お兄ちゃんがお母さんで、妹が甘えん坊なお話
お兄ちゃん、楽しみだね~♪
「さあ~!!初めての家族旅行だ!!思いっきり遊ぶぞ~!!」
高宮家の大黒柱である翔羽が、家族旅行に行くと宣言してから一週間。
この世で一番愛おしい存在である涼羽と羽月と、親子水入らずでどこかに遊びに行くという、これまでの人生においてトップ3に入るであろうほどの重要イベント。
そのイベントが、想定外のトラブルなどにつぶされないよう、マラソンランナーが全身全霊でラストスパートをかけていくかのごとく、仕事をこなしていったこの一週間。
それは、普段でもそれを見ている周囲の人間の驚愕を誘うほどのものなのだが…
もはやそれを通り越して、開いた口がふさがらない状態になってしまうようなものとなっていた。
湯水のように湧いてくる仕事を、常に底がついてしまうほどのペースでこなしていき、さらにはそれをしっかりと後任となるであろう部下達にしっかりと引継ぎ。
それまで、常に全力だと思われていた高宮 翔羽の能力に、まだ先があったことに、最も近くでその仕事ぶりを見ている部下達はもちろんのこと、幸助も誠一も驚きを隠さずにはいられないほどとなっていた。
――――これまで見てきたものですら、絶句してしまうほどのものなのに…――――
――――この人には、底はないのか!!??――――
ここまでの業務多忙ぶりもあり、決して疲れがないはずなどないにも関わらず、まさかさらにその仕事ぶりが向上するとは、夢にも思わなかった。
それを見せ付けられた部下達は、最初はそのあまりの能力に絶句してしまうものの…
すぐに、それほどに凄い人物が自分達の上司であるということに、言いようのない優越感を感じてしまうようになる。
そして、その優越感以上に、高い目標としてやる気が増していき、さらにはより尊敬するようになる。
予想以上のペースで業務をこなしていったため、週末を迎える直前の木曜日には予定していた以上の業務をこなしてしまった翔羽。
この時点で引継ぎも終え、逆にやることがなくなってしまったため、予定よりも早い金曜日から、涼羽と羽月の放課後以降から念願の旅行に出かけることとなったのだ。
もちろん、業務上で何かあったらすぐに連絡をするように部下達には伝えている。
当然、部下達もどうしようもない時はそうするようには思ってはいる。
いるが、尊敬してやまない部長が、ようやく得ることの出来た家族との水入らずの旅行という時間を、自分達の学習、引継ぎ不足などということでつぶすことなど、あってはならないと思っている。
木曜日に翔羽が帰宅した後、部下達はそれをお互いに確認しあうかのように決起し、そしてこの金曜日も、翔羽から引き継がれたことをしっかりと把握した上で業務に取り組んでいるため、よほどのトラブルが発生しない限りは大丈夫だという安心感を、周囲の人間は見ている。
さすがはあの高宮 翔羽が率いて、育てている人材だと、社内はもちろんのこと、関連会社からも高い評価をもらえるほどと、なっている。
「えへへ~♪お兄ちゃん、楽しみだね~♪」
「うん、楽しみだね」
父が運転するレンタカーの後部座席で、涼羽と羽月の二人が仲良く寄り添い合いながら、本当に楽しそうな笑顔を浮かべている。
大型連休などにも絡まない、至って普通の日程の中であるため、宿泊先となる宿も思いのほかあっさりと予約することができている。
自然を好み、建造物に囲まれたコンクリートジャングルのような風景を好まない涼羽の趣向に合わせるように、都会から離れた山の中の温泉宿に、向かっている最中だ。
実は涼羽も、山の中にあるような温泉宿というところに非常に興味があったようで、さりげなく自分でいつか行ってみようと思い、自分の趣向に合いそうなところをリサーチしたりしていた。
そういうところで、静かで美しい自然の風景を眺めながら、プログラミングと言う名のものづくりに没頭するということを、してみたいと思っていたのだ。
そんな涼羽の心に秘めていた思いを、翔羽は涼羽のパソコンにある、インターネットの検索履歴から見つけてしまう。
それを見て、この可愛いの化身ともいえる最愛の息子の望みを叶えてあげようと、涼羽が好むような温泉宿に予約を入れたのだ。
