転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 『光陰矢の如し』
 そんなことわざがかつて『涼音』だったころの世界にはあった。


「もうそんな季節なのか―――」
 夏の狩りが終わり、今年の狩りの達人を決める、秋の狩り大会の季節がやってきた。今年は今までとは異なり、夏の狩りでの成績によるものではなく、『国王・・からの指名』により出場者を決定したようだった。なので、王太子であるクリスティアンや弟王子は想像がついたが、何故かセリチアをはじめとする隣国の王侯貴族まで参戦していた。事前に招待した出場者の名簿を見せてもらったところ、『隣国の王侯貴族』の中にはクロード王子と彼と仲の悪いと言われている兄王太子も含まれており、『表』は何を考えているんだ、と頭と胃が痛くなったアリアだった。しかも、今までの立場だったらこの裏山を駆け巡ることが出来たが(ちなみに、去年ははぐれてアランに出会うことになった)、今年はすでに上級侍女・・・・になってしまっており、その立場故の仕事から逃れることが出来ず、騎士たちに応援しがてらの差し入れを持っていく事が出来ない。もちろん、上級侍女の仕事として、 当日、国王夫妻をはじめとする王族や招かれている出場者、観客たちの相手をしなければならず、その準備の仕上げに取り掛かっていた。

「これで明日の準備は終了ですね」
 ほかの上級侍女たちと共に、明日行われる狩り(というかその間に行われる茶会)の準備を終えたアリアはぐったりとしていた。
「何故、天幕にまで武具が必要なのでしょうか」
 一人の上級侍女が他の侍女に話しているのが聞こえてきた。確かに、狩りを観戦している天幕には不釣り合いなものだ。しかも、これにはご丁寧に・・・・王立騎士団の紋章が描かれている。もし仮に、警護をするために必要なものだとしても、警護する騎士たちは自分自身の武具をもっている。ここに用意する必要はない。『予備』として用意されているのだとしても、通常は王立騎士団の保管庫にあるはずだ。こんな鍵のかかっていないところにおいて送って言うことはありえない。
 これが武器に慣れていない人が億、という事も結構な確率でないだろう。慣れていない人間が触った場合、万が一不備があった場合には、その触った人間がけがをするだけでなく、死に至る場合もある。銃とかの火器類はないようだが、長剣や弓矢が置いてあるのも不思議だ。
「アリアさん、あなたが置いた?」
 別の侍女がアリアに尋ねた。アリアはそれらを一瞥して、自分ではない、と言った。
「いいえ、私でもありません」
 アリアはにっこりとほほ笑んだ。
「もし、先輩たちが置いた、というのでないのなら、おそらく誰かが忍び込んできたのでしょう」
 彼女は続けてそう言った。そして、置かれている武具を手に取った。その際、ヒッという悲鳴が聞こえてきたが、アリアは彼女たちの表情を見て、
「大丈夫ですよ。一応これでも鍛えていますので」
 と、にっこり微笑んでいった。

「では、もとにあった場所に返してきます」
 アリアはそう、宣言してほかの侍女たちと別れた。
(さて、どう出る・・・・でしょうね)

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