お兄ちゃんがお母さんで、妹が甘えん坊なお話

ただのものかき

涼羽君…君は本当に美鈴にもらわれるべきだよ

「涼羽君って、アルバイトしてるんだって?」

「は、はい…そうです…」

「確か、秋月保育園で保育士さんのアルバイトとか、聞いてるんだけど?」

「そうです」

「ああ~…それでか~…」

「??」

「いや、僕の会社の同僚がね…子供を秋月保育園に預けていてね…そこに、子供に非常にいい影響を与えてくれる、まるで天使のような美少女保母さんがいるっていう話をしててね」

「!!あ、あうう…」

「その同僚の奥さんなんだけど、もうその保母さんのことが可愛くて可愛くてたまらなくて、子供を迎えにいった時なんかはついつい、その保母さんのことを可愛がってしまうって…同僚自身も、そんな美少女保母さんの話を、奥さんや子供からとても幸せそうに、嬉しそうに聞かされて、一度自分も見てみたいって、ずっと言っててね」

「!!あ、あの…」

「確かに、涼羽君みたいな保育士さんだったら、とても可愛らしくて、天使のような保母さんに見えるだろうね」

「!!そ、そんなこと…」



休日となる、土曜日の午前。

都会のような喧騒などなく、心が落ち着くような閑静な柊家の中では、ひとしきり涼羽を可愛がって、非常に満たされたかのような、幸せそうな顔を浮かべていた美鈴、美里、正志の三人。

その三人とは対照的に、涼羽はめちゃくちゃに可愛がられてしまっていたことで、ひたすらに恥ずかしがって、その顔を真っ赤に染めてしまっていた。



もうお昼も近くなってきたこともあり、美鈴と美里の二人はキッチンの方で昼食の準備を始めている。

美人で若々しい母親である美里と、その母親に良く似ている、評判の美少女である美鈴が、二人仲良く料理に勤しんでいる姿は、まさに目の保養だと断言できるものとなっている。



もちろん、家庭的で甲斐甲斐しい涼羽がここで手伝いを申し出ないことなどありえるはずもなく、即座に美鈴と美里の二人に手伝うと言って、キッチンに足を運ぼうとしたのだ。



だが、この日は涼羽におもてなしをするために来てもらっているのだから、その涼羽に手伝わせるなど、美鈴も美里もするはずもなく、美里が涼羽に言い聞かせるように、その好意を謝辞し、この家の大黒柱である正志の相手をしていてほしいと、声にしたのだ。



常日頃から、自らがするのは当然と言わんばかりに、家事に勉学にアルバイトに趣味にと勤しんでいる涼羽は、ただ何もせずに待っているだけの状態についつい、そわそわとして落ち着かない様子を見せている。

そんなところに、正志から優しく声をかけられ、他愛もない世間話を始めることとなった。



そして、その会話の中で、涼羽が秋月保育園でアルバイトをしていることを、確認するかのように涼羽に聞いてくる正志に対し、涼羽は肯定の意を返す。

さらには、正志の同僚が、子供を秋月保育園に預けていて、その同僚が嫁も子供も揃って涼羽のことをとても可愛い、天使のような保母さんだと、まさに絶賛しているということまで聞かされ、またしても涼羽のその可愛らしさ満点の顔が、恥ずかしさのあまり真っ赤に染まってしまう。



そんな涼羽があまりにも可愛すぎて、もうゆるゆるに緩んでしまっている正志の顔が、ますます緩んでしまっている。



「その同僚の家族以外にも、秋月保育園に子供を預けている人達は、涼羽君のことをまるで天使のような美少女アイドルとして扱っているみたいだね」

「!!あ、あの…そ、それは…」

「そりゃあ、こんなにもおっとりとしていて、健気で、家庭的で、お母さんみたいで、しかもこんなにも人の目を惹くほどの美少女な容姿だったら、誰だって放っておかないだろうね」

「そ、そんなこと…」

「園児の男の子達なんかは、みんな涼羽君のこと、知らないうちに初恋の人として見てるとか、みんな涼羽君のことを独り占めしようとしてるとか、そんな噂まで広がってるみたいだよ?」