羽月はもともと涼羽が一緒なら、どこだって構わないという、本当にブラコンな女の子であるため、事前に父、翔羽にどこに行きたいか聞かれた時も、『お兄ちゃんと一緒ならどこでもいいよ!』と、さらっと一言で済ませている。
そして、羽月もどうせ旅行に行くなら兄、涼羽が喜ぶところに行きたいという思いがあったため、父、翔羽の思いに二つ返事で賛同。
そして、今回の旅行の目的地を実際に伝えた時の涼羽の喜びよう。
普段からおっとりとして落ち着いた雰囲気の涼羽が、まるで幼い子供になったかのように無邪気に声をあげて喜ぶという、そんな姿。
そして、ひたすら純粋に嬉しさを隠せない声で、『お父さん、ありがとう!!』と何度も言いながら、普段ならまずないと言える、涼羽の方から翔羽にべったりと抱きついてくるという事象。
ここまで純粋に、素直に喜んでくれる涼羽を見て、それだけでもこの家族旅行を計画してよかったと、翔羽は心の底から思え、自分にべったりと抱きついてくる息子をいつものようにぎゅうっと抱きしめ、思いっきり可愛がることとなった。
「お父さん、本当にありがとう!俺、山の中の風景って本当に見てみたいって思ってたんだ!」
「そうかそうか!涼羽がそんなに喜んでくれてるなら、お父さんは本当に嬉しいよ!」
「わたしも、お兄ちゃんがそんなに喜んでくれてたら、すっごく嬉しくなってきちゃう!」
「ありがとう、羽月!」
明らかにいつもよりテンションの高い涼羽の言葉に、翔羽も羽月もつられてにこにこ笑顔を隠せないでいる。
そして、同じようにはじけるような喜びの声をあげてしまう。
レンタカーである、どこでも見かけるような乗用車の中は、本当に家族団らんと言えるような、幸せと喜びに満ち溢れた雰囲気となっている。
目的地まで時間がかかるため、しばらく車での移動は続くことになるのだが、それも涼羽と羽月にとっては初めてのことであるため、非常に新鮮で、非常に楽しそうに車での移動を満喫している。
「お兄ちゃん!」
そして、いつものように羽月が、涼羽の胸に甘えるように顔を埋めて、べったりと抱きついてくる。
兄、涼羽の華奢で柔らかな身体の感触を堪能するかのように、ぎゅうと抱きしめ、絶対に離さないと言わんばかりにその両腕に力を込める。
「ふふ…羽月はこんな時でも、甘えたいの?」
そんな妹、羽月をいつものように優しく抱きしめ、その頭を壊れ物を扱うように繊細に撫でる涼羽。
現在、家族旅行の真っ最中ということもあり、いつもよりも優しく、嬉しそうな笑顔を浮かべている。
「うん!だってわたし、お兄ちゃんのことだあ~い好きだもん!」
「そう…ありがとう」
「だあ~い好きなお兄ちゃんに、ぎゅ~ってして、なでなでされるの、ほんとに幸せだもん!」
「そうなんだ…羽月が喜んでくれてるなら、俺も嬉しいな」
「だからお兄ちゃん!も~っとぎゅ~ってして、なでなでしてね♪」
「ふふ…うん、い~っぱいしてあげるね、羽月」
「わ~い!」
いつも通りの仲睦まじい、いつもよりも嬉しそうな雰囲気の高宮兄妹。
兄の胸の中に顔を埋めて、思いっきり甘えるという行為が、羽月には本当に幸せで幸せでたまらない。
それだけで、兄の愛情を思う存分に感じることができるから。
それだけで、最愛の兄を独り占めすることができるから。
だから、この行為は羽月にはやめることなどできないものとなっている。
「あ~…俺の子供達は本当に可愛いなあ~…」
運転中であるため、視線を向けることはできないが、最愛の子供達のそんな声を聞いているだけで、翔羽の顔はゆるゆるに緩んだ笑顔になってしまう。
これが運転中でなければ、すぐにでもこの可愛すぎて、愛おしすぎてたまらない二人の子供を、自分の腕の中に抱きしめて離さないこととなっている。
「お兄ちゃん、だあ~い好き♪お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんだもん♪」
「もう…羽月ったら、ほんとに甘えん坊さんだね」
予定よりも早く始まることとなった、高宮家にとって初めてとなる家族旅行。
その始まりから、もうすでに溢れんばかりの幸せが、車の中に満ち溢れている。
