人ならざる者

朝比奈 江

去ることを恐れることなかれ

西暦2017年   6月  12日。
アジサイが水を求めるように、咲き乱れる梅雨の時期。
南沖田高等学園に2人の転入生が来た。
1人は、黒い髪に白い肌、黒縁のメガネをかけた青年。
もう1人は、先ほどとは違い元からなのか、染めたの分からない少し暗めの茶髪に眩しいくらいの笑顔の青年。

2年生、210名の前で2人は自己紹介をした。
「東京から来ました。岡本雅です。よろしく」
黒髪の青年がはじめに言う。
さっと、簡潔にいう雅とは違い茶髪の方は、チャラいノリで挨拶をした。
「どうも〜、初めまして!僕もこいつと同じで東京から来ました〜。名前は久能涼平です!仲良くしてね〜」

第一印象で、言うのなら「暗い奴」と「明るい奴」。

涼平は、とにかくモテた。誰にでも優しく、それでいてテストでは上位に入る。おまけに、スポーツ万能とくる。
転校後、1週間と立たずに女子の取り巻き達ができた。
一方、雅はというと、転校後すぐの中間テストで全教科1位を取るという秀才っぷりを見せる。
だが、ガリ勉と言うわけではなく成績優秀だが、授業中はほとんど寝ているという本物の天才。
それに、スポーツは涼平と同じくらい出来る。
そうなると、女子達は必ずやる。

「あなたは、どっち派?」

女子達は影でフィーバーしていた。

だが、ここにいる全生徒が知らない。
2人はただの生徒ではない。


「任務内容は今話した通りだ。資料もそちらに送っておこう。話は以上だ」
屋上で、携帯電話越しから男の声が聞こえる。
受け答えをするのは雅だ。
「はい、了解しました。準備が整い次第、久能と遂行します」

電話を切り、雅は空を見る。
特に意味は無い。ただ、癖になっているのかもしれない。

屋上のドアが錆び付いた音で開く。
「お前、どうやって屋上の鍵開けたんだよ」
入ってきたのは涼平だ。
「ピッキング」
30秒もかからない。と、当たり前のように言った。
「お前、犯罪者の方が向いてるよ」
呆れたように言い返す涼平は、屋上の金網の元へ歩いていき寄りかかる。
ギシギシと、重そうに悲鳴をあげる金網。
「涼平、班長から任務がきた」
「よし、やったりますかー」

まるで、近くのコンビニに行くように2人は屋上を後にした。

彼らと同じ高校に通う、全校生徒は知らない。
彼らが、今から何をするのかを。
何をしてきたのか。これから成し遂げようとする任務内容を。

彼らは、討伐しに行く。妖を殺しに行く。
それが、彼らの仕事なのだ。

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