転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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「――――――それは、どう意味でしょうか」
 アランもアリアもディートリヒ王のその言葉を理解するのに同じくらいの時間がかかったが、アランの方が先に王へ尋ねた(ちなみに、ヨセフは全くの・・・他国の人間であるため、その発言があったと同時に退室していた)。ディートリヒ王は彼の質問に答えはせず、アリアの方を向いた。
「スフォルツァ嬢ならば、どのように捉えるかな?」
 アリアはある一つの可能性を考えていた。
「もしや、今回の反乱を一つの『終着点』となされますか?」
 アリアの発言に、ディートリヒ王は満足げな顔をし、反対にアランは驚いた顔をしていた。『終着点?』と思っていることがよくわかる表情をした。

「現在、他国からしてみれば、たかが下級貴族が反乱を起こし、元愛妾がこの反乱に乗っかりたもの。もちろん、以前から陛下の『正統性』はいくつかの国から声明を出されているので、他国からすれば、『うるさい蠅ども』という一言で追われます。
 しかし、『リーゼベルツの貴族社会内部』から見れば大きく違います。反乱の首謀者は一部を除いて、元宰相一派―――――すなわちジェラルド派の一翼を担っていた者たち。それに加えて、今回はフレデリカ―――――ひいては、その娘であるミスティア王女殿下を旗頭にしています。
 それらから、はっきり言いますと、陛下と陛下の父親である先王の罪を突き付けているような形だと私は思いました」

 アリアはそこで区切った。ディートリヒ王は頷き、アランも驚きから納得した表情になった。
「ですので、まあ、すでに亡くなられている先王はともかく、現王である陛下は責任を問われる前に、自ら身を引こうという意思、ということでよろしいでしょうか」
 アリアがそう締めくくると、王はその通りだ、と頷いた。
「だから、とて―――――」
 アランはそれでもまだ、続けようとしたが、途中でやめた。彼自身が今の陛下と同じ状況だったら、同じことをするだろうという結論に至ったと、アリアは考えた。
「まあ、其方たちの気持ちはわからなくもない。だから、スルグランの軍師殿を臨時で雇えた・・・・・・二人に頼みごとがある」
 ディートリヒ王はアリアとアランに頭を下げた。

「親バカだとは思うが、よろしく頼む」
 頼まれたその内容に、初めは二人とも目を丸くしたが、はい、と頷いた。

 そして、王宮を出る際に、アリアとアランはある人物を託された・・・・。その人物はこの反乱の中、全く動向を聞いていなかった人物――――マクシミリアン・フェティダで、アリアもかなり心配していた人物だった。どうやら、彼は今回の政変時には命からがら王都を脱出しており、近くに領地がある王妃の実家の伯爵領で匿われていたらしく、以前捕縛・監禁されていた時の後遺症をそこで療養していたらしい。
「良かった、無事で―――――」
「心配してくれてありがとう。でも、アリアさんたちも無事でよかった――――――――」
 彼は、申し訳なさそうに目を伏せる。最後に会った時からさらにやせていたものの、療養のおかげか、健康状態には問題はないみたいで、アリアは彼の無事に安堵した。彼が返答している途中で、アリアは彼の手を握った。彼の手は少し冷たく、少し骨ばっていたが、それでもしっかりと彼のぬくもりを感じられた。
「うん。ありがとう」
 アリアは彼に微笑んだ。そのアリアの微笑みに充てられてか、マクシミリアンは頬が少し赤くなっていた。



 そうして、四人は戦場となっている南部までたどり着いた。近くの道にある少し高い山に登り、状況を把握すると、目の前が真っ暗になりそうだった。

 全く人の気配がないのだ。
 騎士や兵士、そして、領民一人残らず。
 いくら、ここが王家直轄地である、と言われても信じられないくらい人の気配がなかった。

「どういうこと?」
 アリアは茫然として呟いた。軍師として、あちらこちらの戦場を飛び回り、このような景色を見慣れているはずのヨセフでさえ黙り込んでいる。アランもマクシミリアンは言わずもがなだった。
「少なくとも騎士団が壊滅的な状況に陥っている、という話は聞いていたけれど、これは、なぁ――――――」
 アランは言葉の途中で背後を振り返り、剣を構える。アリアも外套の内側に隠した短剣をつかむ。マクシミリアンとヨセフは背後に下がる。本来ならば、二人も戦うべきなのかもしれないが、マクシミリアンは病後であり、ヨセフは頭脳担当だ。その二人に無理をさせるわけにはいかない。そう、すでに四人で話し合った結果の布陣だった。いざとなれば、アリアは弓でも対抗できるように用意はしてある。
 背後にいたのは、つややかな漆黒の髪を持つ男、そして、その側近らしき男だった。
「あなたは――――――」
 アランもアリアも驚愕した。
(途中の街で聞いた、あの・・噂は嘘だったのか――――――)
 目の前の男―――――クリスティアン王子がよかった、と呟いたのがアリアたち四人にはっきりと分かった。しかも、それがアリアに向けられた言葉である事にも。

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