転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 アリアが再び寝たのを確認した後エレノアとミスティア王女は、外に出た。
 部屋の外には、ディートリヒ国王がそこにいた。彼は出てきた娘を抱き上げ、
「シシィのところへ行っていなさい」
 と言い、頬にキスをして彼女の背中を押した。
「あなたはそんなことをする人だったのね」
 近くで見ていたエレノアは、いいネタが出来たと言わんばかりに、にやにや顔でそう言った。
「ああ。ティアにもいずれ政略結婚をしてもらわねばならない時が来る。それまでは、できるだけ甘えさせてやりたい」
 ディートリヒは一国の王ではなく、どこにでもいる父親の顔をして、そう言った。
「そう」
 エレノアはその言葉を聞き、目を細めた。
「で、私に用があるのではなくて?」


 国王執務室――――
 普段、公の場では臣下という態度を崩さない彼女だったが、今は少し年の離れた従姉という関係で座っていた。
「まだ伯父上の証文は持っているか?」
 国王自ら二人分の紅茶を入れ、彼も着席したところで、切り出した。
「王位継承権に関するのでしょう。持っているわ」
 エレノアは差し出された紅茶のにおいを嗅ぎながら、そう答えた。
「そうか、ならばよい・・。大切に持っておいて、後3年後にアリア姫に渡しなさい」
 ディートリヒはエレノアと目をあわせずにそう言った。
「何をする気?」
 エレノアは従弟の発言に目を細めた。
「まだ教えられん」
 ディートリヒもまた、目を細めた。二人は互いに視線の先がぶつかり合い、ぶつかったところで火花が散っているように感じられたが、どちらともなく、視線を逸らした。
「だが、一つ言えるのは、『王宮侍女』アリア・スフォルツァは今シーズンで終わりだ」
 ディートリヒは一度目を伏せた後に、エレノアの目を見てそう言った。エレノアはその言葉に、目を見開いた。
「すでにお前たちには言ってあるが、今シーズンからは本格的にスフォルツァ家当主代行の役割をアリア・スフォルツァに移行してもらう。そして、シーズン終わりには、登用試験に合格してもらい、『外務庁役人』アリア・スフォルツァとして働いてもらう事とする」
 ディートリヒのその発言には、エレノアは一瞬考えこんだが、
「そうね、そろそろ潮時かな」
 とほほ笑んだ。
「エレノアはどうかな。まだまだいけるんじゃないのか?」
 ディートリヒはエレノアをからかった。彼女はそうかしら、と笑った。しかし、従弟の言葉に、対抗心が生まれたことに、ディートリヒは気づいた。

「私はこれ以上、罪を見て見ぬふりはできない。だから、ここで、本来のあるべき姿に戻す」
 彼の言葉は今の時点では、絶対に無理があるのではないのだろうか、とエレノアは考えたが、深くは考えられなかった。

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