転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 スルグランのトップがリーゼベルツから帰国したのち―――――ちなみにレクサ姫はこちらに住み着く、と言ってきかなく、二人も別に問題ないだろう、という事で放置していった―――――の婚約が公にされた。アリアのときとは異なり、今度は未婚女子のいる貴族から猛反発があり、スフォルツァ家まで押しかけ、婚約の撤回を申し入れる強者もいたが、彼はそつなく対処していき、一週間もするころには、反発も収まっていた。

 そして、王宮夜会から3週間。リーゼベルツ内のすべての貴族たちは勅令により、王宮へ集まっていた。すでにディートリヒ王の退位の話は広まっており、今日はその具体的な日時の話であると考えていた貴族は多かった。
 アリア、アランも当然出席し、筋書き通りならば、これから起こる全ての全貌を知っている側でもあった。アリアは今日ほどのハレの舞台もないだろうと思い、以前、誕生日会の時にもらったプレゼントの数々を身につけていた。

(確か、イベント・・・・では最後に逆ハーエンドでの王宮夜会でヒロインが身に着けるはずだったのだけれど)

 最近ではあまり思い出さなくなっていた『ラブデ』の世界。もうすでにこのゲームは破綻しており、アリアは悪役令嬢ではない。
 クリスティアン王子はアリアを婚約者とせず、ベアトリーチェとゆったりとした愛を紡いでいるだろう。クロード王子も王子という地位を返還して諸国放浪の旅に出ているという。ユリウスも家の争いに巻き込まれず、レクサ姫と共にしたたかにこの先を生きるだろう。マクシミリアンも最近、ミゼルシアの姫と婚約したという話を聞いた。そして、ウィリアム。彼だけはこの生きている・・・・・世界でバッドエンドだったのだろう。アリアは今でもあの時の後悔を忘れてはいない。むしろ、忘れてはいくことはできないだろう。
 アリアは座っている場所でギュッと俯いた。そうすると、隣から温かいぬくもりが彼女の手を覆った。アリアは驚いてみると、アランが寂しそうに笑っている。
(ああ、そうなんだ―――――)
 アランもまた、アリアと同じことを考えているのだとわかった。二人は数多くのものを背負っていくことになる。だが、アリアとアランという同じ境遇転生者だからこそ、お互いに背中を預けられるのだろう。アリアは頷き、顔を上げた。この貴族会議の議場内で最もいい席に座っている二人はかなり注目されている。おそらくは王太子クリスティアン王子の最側近として活躍することを彼らは望んでいるのだろう。

「では、9割以上の貴族が集まったことにより、臨時の貴族議会を開催することができる、という宣言をする」
 部屋の奥――――――アリアたちからしてみればすぐ隣だが――――ディートリヒ王が宣言した。周囲は静まり、公爵から男爵、そして参加する資格だけはある近衛騎士まで王に注目した。
「今回集まってもらったのは言うまでもなく、私が退位する、という噂がすでに流れ始めていることについてだ」
 王は周りを見回す。何人かの公爵、伯爵辺りの貴族が目を不自然に逸らしたのが分かった。
「それについて否定はしない。むしろ、今日、退位するという事を皆に示すつもりだった」
 王の発言に何人かの貴族が色めき立つ。

「儂の父は対外的にはよかった。しかし、正当な王位継承者である伯父殿下を廃し、叔母殿下さえも排除した。その罪は重い。さらに、儂も王宮に招かざるものを招き入れた。その罪は決して消えぬものである。よって、全ての国難を排除した今こそ、儂は退位しようと思った」

 王の決意に誰も反論を唱えることが出来ない。確かに正論だったから。
「ゆえに、私は王位を継ぐ資格のあるもの・・・・・・・・・に継がせようと思う」
 その言葉は誰しもが驚いた。アリアたち――――話し合いの場に参加したものは、驚いていなかったが、もし話し合いをしていなかったら、と想像するとゾクッとくる。
「継ぐ資格のあるもの、とはいったいどういう事でしょうか」
 ある侯爵が尋ねた。確か、その侯爵には王家の血は全く入っておらず、自らの力だけでのし上がってきた家だったはずだ。そう侯爵が尋ねると、わきに控えていたクリスティアン王子が王の前に進み出る。
「すでに皆知っている通り、私は先日大病・・を患った。今はもうほぼ完治しているが、以前のように体が思うように動かなく、王としての公務を遂行することは不可能だ」
 彼の発言に、一部の貴族がざわめいた。
「しかし、我々がおりますれば、心配さなさることはないでしょう」
「そうです。殿下は普段休まれて、いざ・・というときのみお動きになればよいのです」
 おそらく発言した貴族は彼が即位したのちは、政治の中心として働きたい、と願う貴族だろう。これだから、公爵家といえども王家の血は入っておらず、下の者を見下せる、というだだの高位の家柄甘い汁にしがみついているのだろう。隣で座っているアランがあからさまに不愉快な顔をした。
「ああ、その方法も考えたが、それではまるで過去に滅んだ国のようではないか?」
 王太子の言葉に先ほど反論した貴族たちは黙り込んだ。さすがに暗にお前たちが政を行えば国が滅ぶ、と脅されているのだから。そこまでして、彼らは甘い汁に吸い付いていたかったのだ。
「では、どうされるのですか」
 別の貴族が発言した。
 今現在の王族として存在しいているのは、国王、王妃とその息子である王太子。それ以外は全て生きている者は結婚して臣下に下ったか、王籍をはく奪されている。仮にダリウス王子が生きていた場合は、彼が王位継承者として継ぐ事になるのであるが、すでに彼は死んでいる。そう考えた時、一番近い王位というのは過去の王族が嫁いだ他国の人間、という事になる、というのは彼らの中でも想定していたらしく、それでは面倒なことになるのではないかと彼らは言う。しかし、クリスティアン王子は微笑み、
「実はすでに、王家に連なる・・・者たちで次期国王を決めました」
 という。王太子の言葉に唖然とする貴族たちを見て、これだから、とアリアも頭を抱えたくなった。なにも、他国だけではない。自国にも王家の血が入っているものはいくらでもいるというのに。

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