「!!ぼ、僕…男ですから…そんなこと…」

「こんなにも若くて綺麗で、しかも本当に可愛らしい保母さんだったら、どんな子だってそうなっちゃうだろうね」

「ち、違います…そんな…」

「園児の女の子達も、涼羽君のことを自分だけのお姉さんにしたくて、いっつも独り占めしようとしてるらしいし…涼羽君は本当に愛されキャラなんだね~」

「うう…は、恥ずかしいです…」



ひたすらに恥ずかしがって、その顔を真っ赤に染めている涼羽が本当に可愛くて可愛くてたまらないのか、正志は自身の同僚経由で聞いている、秋月保育園での涼羽の評判をそのまま、目の前にいる涼羽に聞かせていく。

それが一つ一つ耳に入っていく度に、涼羽はおたおたとしながら、恥ずかしさのあまり俯いて、どうすることもできなくなって、ただただ恥ずかしがってしまう。



そんな涼羽の様子を、キッチンで料理に勤しんでいる美鈴と美里もさりげなく目にしており、もう今すぐにでも涼羽のことを可愛がってあげたくなるのを懸命にこらえながら、料理を続けている。



もう今となっては、園児達がみんな揃って、涼羽のことを独り占めしようと可愛い自己主張をしてくるようになっており、その度に涼羽は、自分はみんなの先生だから、と、やんわりとした口調でみんなに言い聞かせようとする。

だが、普段なら涼羽の言うことなら、と、本当に素直に聞いてくれる園児達も、このことに関してはそうではなく、とにかく涼羽に自分だけのお姉さんになってほしくて、ぐいぐいと涼羽にべったりと抱きついては、その可愛い自己主張で涼羽を困らせようとしてくる。



特に最近では、涼羽のことを自分だけのお姉さんにしたい、という声だけでなく、涼羽のことを自分だけのお嫁さんにしたい、という声が急速に増えてきており、それがまた、涼羽を困らせる要因となっている。

大好きで大好きでたまらない涼羽のことが、その幼く純真無垢な心の中で、紛れもない初恋の人となっている男児達は、特に涼羽のことを自分だけのお嫁さんにしようと、べったりと甘えてくる。

そして、それは男児だけでなく、女児の方からも、そんな声が上がってくる始末となっており、こんな可愛い盛りの園児達からも可愛いと認識されている涼羽のことを、男児達から護ろうとぎゅうっと涼羽に抱きついて、涼羽にべったりと甘えてくる。



ちなみに、正志の同僚の子供も、そんな風に涼羽のことをお嫁さんにしたい、などと言っているようで、そのことを嬉しそうに身振り手振りを加えながら家の中で話す子供の様子が本当に可愛らしいと、デレデレと同僚は自慢げに正志に話して来る。

その同僚の妻などは、実際にわが子がそんな風に涼羽にべったりと抱きついて、涼羽は自分だけのお嫁さんなの、と非常に可愛らしい自己主張をしているところを見ているため、余計にわが子のことが可愛らしく思えてしまう。

加えて、そんな風に自分の子供にべったりと愛されて甘えられて、困りながらも優しく包み込んで甘えさせる涼羽のことが本当に可愛くて可愛くてたまらず、子供を迎えに来た時は必ず、涼羽のことをぎゅうっと抱きしめて、ついついその頭をなでながら、わが子ごと可愛がってしまう。

仕事の都合上、保育園へのお迎えができない正志の同僚は、そんな妻と子供が羨ましくなっており、いつか自分も秋月保育園で、そこまで周囲に絶賛される美少女保母さんを一目見てみたいと、やっきになってしまっているという、そんな状態なのだ。



「涼羽君にはね…お礼を言っても言い足りないくらいなんだよ」

「?え?…」

「涼羽君と関わりを持つようになってからの美鈴は、本当に自慢できるくらいにいい子でね。あれほどに苦手だった料理も、あんなにもできるようになったし…どこか流され体質だったのが、結構なしっかり者になってきてるし…自分を綺麗にしようと、いつも努力を惜しまない子になってくれてるし…」