周囲にもおすそ分けと言わんばかりのその幸せの中、目的地への移動は続いていくので、あった。
高宮家の大黒柱である翔羽が、家族旅行に行くと宣言してから一週間。
この世で一番愛おしい存在である涼羽と羽月と、親子水入らずでどこかに遊びに行くという、これまでの人生においてトップ3に入るであろうほどの重要イベント。
そのイベントが、想定外のトラブルなどにつぶされないよう、マラソンランナーが全身全霊でラストスパートをかけていくかのごとく、仕事をこなしていったこの一週間。
それは、普段でもそれを見ている周囲の人間の驚愕を誘うほどのものなのだが…
もはやそれを通り越して、開いた口がふさがらない状態になってしまうようなものとなっていた。
湯水のように湧いてくる仕事を、常に底がついてしまうほどのペースでこなしていき、さらにはそれをしっかりと後任となるであろう部下達にしっかりと引継ぎ。
それまで、常に全力だと思われていた高宮 翔羽の能力に、まだ先があったことに、最も近くでその仕事ぶりを見ている部下達はもちろんのこと、幸助も誠一も驚きを隠さずにはいられないほどとなっていた。
――――これまで見てきたものですら、絶句してしまうほどのものなのに…――――
――――この人には、底はないのか!!??――――
ここまでの業務多忙ぶりもあり、決して疲れがないはずなどないにも関わらず、まさかさらにその仕事ぶりが向上するとは、夢にも思わなかった。
それを見せ付けられた部下達は、最初はそのあまりの能力に絶句してしまうものの…
すぐに、それほどに凄い人物が自分達の上司であるということに、言いようのない優越感を感じてしまうようになる。
そして、その優越感以上に、高い目標としてやる気が増していき、さらにはより尊敬するようになる。
予想以上のペースで業務をこなしていったため、週末を迎える直前の木曜日には予定していた以上の業務をこなしてしまった翔羽。
この時点で引継ぎも終え、逆にやることがなくなってしまったため、予定よりも早い金曜日から、涼羽と羽月の放課後以降から念願の旅行に出かけることとなったのだ。
もちろん、業務上で何かあったらすぐに連絡をするように部下達には伝えている。
当然、部下達もどうしようもない時はそうするようには思ってはいる。
いるが、尊敬してやまない部長が、ようやく得ることの出来た家族との水入らずの旅行という時間を、自分達の学習、引継ぎ不足などということでつぶすことなど、あってはならないと思っている。
木曜日に翔羽が帰宅した後、部下達はそれをお互いに確認しあうかのように決起し、そしてこの金曜日も、翔羽から引き継がれたことをしっかりと把握した上で業務に取り組んでいるため、よほどのトラブルが発生しない限りは大丈夫だという安心感を、周囲の人間は見ている。
さすがはあの高宮 翔羽が率いて、育てている人材だと、社内はもちろんのこと、関連会社からも高い評価をもらえるほどと、なっている。
「えへへ~♪お兄ちゃん、楽しみだね~♪」
「うん、楽しみだね」
父が運転するレンタカーの後部座席で、涼羽と羽月の二人が仲良く寄り添い合いながら、本当に楽しそうな笑顔を浮かべている。
大型連休などにも絡まない、至って普通の日程の中であるため、宿泊先となる宿も思いのほかあっさりと予約することができている。
自然を好み、建造物に囲まれたコンクリートジャングルのような風景を好まない涼羽の趣向に合わせるように、都会から離れた山の中の温泉宿に、向かっている最中だ。
実は涼羽も、山の中にあるような温泉宿というところに非常に興味があったようで、さりげなく自分でいつか行ってみようと思い、自分の趣向に合いそうなところをリサーチしたりしていた。
そういうところで、静かで美しい自然の風景を眺めながら、プログラミングと言う名のものづくりに没頭するということを、してみたいと思っていたのだ。
そんな涼羽の心に秘めていた思いを、翔羽は涼羽のパソコンにある、インターネットの検索履歴から見つけてしまう。
それを見て、この可愛いの化身ともいえる最愛の息子の望みを叶えてあげようと、涼羽が好むような温泉宿に予約を入れたのだ。
