姿を現して。
「え?」
「は、はだ……はだか?」
二人とも、いつもなら近づいてきて話しかけてくるというのに、リネラスとサマラは、それぞれ言葉を発すると、まるで俺たちと彼女達との間に壁があるように近づいてこようとしない。
本来なら、上手く出会う方法を考える予定ではあったが、こうなっては仕方ない!
上手く話して相手に危険人物もとい変態では無いと説明するしか――。
「えーと、リネラスにサマラだな? そこの金髪碧眼の幼女! リネラス! お前に少し話しがある」
「ど、どうして……私の名前を……」
「――あ……」
「何をしているんですかー」
短くとも相手に明確に物事を伝えようとした言葉は、少しだけ、ほんの少しだけ言葉選びを間違えてしまったようだ。
おかげで、エリンフィートが後ろで突っ込みを入れてくる。
そんな俺たちの様子を見ていた幼少期のサマラが「リネラス、危険だよ! 逃げないと! 絶対、この人たちおかしいよ!」と、リネラスに忠告している。
まぁ間違ってはいないが、俺も含まれているのはちょっと心外だ。
だいたい全部、エリンフィートが悪い。
土地神って言うくらいなんだから、きちんと対策を取っておくべきだったのに、白色魔法石を用意しておかなかったおかげでこの様だ。
「はぁー……」
溜息しかでない。
間違いなく、かなり相手に危機感を持たせてしまった。
おかげで前回に来た時とは、違った反応が見られるが、本当に困ったものだ。
とりあえず、最初の出会いから再スタートになる可能性がある―ーそう、俺は思っていたが……。
「お母さん? どうして裸でいるの? え? 老けてる?」
「まって! どういうこと! 私が老けてるってどういうこと!?」
どうやら、リネラスがリンスタットに気がついたようで少しだけ警戒心が緩んだ表情を見せてきた。
どうやら、話が出来るようだな。
「待って! 老けたってどういうことなの! ちょっと! リネラス! もう一度聞くわよ!」
「お母さんが怒った……」
何故か知らないがリンスタットが、かなり怒っているが、上手く話しが回りそうだったところで、そういうのは本当にやめてほしい。
「リンスタット、少しくらい老けて見られてもいいじゃないか? おかげで話ができそうだし」
「老けて見られてもいいって!? ユウマさんまで!? どうせ、私はおばさんですよおおおお」
よくは分からないがリンスタットもエリンフィートも叫んでばかりだな。
やはり、この世界は危険な場所なのかも知れない。
たしかに精神を防御できる白色魔法石が無いと、色々と大変なようだ。
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