「………」

「正直最初はね…うちの可愛い娘に寄ってくる悪い虫くらいにしか、涼羽君のことを思っていなかったんだよ。今となっては、本当に失礼で、本当にひどい話なんだけどね」

「!い、いえ…僕も、いつも美鈴ちゃんに言ってるんです…女の子がそんなに気安く、僕みたいな男にべったりなんかしたらだめ、って…」

「!ははは!涼羽君が、美鈴にそんなことを…」

「そうです…でも、美鈴ちゃん、何回言っても、全然聞いてくれなくて…だから、美鈴ちゃんのお父さんが心配する気持ち、なんだか分かっちゃうって言うのか…」

「…そうか…でもね、君みたいな子が、美鈴とこんなにも仲良くしてくれて…そのおかげで美鈴は、もっといい子に育ってくれて…だから、むしろもっと美鈴と仲良くしてほしいくらいなんだよ」

「!そ、そうなんですか…」

「君のことを話す美鈴は、本当に嬉しそうで、幸せそうで…美鈴にこんな表情を浮かべさせてくれる涼羽君の話を聞いていると、むしろ僕も君のことを可愛がってあげたくなってね」

「!ぼ、僕…高校生の男なんですけど…」

「そんなこと関係ないよ。君がどれほどに可愛くて、愛されるべき存在であるのか…今日、ここで君という人間に実際に出会って、本当にそれを実感できているんだよ。それに…」

「?そ、それに?…」

「君がどれだけ、本当に苦労して、孤独に頑張ってきたのかを聞かされると、一人の大人としてそれを労ってあげたくなるし、甘えさせてあげたくなるんだよ。ましてや、うちの美鈴と比べてもひけをとらないほどの可愛い子なんだから、余計にそうしてあげたくなるんだよね」

「!う、うう…」



涼羽と関わりを持つようになってからの美鈴が、本当にいい子になっていくのを実際にその目で見ている正志は、最初の方こそ涼羽に対していい印象は持っていなかったものの、次第に涼羽のような存在が、美鈴と関わりを持つようになってくれて、本当にありがたいと思えるようになっていったのだ。

ましてや、そんな父親として当然の心配を、他でもない涼羽がそれを汲んでくれるかのようなことを言ってくれるのが、また嬉しいとさえ思えるくらいに。



実際に、美鈴にべったりとされる度に、年頃の女の子が、気安く自分のような男にべったりとしたりなんかしたらだめ、などとずっと言い聞かせてきた、などという涼羽の言葉に、ますます正志は涼羽に対する好感度が上昇していく。



こんなにも健気で、家族思いで、可愛くて愛されオーラに満ち溢れている存在なら、むしろ美鈴と同じように可愛がって、甘えさせてあげたくなってしまうと、言い切れてしまう今の正志。

正志のそんな言葉を耳にして、思わずと言った感じでその顔が恥ずかしさに染まってしまう涼羽。



そんな涼羽が可愛すぎて、正志はついついと言った感じで、涼羽の頭を優しくなで始める。



「涼羽君のお父さんが本当に羨ましいよ。こんなにも可愛い息子さんがいてくれて。しかも、そんな君にべったり懐いてる、君そっくりの可愛らしい娘さんまでいるなんて…本当に羨ましい」

「あ…あの…僕…そんな小さい子供じゃ…」

「ん?僕から見たら、君は子供じゃないか。何も気にすることはないんだよ」

「で、でも…」

「でも君は、いつもこんな感じで妹さんのことを優しく包み込んで、可愛がっているんだろう?今は、君がそうされる側なんだから、大人しくそうされておきなさい」

「う…うう…」



どうしてもその長男気質が強すぎて、素直に人に甘えることのできない涼羽は、正志の可愛がりにも居心地の悪さと、幼い子供のような扱いに恥ずかしさを感じてしまい、その顔を真っ赤に染めて俯いてしまっている。

だが、正志はそんな涼羽も可愛くて可愛くてたまらないのか、その頬をゆるゆるにしながら、涼羽の頭を優しくなで続ける。



いつも、自分の妹や、保育園の幼い子供達のことを優しく包み込んで可愛がっている涼羽なのに、その涼羽自身が同じように可愛がられないのはありえないと、正志は断言できてしまう。

そしてそれは、涼羽の周囲の人間も同じ考えであり、もうとにかく愛されオーラと困らせたいオーラがあふれ出ている涼羽なだけに、ひたすらに可愛がってあげたいという思いで一杯になってしまうようだ。



自分に頭を撫でられて、うんと恥ずかしがりながらもされるがままとなっている涼羽のことが可愛くて可愛くてたまらなくて、正志は自分の隣に座っていた涼羽の華奢で小柄な身体を引き寄せると、まるでお気に入りのぬいぐるみを抱きしめるかのように、涼羽のことを背中から抱きしめてしまう。