羽月はもともと涼羽が一緒なら、どこだって構わないという、本当にブラコンな女の子であるため、事前に父、翔羽にどこに行きたいか聞かれた時も、『お兄ちゃんと一緒ならどこでもいいよ!』と、さらっと一言で済ませている。
そして、羽月もどうせ旅行に行くなら兄、涼羽が喜ぶところに行きたいという思いがあったため、父、翔羽の思いに二つ返事で賛同。
そして、今回の旅行の目的地を実際に伝えた時の涼羽の喜びよう。
普段からおっとりとして落ち着いた雰囲気の涼羽が、まるで幼い子供になったかのように無邪気に声をあげて喜ぶという、そんな姿。
そして、ひたすら純粋に嬉しさを隠せない声で、『お父さん、ありがとう!!』と何度も言いながら、普段ならまずないと言える、涼羽の方から翔羽にべったりと抱きついてくるという事象。
ここまで純粋に、素直に喜んでくれる涼羽を見て、それだけでもこの家族旅行を計画してよかったと、翔羽は心の底から思え、自分にべったりと抱きついてくる息子をいつものようにぎゅうっと抱きしめ、思いっきり可愛がることとなった。
「お父さん、本当にありがとう!俺、山の中の風景って本当に見てみたいって思ってたんだ!」
「そうかそうか!涼羽がそんなに喜んでくれてるなら、お父さんは本当に嬉しいよ!」
「わたしも、お兄ちゃんがそんなに喜んでくれてたら、すっごく嬉しくなってきちゃう!」
「ありがとう、羽月!」
明らかにいつもよりテンションの高い涼羽の言葉に、翔羽も羽月もつられてにこにこ笑顔を隠せないでいる。
そして、同じようにはじけるような喜びの声をあげてしまう。
レンタカーである、どこでも見かけるような乗用車の中は、本当に家族団らんと言えるような、幸せと喜びに満ち溢れた雰囲気となっている。
目的地まで時間がかかるため、しばらく車での移動は続くことになるのだが、それも涼羽と羽月にとっては初めてのことであるため、非常に新鮮で、非常に楽しそうに車での移動を満喫している。
「お兄ちゃん!」
そして、いつものように羽月が、涼羽の胸に甘えるように顔を埋めて、べったりと抱きついてくる。
兄、涼羽の華奢で柔らかな身体の感触を堪能するかのように、ぎゅうと抱きしめ、絶対に離さないと言わんばかりにその両腕に力を込める。
「ふふ…羽月はこんな時でも、甘えたいの?」
そんな妹、羽月をいつものように優しく抱きしめ、その頭を壊れ物を扱うように繊細に撫でる涼羽。
現在、家族旅行の真っ最中ということもあり、いつもよりも優しく、嬉しそうな笑顔を浮かべている。
「うん!だってわたし、お兄ちゃんのことだあ~い好きだもん!」
「そう…ありがとう」
「だあ~い好きなお兄ちゃんに、ぎゅ~ってして、なでなでされるの、ほんとに幸せだもん!」
「そうなんだ…羽月が喜んでくれてるなら、俺も嬉しいな」
「だからお兄ちゃん!も~っとぎゅ~ってして、なでなでしてね♪」
「ふふ…うん、い~っぱいしてあげるね、羽月」
「わ~い!」
いつも通りの仲睦まじい、いつもよりも嬉しそうな雰囲気の高宮兄妹。
兄の胸の中に顔を埋めて、思いっきり甘えるという行為が、羽月には本当に幸せで幸せでたまらない。
それだけで、兄の愛情を思う存分に感じることができるから。
それだけで、最愛の兄を独り占めすることができるから。
だから、この行為は羽月にはやめることなどできないものとなっている。
「あ~…俺の子供達は本当に可愛いなあ~…」
運転中であるため、視線を向けることはできないが、最愛の子供達のそんな声を聞いているだけで、翔羽の顔はゆるゆるに緩んだ笑顔になってしまう。
これが運転中でなければ、すぐにでもこの可愛すぎて、愛おしすぎてたまらない二人の子供を、自分の腕の中に抱きしめて離さないこととなっている。
「お兄ちゃん、だあ~い好き♪お兄ちゃんは、わたしだけのお兄ちゃんだもん♪」
「もう…羽月ったら、ほんとに甘えん坊さんだね」
予定よりも早く始まることとなった、高宮家にとって初めてとなる家族旅行。
その始まりから、もうすでに溢れんばかりの幸せが、車の中に満ち溢れている。
周囲にもおすそ分けと言わんばかりのその幸せの中、目的地への移動は続いていくので、あった。
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