転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 王宮夜会から数日後、アリアは再びスフォルツァ家に戻ってきていた。
(で、何故私が同席を?)
 この席に着き、客人・・を迎え入れる前、目の前のユリウスに目だけで尋ねると、向こう側からの要求なので、僕にはわかりません、という目で見返された。アリアはその答えにため息をついた。もうユリウスも成人を迎えているので、彼自身のことは彼自身で決める事ができる。ましてや、どのような場合であってもアリアはスフォルツァ家を継ぐ事が出来ない。なので、アリアに伺いを立てられても困るのだ。
 ちなみに、今の状況として、アリア達の目の前にはスルグラン国執政のメッサーラとその側近であり、しばらくの間アリア達と行動していたヨセフの間に一人の女性が座っていた。彼女は髪の色や瞳の色といい、どことなくメッサーラに似ている気がした。
「で、もう一度ご用件を伺っても?」
 さすがにアリアはこのような状況で、さすがに彼らが要求しようとしていることは分かったが、念のために確認した。
「いやぁ、同盟を結ぶために、ね?すでに、そちらの国王サマには話はしてあって、国王サマ抜きに進めてくれていいって言われたんや」
 ヨセフは笑いながら言う。どうやらディートリヒ王からスフォルツァ家宛の親書は無かったが、どうやらアリアがいる事を条件に王抜きで話し合っても良いという事らしいとうことがヨセフの口ぶりから分かった。確かに、アリアであってもリーゼベルツに対して悪いようにしない、という妙な信頼があったみたいだ。まだ仮にもこの国の今の王がそれでいいのか、アリア再びため息をつきたくなった。
「で。それによって得られる利益はあるんですか?」
 アリアは一番懸念している事はそれだった。それがスルグラン国にとってどれだけの利益があるのか、そして、スフォルツァ家、ひいてはリーゼベルツにとってどれだけの利益があるのか。アリアが聞くと、ヨセフもメッサーラも満足気に頷く。
「お前のおかげで、大規模な戦争が回避された。だから、我が国との親交を是非とも深めてもらいたく、な」
 メッサーラは微笑んで、隣にいる女性に向けて微笑み、続けた。
「ちょうど私の姪がこの国へ永住したい、と言っていたので、ついでに年の合う貴族でなおかつ、私が信頼できる・・・・・人が近くにいるのはユリウス・スフォルツァ、君だけなんだ」
 メッサーラはユリスに言い、アリアに微笑んだ。アリアはこちらの国のトップもそういう風なのか、と内心でため息をついた。
「そうなのですか」
 アリアは隣を向いた。ユリウスは満更悪くなさそうであったし、お相手の女性も渋々と言った感じではない。
「ユリウス、あなたはどう思うのです」
 アリアはたぶん断ることはないだろう、と思いながら、ユリウスに尋ねると、
「僕は構いません。執政閣下の姪御であるのならば、この国にも必ず重要な存在となってくるでしょう」
 彼は意外にも合理的な考えだった。
「しかし、レクサ姫。仮に僕に嫁いできたとして、あなたはここで何をなさりたいんですか」
 ユリウスの質問に一瞬、レクサ姫はたじろいだ。
「僕は今の身分である公爵を保持するとともに、王立騎士団としてこの国を守っていく予定です。僕がいない間にあなたが何をなさりたいのかが分からない、というのは非常に困ります」
 ユリウスは先の反乱を二度と経験したくないのだろう。かなり慎重だった。アリアはふと、レクサ姫を見て思ったことを言った。
「あなたは昔、剣等の武器を扱っていませんでしたか?」
「姉上」
 ユリウスはアリアの言葉に、かなり剣呑な声を上げた。しかし、レクサ姫は微笑んだ。決して伯父であるメッサーラにも見せなかった笑みだ。
「ええ、そうでしてよ」
 肯定の意を返したレクサ姫に、ユリウスは驚きの視線を向けた。
「もしや、あなたはこの国で剣を極めたいとか、そういう願いではありませんか?」
 アリアはなるほど、と言った。
「ならば、ユリウス」
「――――――――姉上?」
 ユリウスは姉の言いかけたことに対して、まさか、という顔で見たが、アリアはええ、と微笑んだ。

「良いのではありませんか?」
 思っていなかった姉の承諾に、ユリウスの方が呆気に取られていた。対して、メッサーラとヨセフの二人も小躍りしたい気分になっていたに違いない。浮かれているのがよく分かった。しかし、アリアは、ただし、と二人に対して付け加えた。

「今回のことは陛下が信任されたこと、そして、まだ私がスフォルツァ姓を名乗っていることにより特例でこのように仲介役を務めました。ですので、これ以上の仲介は致しません。それに、スフォルツァ家はユリウスが当主になったと同時に、完全に王家と離れたことを意味します。それでもよろしいですね?」
 アリアの言葉に二人とも当たり前だ、と言わんばかりに頷く。それはどうやらすでに承諾済みらしい。
 そうして、ユリウスとスルグラン国執政、メッサーラの姪との婚約が成り立った。

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