転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 クレメンスに連れられて入った部屋にはベッドが置かれており、そこに誰かがいるみたいでベッドの脇に国王夫妻とセルドアがおり、少し離れたところにはセリチアへ行っていたはずのユリウスとアランがいた。しかし、そばにはベアトリーチェの姿はなかった。国王夫妻は共に顔が真っ青になっており、今にも倒れそうな雰囲気だった。
「お連れしました」
 クレメンスが王に向かって言うと、ディートリヒ王は頷きアリアとバルティア公爵をここまで連れてこいと言った。二人が近づくと、国王夫妻はその場所を変わった。アリアはベッドの中を覗き込むと、そこにはクリスティアン王子が横たえられていた。アリアもバルティア公爵も驚きで固まった。

 その後、素早く王室お抱えの医務官にその場を明け渡し、宰相を加えた一行は近くの空き部屋に集まった。侍女たちがてきぱきとお茶を入れて行ってくれた。
「どういうことですか」
 アリアよりも早くバルティア公爵が口を開いた。すると、国王はおもむろに口を開いた。
「あの者たちの話によれば、セリチアの新国王の即位式に伴う晩餐会で毒を盛られたという」
 アリアは驚いてしまい、声が出そうになったが、寸前で留めることが出来た。ディートリヒ王はアリアの方を気にすることなく、続けた。
「その場では医官が対処してくれたらしく、一命はとりとめたが、未だに予断は許さない状況だ。本当ならばかの国で完治するまで治療してもらうべきだが、新王はそれを拒んだ・・・
 国王の言葉にバルティア公爵は色めき立つ。確かに言葉通り取るのならば、それは重大なことだ。だが、アリアはフィリップ新王の性格を少しは知っているつもりだ。
(あの方が『拒む』理由はクリスティアン王子を守るため―――――)
 確信はなかったが、そんな気がした。もちろん、その理由を問われれば答えることはできないが、なんとなくそう思った。だが、アリアはそれを国王たちに言うつもりはなかったうえに、それを言ったところで信じてもらうことは難しいことはアリアにもわかる。

「そうだな。何者であろうとも、こうなっている以上、あの国はこの国の王族を殺めようとしたと思わざるを得ないだろう」

 国王の言葉にバルティア公爵を含めて誰も反論を言えなかった。奇妙な沈黙が降りた。
「まあ、確かに祝っている最中に隣国の王族の暗殺未遂事件の犯人探し、なんていう面倒なことはあちらの国でも厭うはず。それを利用したのか、はたまた新王が黒幕だった場合であればそうなることを願ったのか」
 クレメンスはそう呟いた。宰相も頷く。
「とりあえず、こういった状況である以上、スフォルツァ公爵令嬢。あなたには私と一緒に行動してもらいます」
 クレメンスはアリアの方を向いて行った。ディートリヒ王も宰相も頷いている。アリアには全く理解できなかった。
「どういう、ことですか?」
 アリアはクレメンスの視線にゴクリとつばを飲み込んだ。
「あなたには最後まで・・・・役立ってもらいます」
 その言葉を一瞬、理解できなかった。だが、クレメンスの言わんとすることがわかり、彼女はとうとうその政略結婚する時が来たかと思い、素直に頷いた。アランの前だったが、仕方がない。しかし、アリアと同じようにクレメンスの言葉を理解したアランは、クレメンスが次に言葉を発する前に遮った。
「ちょっと待てよ」
 ここが国王の御前であるという事や、病人が寝込んでいる状況であるのはお構いなしに、アランはクレメンスにそう言った。クレメンスは彼を冷ややかに見た。
「何ですか、あなたは」
 この国の内務相としての冷ややかな声に、アリアはぞっとした。一瞬、アランも怯んだみたいだったが、気を取り直して、
「こんなの認められるわけないじゃないか」
 と言った。

「アリア・スフォルツァ公爵令嬢は、僕、アラン・バルティア公爵嫡子とすでに・・・婚約している」

(どういうこと?)
 彼は婚約者を選んだのではなかったのか。そして、彼女と共に隣国へ行ったのではなかったのか。
 もちろん、驚いているのはアリアだけではない。アリアの異母弟であるユリウスやアランの実父であり、現バルティア公爵であるアレクシスも驚いていた。
「ほう?」
 クレメンスはなぜか獲物を捕まえた時のような表情をしている。その脇で国王夫妻も宰相もようやく言った、という顔をしていた。
「遅いんですよ」
「は?」
 クレメンスの言葉にアランは呆けていた。アリアもまた、アランと同じような顔をしていたことだろう。
「だから、君たちが付き合っていることはとっくに知っていました。ですから、あなた方がどこまでひねくれているのかを確かめるために、このような方法を取らせていただきました」
 クレメンスの言葉に今度は、父親であるバルティア公爵がちょっと待った、と言った。
「いや、それは不味いのではないか?」
「何故です?国一番の名門の公爵家と今一番ノリに乗っている公爵家が結ばれるってかなりいいじゃないですか。しかも、忠誠心抜群かつ行動力もだれよりもある者同士で」
 バルティア公爵とクレメンスのやり取りはアリアとアランの疑問解決にも役立ってくれた、のだが。
「いや、待ってください」
 アランがそういうと、クレメンスはジト目で見た。
「まだなんかあるんですか」
「それではクレメンス様の策はどうするのですか」
 アランの言葉にクレメンスもセルドアも、宰相も笑う。国王夫妻は微笑んだ。


「単純です。あとは外交で解決ですよ」
 セルドアの言葉に、アリアもアランも脱力した。

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