【書籍化作品】無名の最強魔法師
託された思い(15)
「とりあえずー……アリアはお風呂に入ってきなさい」
「むー!」
腕に抱きついていた妹が納得いかなそうな表情で俺を見上げてくる。
ただ、俺としては妹が変な匂いのまま、人前で行動してる方が問題だと思うわけで。
「アリア、きちんとお風呂に入ってきてからなら、抱きついてきても何も言わないからな」
「…………うっ! 分かったの……」
妹が、、もう片方の腕に抱きついてるセレンのほうへ視線をチラッと向けている。
ふむ……。
どうやら、同じ年くらいの同性に興味があるみたいだな。
そういえば、人口が三百人程度のアライ村では、妹と同じくらいの年齢の女の子を見なかった気がする。
そう考えてしまうと、妹がセレンと言い合いをさっきしてしまったのも色々と説明がつく。
きっと、同じ年齢くらいの同性とどう接していいか分からずに、ついつい悪口を言ったり絡んだりしてしまったのだろう。
まったく、うまう自分の感情が表現できないところは、まだまだ子どもだな。
「セレン、アリアにお風呂場の案内と入り方を説明してくれないか?」
「ええー……」
予想外の反応。
てっきり、いつも通り「うん!」と答えてくれると思っていた。
「無理か? 俺はセレンなら任せられると思って頼みたいんだが?」
「……私なら?」
「ああ、セレンにしか頼めない」
そう、同年代で同性のセレンなら妹のアリアも仲良くできるだろう。
最初から……まぁ、俺を出汁にして言い争いをするくらい仲が良いからな。
きっとフィーリングとか、そういうのが合ったのだろう。
「……ユウマお兄ちゃんが、私にしか頼めない……それは、つまり!?」
何故かセレンが俺の腕に抱きついたままブツブツと呟いているが、小さくてあまり聞き取れに無いな。
「ユウマお兄ちゃんは、私の事を大事に思ってたり? 将来的には責任を取ってくれたり!?」
何故か目を潤ませて俺を見上げてくるセレン。
俺のもう片方の腕に抱きついている妹は、力強く腕を引っ張ってくるが、今はセレンを説得して、妹の入浴のサポートをしてもらったほうがいいだろう。
お風呂場の場所を含めてきちんと教えてもらわないとあれだからな……。
まぁ、俺が教えてもいいんだが……。
それをするとセイレスを含んだ女性陣に「ロリコン!」とか、在らぬ疑いを掛けられそうでいやだし……。
適当にセレンの言葉に答えておけばいいだろう。
「ああ、セレンはすごく大事だ!」
そう、仲間としてセイレスの妹としても大事だな! とっても大事。
「将来の事や責任に関しては、きちんと生活が出来るように面倒を見るつもりだし安心していいぞ!」
将来に関してはリネラスが冒険者ギルドの職員として鍛えてるから問題はないだろう。
それに、仕事をする冒険者がきちんと集まるまで、俺が稼いで置けば言い訳だしな。
「ユウマお兄ちゃん……ううん、ユウマさん!」
俺の腕に抱きついたままのセレンが、頬を赤く染めて見上げてくると突然、俺の名前の呼び方を変えてきた。
おかしい。
何か心境に変化があったのだろうか?
それとも、俺の妹を見て甘えてばかりいるのはおかしいと思ったのだろうか?
しかし……どうも周りからの視線が痛いんだが……。
ユリカとか、このゴミが! みたいな目で俺を見てきているし。
セイレスに至っては手に持ってる黒板に、「さすがユウマさんですね!」とか書いている。
俺、何か間違った対応をしたのか?
考えても分からないが、おそらくユリカの俺を見る目が変わったのは、セレンが俺の事を呼ぶ言い方が変わった時だったはず……きっと、おそらく……たぶんだが……。
「セレン!」
「は、はい!」
「出来れば、最初のままユウマお兄ちゃんにしておいてもらいたい」
「え!?」
「ほら、やっぱり……その、あの、分かるだろう? いきなり名前というか言い方を変えるのは……な?」
俺の必死な言い回しにセレンは。
「――っ!」
顔色を変えて俺を見てくる。
どうやら、俺の意図が伝わったようだ。
さすがは冒険者ギルド受付の修行をリネラスにつけられるだけの事はあるな。
察する気持ちってのが育ってるらしい。
「うん! ユウマお兄ちゃんが将来まで考えていることは分かったの!」
「ん?」
セレンが何を言ってるのか、俺にはさっぱり分からないが、言い方を変えてくれることで、回りからの視線を何とか出来るなら乗っておくしかない! このビックウェーブに!
「そうだな!」
「でも、私だけじゃなくてお姉ちゃんも一緒にお願い!」
「ああ、もちろんだ!」
セイレスも俺の仲間だからな。
きちんと将来、自活できるようにお金をためられるように努力はする予定だったから問題はないだろう。
どうやら、俺の答えに納得したのかセレンは俺の腕から離れると妹の手をとって建物のほうへと向かっていった。
何故か知らないが「お兄ちゃんの浮気者!」と妹が叫んでいた気がするが、肉体的スペックが高いセレンに引き摺られる格好で妹はセレンに連れていかれ――。
「ユウマさん最低ですね」
二人が居なくなったところで、ユリカが呆れた表情で俺に苦言を呈してきた。
そしてセイレスはと言えば「姉妹丼ですかー」と書かれた黒板を俺に見せてきたが意味が分からん。
きちんと対応したはずなのに、どうして文句を言われないといけないのか!
