転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 それから季節は過ぎ、もうすぐ年が暮れようとしていた。
「なかなか激しかったわね」
 アリアは王都にある屋敷で独り言ちていた。
「ああ、全くだな」
 以前同じような会話をしたことがある二人だが、そんなことは気にも留めていない。




 結局、王太子暗殺未遂事件からわずか数週間で、王太子の容体は安定した。しかし、半年以上経つ今も後遺症が残っており、あまり激しい公務は無理である。そして、そのために国王が考えていた王太子への譲位と、それに伴うベアトリーチェとの結婚式も未だに行われていない。
 そんな中、あの騒動の最中、バルティア公爵の目の前でアリアと婚約している、と大々的に言ったアランは、正式に父親の許可をもらい、アリアに再びプロポーズした。アリアはすぐに頷き、二人は婚約を公にした。
 すると、フェティダ公爵や実の弟であるスフォルツァ公爵をはじめとする公爵家、そして、内務相や軍務相といった大臣クラスをはじめとして、賛成の声が予想よりも多く聞こえてきた。一方で、反対派―――――というか、単なるやっかみ半分の嫉妬にかられた連中――――――からは、ここぞとばかりにスフォルツァ家への非難を集中させた。しかし、文武の長や貴族の頂点である公爵家のほとんどがこの婚約に賛成の立場を示していたため、他の家は黙らざるを得なくなった。


 そんな二人は、現在、婚約期間ながら王都で二人暮らしをしていた。
「まあ、殿下がもう少しよくなられれば、陛下は今度こそ殿下への譲位を考えておられるみたいだ」
 アランは茶を飲みながら言う。
 次期バルティア公爵である彼は、宰相補佐として出仕しており、一方のアリアは内務相補佐を退任していた。そのため、気軽に王宮へ行けなくなっており、自然とそこから足が遠のいていた。
「そうなの」
 王宮の状態を久しぶりに聞いたアリアは、ゆっくりと息をついた。すでに王家にまつわる過去の罪はないだろう。しかし、ディートリヒ王にとってみれば、この数十年の時間は長かったに違いない。
 ましてや、この数年は彼にとってみれば、自分と彼の父親が犯した罪を一気に背負わされていたのだから、心労は半端なかっただろう。アリアはそっと目を伏せた。
「で、アランはこれからどうするの?」
 アリアは気になっていたことを聞いた。彼の父親は現在の公爵家の当主の中で最年長であり、公爵筆頭を勤めている。しかし、その父親も王の譲位後にはアランに爵位を譲ると公言している。そのため、彼は騎士団にいながら公爵家当主を勤めているユリウスと同じように二重の役割を持っているのだが、公爵筆頭の地位だけはほかの役割とはまた異なる。この地位の役目として、公爵家をまとめるという役割だけではなく、上級貴族の意見も入れつつ下級貴族や平民たちの意見を取りまとめる役割と持つ。通常は王家に連なる家系の最年長の者がその任務を果たすのだが、スフォルツァ家が碌に役割を果たさなくなった時―――――その時はまだ、アリアは昔の状態である―――――に、バルティア公爵が奪ったようなものだ。そのため、今では完全実力制であり、今のアランになら務まると思っていったのだが―――――――
「ああ。まず、公爵筆頭は返上するよ」
 と涼やかに言った。その言葉に未練はなさそうだ。
「数年の間、しばらくは補佐官として働いて、殿下の治世が順調に動くことを見届ける。そして、後はバルティア公爵としての役割を果たすつもりだよ」
 アランは優しく言った。アリアもそれに賛同した。アリアもできることならゆっくりと休みたい。そして、アランの手助けとなるように尽くしたいと心から思った。

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