転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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「そうですね。こちらもあちらもずいぶんと急な話ですが、王太子殿下にしてみれば今までの状態、今まで一切諸国を訪問しなかった事が異常なことであったので、しばらくの間は諸国を回る旅に出てもらってもいいくらいだと思います」
 クレメンスはある程度理解をしながら言っていた。
「で、他の面子はどうするのですか。まさかあの二人だけ放り投げる、という事はないでしょう」
 とクレメンスが続けると、ディートリヒ王は何かを含んだ笑い方をした。
「いや。今回はクリスティアンの手腕・・に期待しておる」
「というと?」
 この場にいる全員とも理解できていない状況みたいだった。代表してセルドアが問いかけた。

「今回の全権はあくまでクリスティアンであり、他の者の功績にはさせない・・・・
 国王は静かに告げた。
「まさか―――――」
 いち早く気付いたのは宰相だった。
「ああ、お前が思っている通りだよ、ヨハネス」
 宰相の名前を呼び、彼の表情から読み取った彼の思考を肯定し、その『答え』を告げた。

「実際に同行させるのは王立騎士と文官二名。その文官として、マクシミリアン・フェティダおよびアラン・バルティア」

 ディートリヒ王の言葉に宰相は、そこまで想像していなかったのか絶句している。反対にアリアはその二人の選出に納得した。
「何故、二人とも正式な文官でないのに、選出されたのですか?」
 セルドアが尋ねた。王は一瞬彼に対してニヤリとしたのち、アリアの方に向かって尋ねてきた。
「スフォルツァ嬢、あなたはこの選出に納得されたみたいだが、理由を聞かせてもらいたい」
 アリアは相変わらずの無茶ぶりである、と思いつつも、全員からの視線に対して覚悟を決めて口を開いた。もっとはっきり言うと、何故、スフォルツァ家の人間にやらせるのか、自虐趣味でもあるのか、と3人から思われること間違いなしの理由を言わすのか、と深く突っ込みそうになっていた。
「一つ目の理由は単純で、二人とも公爵家の出身だからです。もちろん、同じ公爵家でもフェティダ家もスフォルツァ家と同じくらいの名門ですが、バルティア家は新興公爵家と言ってもいいくらいには起源は新しいです。なので、本来ならばスフォルツァ家の者が一緒に同行すれば、『次期国王は二代公爵家を従えている』という風にみられます。しかし、特にここ数代、良くも悪くも目立つことをしていなくとも、王族や公爵家を頂点とする貴族社会をまとめ上げてきたのはバルティア家です。その家の次期当主であるアランが同行してもおかしくはないでしょう。また、フェティダもスフォルツァもどちらも何らかの傷持ち・・・ですが、より他国からの印象がいいのはフェティダでしょう。

 そして、なにより今のスフォルツァ家当主であるユリウスには王太子に随伴するという大役は無理だと思います」

 途中まで頷いていた王だが、最後の文章におや?という顔をした。ほかの三人も似たような反応を示すかと思ったが、クレメンスだけはなるほどな、と言った。王はアリアではなく、そう呟いたクレメンスの方に尋ねた。
「どういうことだ?」
「確かに現当主であるユリウス君の手腕には今後の期待をしてもいいと思います。しかし、現段階ではまだデビュタントを済ませていない未成年であり、そして何よりスフォルツァ家が関わった事件・・があるので、あの女についてはほかの国も知っていることでしょうから、いい顔はされないでしょう」
 と言い切り、アリアの方を向いたので、彼女ははい、と頷いた。
「まあ、もっとも姉であるアリア嬢が他の国では有名ですから、彼女と比べられる可能性は高く、それにプレッシャーを感じて暴走する、という危険性もあります」
 クレメンスはそう付け加えた。クレメンスの言い草にアリアは少しため息をつき、
「考えたくはありませんが、可能性だけを考えるならばありですよね」
 と言った。そう、可能性ならばいくらでも考えられるのだ。
「ならば、こうすればいいのではありませんか?」
 誰もが納得しかけたところに、セルドアが口をはさんだ。全員がセルドアの方を向いた。セルドアは全員を見回し、告げた内容に誰しもが驚きを隠さなかった。
「なるほどな」
 国王はその案もありだなと言わんばかりに言ったが、それには宰相とクレメンスが納得しなかった。

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