転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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「セルドア、お前はそれがどういう意味を持つのか理解しているのか」
「内務相の言う通りだ。貴族、それもただでさえぱっと出での・・・・・・伯爵家に王太子妃を取られた公爵家や侯爵家連中から反発を食らう事にはならないかね」
 二人の意見に王でさえも黙った。一方のアリアは、事の成り行きを見守っていた。セルドアは淡々と言った。
「確かに諸侯から反発されるかもしれない話です。しかし、まともに使える家、もしくは傷持ちではない・・家にはすでに未婚の女性はいません。ですので、こうするしかありませんでしょう」
 セルドアは淡々と言った。アリアは本当の事を言いたかったが、言えるはずも無かった。しかし、セルドアの言葉により、宰相とクレメンスはそれぞれ納得したみたいだった。
「ユリウス君には然るべき女性と結婚してもらわねばなりませんし、後の二人にもいい加減、結婚の話を持ち出さねばならないでしょうね」
 宰相の言った最後の言葉にアリアも固まった。しかし、今現在、貴族女性としての役割を果たしているのか、それを考えてしまうと納得せざるを得なかった。
「アリア嬢、あなたは何か意見がありますか」
 クレメンスに尋ねられたが、アリアにはどちらの答えをこの場では求められているのかわかってはいたものの、答える事が出来ず困っていた。
「アリア嬢?」
 いつの間にか俯いていたらしく、アリアはクレメンスにのぞき込まれており、少し動揺したものの、これ以上は自分から断ち切るべきなのだと諦め、はっきりと答えた。
「いえ。申し訳ありません。軍務相の仰られる通りです。スフォルツァ、フェティダ家の両当主、そしてバルティア家の次期当主の三人には相応の婚約者が必要でしょう」
 アリアは顔を上げてきっぱりと答えた。その顔には今までの迷いは見られなかった。
「そうですか」
 言い出しっぺであるセルドア、そして王をはじめとする三人はこれで全員が納得いって良かったと満足気だった。




 翌日、クリスティアン王子と婚約者であるベアトリーチェ、ユリウスたち三人が王の執務室に集められた。そこには、昨日話し合った面子も同様に集められていた。アリアは彼らよりも先に、内務相補佐として先に執務室へ入っており、アランが入ってきてからは、彼と極力目を合わすことを避けた。
「端的に話す。隣国、セリチア王のギヨームが先日崩御した。そこでお前に儂の名代として葬儀への参列および新国王の即位式への出席をしてきてほしい」
 王の一言に5人は驚いたみたいだった。クリスティアン王子とベアトリーチェは顔を見合わせている。
「何故、陛下は健全でいらっしゃるのに、殿下を名代として派遣なさるおつもりでしょうか」
 ユリウスがいち早く王に尋ねた。王は一瞬、ユリウスの方を見て、それから再びクリスティアン王子の方に顔を向けた。

「クリスティアン、恐らくこのシーズンの終わりにでもお前に王位を譲るためだ」

 その言葉にベアトリーチェ以外が納得したみたいだった。
「父上のあの噂は本当だったのですね」
 なんだか付き物がすっきり落ちたような感情でクリスティアン王子は言った。確かにいつぞや彼に言ったことがあったな、とアリアは思い返した。
「ああ」
 と言った後、ベアトリーチェに向け、
「そして、其方は次期国王の婚約者として同行しなさい」
 と言った。彼女は、はいと頷いた。さらに、ユリウスたち三人に対して、
「そなたたちにも婚約者をそろそろ、という声がちらほら上がっている。そのため、いくつかの家から是非にと、という申し出も聞いておるが、いかがかな?次期王位継承者の側近となる立場故に、素行をも関わってくる。こちらで候補者は絞っているから、それを参考・・にしてほしい。まあ、今渡した紙に書かれている彼女たちは、上級侍女かセリチアの令嬢だ。だあら、侍女として今回のセリチアへも同行させることもできるし、もしくは向こうで仲良くなる・・・・・こともできる」
 と言いながら、数枚の紙が彼らに宰相から渡された。それの一部を受けるとき、アランの方を見たが、彼は無表情だった。
「葬儀の日程のことを考えると、出発は明後日だ。それを考え、随伴させる・・・・・支度の侍女をベアトリーチェ嬢と共に選定せよ」
 と王が言い、彼らは部屋を退出させられた。
 アランがいなくなると同時にアリアはほっと息をつき、そして今になって後悔し始めたが、もうすでに時は遅い。アリアとアランの約束は口約束に等しい話だ。だから、国王の命令にも等しいこの話には勝つことはできないだろう。アリアは泣き崩れたかったが、王の側近である内務相補佐という身分と身分の引継ぎはできないといえども、仮にもスフォルツァ家の人間だ。こんな場所で泣き崩れることはできなかった。




 そして、翌々日、リーゼベルツ王国、王都内王宮――――――
 そのころには誰もがセリチア王ギヨームの崩御が知れ渡っており、いくらか浮足立っていた。その時にかかった王宮への召集命令に誰もが、何らかの大きな動きが起こった、もしくは王がこれから起こすのだと悟った。それは、王の隣国への行幸、もしくは混乱に乗じての侵攻、はたまた別件での召集なのか、人々は憶測を呼んだが、結局国王を含む王宮の奥深くから洩れることはなかった。
 そして、一方、アリアはこの二日間、徹底的にアランを避け続けた。会ったところで、恐らく彼はあの命令に従うしかないだろうから、自分との婚約話をなくすと言ってくるだろうし、自分自身が後悔してまた悩むだけ無駄だと思う事になるとわかり切っていたからである。

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