転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 使ってくれた、と今彼は言った。その言葉を理解するとともに、彼にアリアは問うた。
「あなたは何がしたいの?」
 彼女は剣呑な視線をウィリアムに向けた。そんな彼女をあざ笑うかのように、彼は言った。
「何がしたい?僕は単なる平民の子供さ。だから、あの長官のようなお貴族様のように俺はいて欲しくなかったんだよ」
 彼は吐き捨てるように言う。確かにアリアとて、同じ気持ちだ。
「じゃあ、なんであなたの名義で書類を送ってこなかったの」
「一つは俺の名前だと、あいつらから怪しまれるから、それを避けるために誰かの名前で送らなきゃいけなかった」
 ウィリアムはアリアと目を合わさずにそう言った。
「一つ目―――」
 アリアはウィリアムの発言の続きが気になった。

「ああ。二つ目は―――――」
 アリアの耳元である事をささやいた。それを聞いたアリアは嘘、と呟いた。彼女にしてみればにわかに信じがたい話だった。
「まだ確証はないが、どちらか・・・・だろう」
 彼も信じられない、という思いで言っていた。だが、彼もそれ以上の心配をかけたくないと思ったのか、それ以上に何も言わず、その場を去って行った。
「どういう事よ」
 アリアは一人残され、誰もいないその場所でそう呟いた。



「マクシミリアン」
 アリアは客間に入り、ベッドに横たわる彼の姿を見た瞬間、そう叫んでいた。マクシミリアンは少し眠っていたのか、瞼を少し開けただけであった。
「ああ、アリアさん――――」
 彼はたったの数日間だけ捕らわれていたというのに、かなり衰弱しているようだった。側にいたエレノアは、
「どうやら、自白剤とか使われていたみたいで、症状が抜けるまでに時間がかかるみたい」
 と彼の代わりに言った。どうやら、貴族――それも、『名門』公爵当主への扱いとは思えないほどのひどい扱いを受けていたようだ。

 その後、数日間彼の看病をエレノアと共にしていた。ある晩――――
「あ、の。アリア、さん――――?」
 夜中にマクシミリアンにそう声をかけられた。
「マクシミリアンさん――?」
 アリアはどうやら彼のベッドのわきで眠っていたらしいのだが、彼女は事態がわかっていないみたいで、首をかしげた。しかし、数拍ののち、自分でもわかるほど顔が赤くなっていた。
「あ―――――ごめんなさい」
 そう言い、すぐにその場から離れようとした。しかし、マクシミリアンはアリアの腕をつかみ、
「待って」
 と言った。
「まず、今日はありがとう。先に言っておくと、僕は端から疑われていたのは知っていたよ」
 彼は静かに言った。暗くてよく見えなかったが、彼の瞳にはあきらめに似た表情が映っていたような気がした。

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