「!あ、あの…?」

「いや~、もう僕の方が君のことをもっともっと可愛がってあげたくなってね。ついついこんな風にぎゅうってしちゃったんだよ」

「うう…」

「それにしても…さっきぎゅうってした時も思ったんだけど…」

「?…」

「本当にびっくりするくらい、ほっそりとしてて…でも、抱き心地はすごく良くて…男の子なのに、なんだか女の子を抱きしめてるみたいな感覚だね」

「!ち、違います…僕…男です…」

「こんなに可愛いのに?」

「!そ、それでもです…」

「…涼羽君はほんとに可愛すぎるね。こんなんじゃ、周囲の人間が放っておかないだろう?」

「!そ、それは…」

「だよね?ほら、涼羽君はそれだけ可愛すぎるってことなんだよ。もっと自覚しないと、いつ誰にさらわれてもおかしくないくらいなんだから」

「!そ、そんなこと…ううう…」



もうひたすらに恥ずかしくて、その羞恥に染まった顔をふいと逸らして見られなくするのが精一杯の涼羽。

そんな涼羽があまりにも可愛すぎて、まるで美鈴のことを可愛がるように、ぎゅうっとその華奢な身体を抱きしめてしまう正志。

さらには、自分の一言一言で困り果てて、顔を真っ赤にして恥ずかしがる涼羽がどこまでも可愛すぎて、もっともっとそんな涼羽を見たくなって、正志の言葉に少し意地の悪さも含まれてしまう。

まさに今の正志は、好きな子の気を惹こうと、意地悪なことをしてしまう男子小学生そのものと、なってしまっている。



それと同時に、こんなにも可愛いといつ誰にさらわれてもおかしくないと本気で思えるほどの可愛らしさを持つ涼羽なので、正志は本気で自分が護ってあげないと、と、その父性をこれでもかと言うほどに刺激されてしまっている。

こんな風に涼羽のことを抱きしめて、可愛がることができて、正志は本当にこの世の幸せがすべて来たかのような、嬉しそうな、とろとろにとろけた表情を浮かべている。



「涼羽君…君は本当に美鈴にもらわれるべきだよ」

「!い、いきなり何を…」

「もし君が美鈴にもらわれてくれたら、こんなにも可愛い君が僕の子供になってくれるんだから…ぜひそうすべきだよ」

「!そ、そういうことは…今は何も…」

「むしろ美鈴には本当に涼羽君と結ばれてほしいって、本気で思ってるんだ。だから、僕も美里も、美鈴が涼羽君といちゃいちゃすることには何の抵抗もない…いや、むしろぜひそうしてほしいとまで、思っているんだよ」

「!ぼ、僕そういうこと…全然分からなくて…」

「大丈夫、心配しなくていい。君が何も分からなくても、美鈴が放っておかないだろうし、いくらでも美鈴が君のことを可愛がって、愛してくれるだろうからね」

「!そ、そんなの…」

「それに、そうしながら美鈴も君にう~んと甘えてくるだろうから、それで持ちつ持たれつでいいじゃないか」

「!だ、だからそういうことは…」

「涼羽君…何も言わなくていいし、何も考えなくていい…ただ、君は美鈴のお嫁さんになって、僕達の子供になってくれれば、それでいいんだよ」

「!ぼ、僕は男ですから…お嫁さんになんて、なれません!…」



娘の美鈴よりも、むしろ親である正志や美里の方が、美鈴と涼羽が結ばれて欲しいとさえ思うようになっている今この時。

もう全力で、美鈴が涼羽のことをもらってくれるようにサポートしようと、本気で思っている今の正志。

自分の腕の中で、こんなにも可愛らしい反応を返してくれる涼羽がどこまでも可愛くて可愛くてたまらず、本当に涼羽が自分の子供になってくれたらと、そんな未来図を頭の中に描いてしまう。



そして、もはや最近のお決まりのように、美鈴の嫁になってほしい、などと言われてしまった涼羽は、恥ずかしさのあまりその顔を真っ赤に染めて俯かせながらも、自分は男だから、嫁になんてなれないと、そこは全力で抵抗するので、あった。

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