転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 アリアたちはバルティア領の中でもかなり辺境にその身を置いた。いつ何時内乱に関わる魔の手が襲ってくるかもしれない、という理由のためだ。最初はアリアの提案だったのだが、アランも同意してくれたため、実現したのだった。


「気持ちいいだろう?」
 バルティア領に着いたのは昨晩遅くで、アリアは途中で寝てしまったらしく、気づいた時にはすでに公爵家の別邸に運び込まれており、久しぶりの上質なベッドで十分な睡眠をとっていた。
「ええ、そうね」
 二人の体調が整ったお昼過ぎに、その別邸の裏山にある丘へ遠掛けしてきていた。そこから見える国境越しの湖はかなり絶景だった。空気も澄んでおり、今このような状況に置かれているのでなければ、ゆっくりと観光を楽しみたいところだ。

「ねえ、アラン」
 アリアは気になっていたことを尋ねたくて、アランを呼んだ。
「何かな?」
「アランは、本当はどうなの?」
「どういう意味?」
 アリアは直接的に問いかけることはできなかった。しかし、通常ならばアリアの言いたいことを察してくれるはずのアランは、本当にアリアの問いかけに意味が分かっていないようだった。仕方なく、アリアは直接尋ねることにした。
「どうして私と婚約したの?」
 その質問にアランは目を丸くした。
「もちろん、スフォルツァの軍を鍛えなおしてくれる、という契約があるから、それを怪しまれずに行う、口実としては最適よ。でも、それだったら別に後見人、とか保護代理人問う地位がこの国には制度化されているのだから、特別婚約者じゃなくてもいいんじゃないの?」
 アリアは思わず彼の胸ぐらをつかみかかろうとしてしまっていた。アランはアリアの苛立ちに気づいたのか、笑った。
「な、何よ」
 アランは自分の行動に笑われたのかと思い、思わずそう言ってしまったのだが、アランは首を横に振り、否定した。
「違うよ」
 アランはそういうと、ふっと真顔になった。アリアはその否定が何を指しているのか、分からず思わず首をかしげた。
「僕は契約のためや、利益が欲しいから君と婚約を結んだんじゃない」
 彼の眼はいつになく真剣だ。

「僕は今の・・アリア・スフォルツァが欲しいんだ。
 かなり賢く、かなり頑張り屋さんな君。そして、もちろん綺麗だけれど、自分よりも人のことを気にかけているな君。もっとも、そんな性格をしているから、散々振り回されたりしているけれど、それでも任務を一つずつこなしている君。

『ラブデ』の君ではなく、今の君に僕は恋しているんだよ」
 アランはきっぱりという。その数々の誉め言葉にアリアは少したじろいだ。それをアランはドン引きされたのかと思い、少しまごついたが、
「いいえ。あなたからの誉め言葉に、少し驚いただけよ。は実の父親にさえ褒められたことはない。しかも、数少ない会う機会にはいつも説教ばっかだったわ。それに、友人はいたけれど、同性ばかりだから変な噂が立たないように取り繕うしかない。だからか、『自分自身』とはかけ離れた評価だった。しかも、同じクラスの男子からは実家の職業とその立場的から、遠巻きに見られるか、媚売られるかのどちらか。だから、誉められることに慣れていなくて、ね」
 アリアは少し赤くなりながら言った。だが、まぎれもない本心でもあった。
 思い出してみれば、この世界に、『ラブデ』の悪役令嬢に転生したのは不幸だった。しかし、今までの17年間とこの世界での6年間のどちらが良かったのか、と考えれば、実ははるかに今の方が心地よい・・・・生活なのだ。もちろん、公爵令嬢という事で様々な制約はつくが、それでも、だ。ただ、未だに赤の他人に、お世辞ではない何かを言われるのは慣れていなく、少々木っ端恥ずかしいのだ。

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