転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 現場げんじょうでアリアたちは素早く打ち合わせをした。恐らくアリアがここまで来ていることはわかっているだろう。それを踏まえての作戦を練った。アリアが最初提案したものは案の定、アランもセルドアも猛反対したが、それにいくつか修正を加えたものを結局採用することにした。
 それからしばらく両軍のにらみ合いは続いた。しかし、ある時を境に、数人の騎兵が後ろに人を歩かせてこちら側に歩いてきたのを確認した後、国王軍側も動いた。
 反乱軍側向こうはすでに中央地点についており、アリアたちの到着を待っており、アリアとセルドア、数人の騎士は引き渡し地点とされた中央地点に進んだ。

 しかし、最終的にアリアたちが中央にたどり着くはできなかった。

「アリア、これ以上近寄るな―――――」

 アリアたちが中央地点へ進む途中、静寂の中に響いたその声により国王軍側は動きを止めざるを得なかった。
「へっ?」
 アリアはその声につられて、そんな間抜けな声と共にその声がした今行く方向に対して真横の方向を見ると、目を疑いたくなる光景が起こっていた。
「見てはなりません―――――」
 アリアと同じものに気づいたセルドアに悲鳴じみた声を上げられ、彼の腕によって目をふさがれたものの、もうすでに時は遅かった。本物・・のウィリアム・ギガンティアの体は側にいた騎士によって剣で貫かれていたのだ。一瞬の静止の後、彼の体は崩れ落ちた。
(何で――――?)
 アリアの頭の中は真っ白になった。何故、人質としていたはずの彼の姿が、目の前の人間ではなく、真横にいたのかが理解できなかった。

 しかし、現実は動かない静止画ではなく動画だ。
 彼の公開処刑みせしめを皮切りに、次々と騎士たちがこちらに向かってきていた。
 アリアは単騎ではなく、セルドアに同乗させてもらっている。しかし、そのことはセルドアの不利につながらない。そう思った瞬間、アリアは馬から飛び降りたかったが、彼女の行動を感じ取ったセルドアがそれを阻止した。
「あなたを守ると言ったはずです」
 彼の声はいつになく低かった。彼がかなり怒っているとすぐに感じ取れた。アリア直ぐにおとなしくしていることを決めた。
「それでいいのです」
 アリアの決意にセルドアは満足げにほほ笑み、剣を抜いた。ほかの騎士たちもすでに剣を抜いており、背後の騎士たちも臨戦態勢である事を気配だけだったが、感じ取れた。

 そうして、この反乱内で唯一・・の本格的な戦闘が幕を開けた。
「掴まっていてください」
 セルドアは馬を走らせながら、上手に相手を斬っていく。本来であれば、嫌悪を抱くはずであろうその行為は、人が生き残るための知恵であり、そして何より自分たちを守るための術であることを知っている。なので、アリアは何も言わずただセルドアにしがみついていた。


 周りから聞こえる剣戟の音。
 そして、その剣戟に負うようにして聞こえる悲鳴と怒号。
 敵か味方かはわからない。しかし、それは生きる者の叫びだという事には変わらない。
 アリアはそれが少ないこと、そして早くこの状態が終わることをただひたすら祈っていた。
 アリアの祈りが聞き届けられたのか、戦闘はそんなに長くは続かなかった。
「終わった」
 しばらくセルドアの胸の中にいて周りを見ていなかった――――見せてもらえなかったともいう―――アリアは、敵兵が圧倒されている光景に目を瞠った。
「ええ、終わりました」
 そう言うセルドアは少しばかり布地部分が裂けているものの、傷は全く負っていない。しかし、その少しの布の裂けでさえ、自分がここに来たがために負ったものだ。それが非常に申し訳なく感じられる。
「何も思わなくていいのです」
 セルドアはアリアの思っていることに気づいていた。彼女の頬を撫でると、
「あなたは今回の反乱で、すでに多くの苦労を負っているんです。それに比べたら、私は全然苦労なんてしていませんよ」
 という。アリアにはそれは建前だとわかっている。しかし、今はそれに頷いておこう、そう思った。
「そうでしたか」
 彼女はセルドアを見上げ、頷いた。
「それでいいのです。では、戻りましょう」



「で、状況はどうなっているのですか」
 元々、国王軍がいた場所に戻ったセルドアはアリアをアランに託した後、彼に静かに尋ねた。その答えにアランは直視せずに答えた。
「先ほどの戦闘により、ルーベニア侯爵をはじめとする貴族は捕縛もしくは戦死いたしました。そして、反乱の軍の頭脳役であったウィリアム・ギガンティアは騎士団長も見ていた通り戦が始まる前に死亡、亡骸は一応戦闘の最中に回収させましたが、一部損傷が激しいです。そして、旗頭にされたミスティア王女とその母親であり、今回の主犯でもあるフレデリカ・スフォルツァは背後に人を回しておくことが出来たので、同じく生け捕りにしています」
 アランはウィリアムとミスティア王女のところで一瞬詰まったが、しかし、結局は言わなければならないことであったので、全て言った。アリアはアランの腕の中でそれらの内容を聞き、やはりかとただ思っていた。

「しかし、不思議なものです。反乱軍の頭脳役であり、国王軍を散々苦しめてきたウィリアム・ギガンティアをにするとは」
 彼の言い草にセルドアは確かに、とため息をついた。しかし、アリアは彼らの間に入りある事を言った。
「おそらく、彼が全部仕組んだのではありませんでしょうか」
っていた。

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