「むー!」
腕に抱きついていた妹が納得いかなそうな表情で俺を見上げてくる。
ただ、俺としては妹が変な匂いのまま、人前で行動してる方が問題だと思うわけで。
「アリア、きちんとお風呂に入ってきてからなら、抱きついてきても何も言わないからな」
「…………うっ! 分かったの……」
妹が、、もう片方の腕に抱きついてるセレンのほうへ視線をチラッと向けている。
ふむ……。
どうやら、同じ年くらいの同性に興味があるみたいだな。
そういえば、人口が三百人程度のアライ村では、妹と同じくらいの年齢の女の子を見なかった気がする。
そう考えてしまうと、妹がセレンと言い合いをさっきしてしまったのも色々と説明がつく。
きっと、同じ年齢くらいの同性とどう接していいか分からずに、ついつい悪口を言ったり絡んだりしてしまったのだろう。
まったく、うまう自分の感情が表現できないところは、まだまだ子どもだな。
「セレン、アリアにお風呂場の案内と入り方を説明してくれないか?」
「ええー……」
予想外の反応。
てっきり、いつも通り「うん!」と答えてくれると思っていた。
「無理か? 俺はセレンなら任せられると思って頼みたいんだが?」
「……私なら?」
「ああ、セレンにしか頼めない」
そう、同年代で同性のセレンなら妹のアリアも仲良くできるだろう。
最初から……まぁ、俺を出汁にして言い争いをするくらい仲が良いからな。
きっとフィーリングとか、そういうのが合ったのだろう。
「……ユウマお兄ちゃんが、私にしか頼めない……それは、つまり!?」
何故かセレンが俺の腕に抱きついたままブツブツと呟いているが、小さくてあまり聞き取れに無いな。
「ユウマお兄ちゃんは、私の事を大事に思ってたり? 将来的には責任を取ってくれたり!?」
何故か目を潤ませて俺を見上げてくるセレン。
俺のもう片方の腕に抱きついている妹は、力強く腕を引っ張ってくるが、今はセレンを説得して、妹の入浴のサポートをしてもらったほうがいいだろう。
お風呂場の場所を含めてきちんと教えてもらわないとあれだからな……。
まぁ、俺が教えてもいいんだが……。
それをするとセイレスを含んだ女性陣に「ロリコン!」とか、在らぬ疑いを掛けられそうでいやだし……。
適当にセレンの言葉に答えておけばいいだろう。
「ああ、セレンはすごく大事だ!」
そう、仲間としてセイレスの妹としても大事だな! とっても大事。
「将来の事や責任に関しては、きちんと生活が出来るように面倒を見るつもりだし安心していいぞ!」
将来に関してはリネラスが冒険者ギルドの職員として鍛えてるから問題はないだろう。
それに、仕事をする冒険者がきちんと集まるまで、俺が稼いで置けば言い訳だしな。
「ユウマお兄ちゃん……ううん、ユウマさん!」
俺の腕に抱きついたままのセレンが、頬を赤く染めて見上げてくると突然、俺の名前の呼び方を変えてきた。
おかしい。
何か心境に変化があったのだろうか?
それとも、俺の妹を見て甘えてばかりいるのはおかしいと思ったのだろうか?
しかし……どうも周りからの視線が痛いんだが……。
ユリカとか、このゴミが! みたいな目で俺を見てきているし。
セイレスに至っては手に持ってる黒板に、「さすがユウマさんですね!」とか書いている。
俺、何か間違った対応をしたのか?
考えても分からないが、おそらくユリカの俺を見る目が変わったのは、セレンが俺の事を呼ぶ言い方が変わった時だったはず……きっと、おそらく……たぶんだが……。
「セレン!」
「は、はい!」
「出来れば、最初のままユウマお兄ちゃんにしておいてもらいたい」
「え!?」
「ほら、やっぱり……その、あの、分かるだろう? いきなり名前というか言い方を変えるのは……な?」
俺の必死な言い回しにセレンは。
「――っ!」
顔色を変えて俺を見てくる。
どうやら、俺の意図が伝わったようだ。
さすがは冒険者ギルド受付の修行をリネラスにつけられるだけの事はあるな。
察する気持ちってのが育ってるらしい。
「うん! ユウマお兄ちゃんが将来まで考えていることは分かったの!」
「ん?」
セレンが何を言ってるのか、俺にはさっぱり分からないが、言い方を変えてくれることで、回りからの視線を何とか出来るなら乗っておくしかない! このビックウェーブに!
「そうだな!」
「でも、私だけじゃなくてお姉ちゃんも一緒にお願い!」
「ああ、もちろんだ!」
セイレスも俺の仲間だからな。
きちんと将来、自活できるようにお金をためられるように努力はする予定だったから問題はないだろう。
どうやら、俺の答えに納得したのかセレンは俺の腕から離れると妹の手をとって建物のほうへと向かっていった。
何故か知らないが「お兄ちゃんの浮気者!」と妹が叫んでいた気がするが、肉体的スペックが高いセレンに引き摺られる格好で妹はセレンに連れていかれ――。
「ユウマさん最低ですね」
二人が居なくなったところで、ユリカが呆れた表情で俺に苦言を呈してきた。
そしてセイレスはと言えば「姉妹丼ですかー」と書かれた黒板を俺に見せてきたが意味が分からん。
きちんと対応したはずなのに、どうして文句を言われないといけないのか!
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