転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 王宮で開かれる王宮夜会。
 それはリーゼベルツ王国における社交シーズンの始まりの合図だ。
 その夜会が3年ぶりに開かれる。それに関わる人たちの意気込みは当然尋常じゃないくらいに激しい。それにも加えて、今回はセリチアで暗殺未遂にあったクリスティアン王子の復帰お披露目となる会でもあったため、かなり豪勢に仕立て上げられているらしい、と噂を聞いたアリアはかなり頭が痛くなった。
 先日、クレメンスへのアドバイスとベアトリーチェへの相談・・ついでに王宮へ久しぶりに顔を出したアリアは、クリスティアン王子とも会ったのだが、彼は暗殺未遂事件が起きる前と後でかなり性格が変わったように思えた。ちなみに、新王の補佐になる予定のアランもまた、最近ではクリスティアン王子と共に仕事をすることが多いらしいのだが、アリアと同じ感触をつかんでいたみたいで、彼の行動に疑問を持っていたらしい。
 そんな彼が、王宮夜会に素直に参加するのかが怪しいと思えたアリアは、再度ベアトリーチェに会うために王宮に赴いた。


「アリア、最近よく来てくれるのね」
 奥宮の一室で侍女に茶を入れさせたベアトリーチェは、二人きりにさせてほしい、と頼み込み、部屋から下がった。どうせ侍女長辺りは部屋の壁にでも耳を張り付けて聞いているのだろう、と分かっていたアリアは内心苦笑いをして、茶を一口含んだ。
「ええ、貴女たちの様子が気になってね」
 今は化粧でうまく隠しているみたいだが、ベアトリーチェは目の下に隈を作っているのがわかる。何かがあって安心して眠ることが出来ないみたいだった。彼女は少し微笑み、少しずつだったが、内密にしておいて欲しいんだけれど、と言い置き、話し始めた。
「こないだ、主治医のお医者様から殿下の回復具合について聞いたんだけれど、あまり経過がよろしくないって言われたの」
 アリアはベアトリーチェの言葉に驚いた。こないだ会った時はかなり元気そうにしていたはずだったが、と思い、そう尋ねると、ベアトリーチェは首を横に振った。
「っ―――――」
 アリアはベアトリーチェの様子にただならぬものを感じ、息をのんだ。
(いったい何が起こっているっていうのよ――――――――)
 もどかしさを感じつつも、ベアトリーチェの次の言葉を待った。少したってから、ベアトリーチェは口を再び開いた。

「もう、殿下の体力が以前のように戻ることはなく、国王となったのちも激しい公務はできないって―――――」

 アリアは彼女の言葉に唖然とした。そんなに強い毒が使われていたのか。

(そうか、じゃあ今の状況が続くという事は、この先傀儡としての国王を演じさせるか、他の者を国王として任命するか―――――)
 アリアは頭の中で起こり得る二つの可能性について考えた。しかし、そのどちらもリーゼベルツでは可能性は低いだろう。
(でも、どちらかしか方法は、ない?)
 今のアリアにはそれ以外は思いつかない。クレメンスやアランはもっとほかの方法が思いつくのだろうが。もし前者となった場合、仮に次代へこの国を残せたとして、国王へ忠誠を示す者が残るのだろうか、という心配がある。そして、後者の場合、誰が王位を継ぐのか。王家の血筋をひくものは公爵家の中にいるだろうし、アリア自身も王位継承権を持つ人間の一人として頭数に入れられるだろうが、彼女自身は継ぐ気はない。そういえば、そのことを考えると、以前行われた裁判で宣言されたのは、スフォルツァ家を継げないだけで、他の血筋・・・・については何も触れられていないこと今更ながら気づいた。このような状況になってしまった以上、いつ担ぎ出されてもおかしくはない。
(これ以上、争いを見たくはない――――――)
 アリアはそう願ってはいるものの、この状況ではどんな結果になるのかがわからない。

 二人はそれからも少し話し込んだが、生産的な話は全くできなかったに等しい。

 その一週間後――――――
 しかし、事態は大きく動くこととなった。

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