転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 秋の狩り以降は、王命によるリリスの教育係を押し付けられたアリアは、過去二年間が楽だったと思える程度にまで忙しく、実家へと帰る暇もなかった。そのため、夜会の盛装の採寸を王宮の一室を拝借して行うなどの措置をとってもらったアリアだった。

「大変そうね」
 一応13歳であるアリアの体にはかなりきつく、今現在は、王宮夜会前日だというのに、高熱を出して倒れていた。
このところ、早朝はいまだに続けているセルドアによる訓練があり(ユリウスが騎士団に入団したので2人で教えてもらっている)、午前中からお昼ごろにかけてはリリスに対するマナーの特訓(これは本当に他の人にやってもらうべきだ、とかたくなに主張したものの受け入れてもらえなかった)。午後から夕方はいったんベアトリーチェのころへ顔を出したり、本来の主であるミスティア王女の元へ行ってお茶会などを行ったりした。そして夕方から入浴までは再びリリスの特訓に付き合い、彼女と別れてからは自分の書類仕事に明け暮れていたので、気づいた時には夜半、最悪な時には夜明け鳥がなく頃までかかっている。そのため、食事なども不規則になり、この日に倒れてしまったのだ。
「ごめんなさい、アーニャ様」
 接待部のアーニャが看護侍女としてアリアの面倒を見始めた時には、療養申請をとって実家に帰り、引きこもりたいと思えるほど、申し訳ない気分でいっぱいだった。毎回のごとく謝る彼女に、
「気にしないで。貴女は妹のような存在なのだから、全く苦じゃないのよ。私には妹はいなかったから、貴女のことを看病出来て嬉しいのよ」
 相変わらず爽やかな姉さんなんだなって思って、思わず惚れそうになったアリア。しかし、当然おくびにも出さず、ただただ恐縮した。もう外は暗く、すでに明日のための最終確認が王宮全体で行われているのだろう。どこからともなく、楽師たちの奏でる音楽が聞こえてくる。今までアリアと話していたアーニャも何か仕事を割り振られているのか、今、まさに部屋を出るところだったのか、タオルなどをのせた盆を持っていた。
「もう少しで下がるはずだから、明日の朝までゆっくり休んでいてね」
 案の定、彼女はそう言いつつ、果実水を入れたガラス瓶をベッドのわきに置き、お休み、と言って部屋を出て行った。
(もう、王宮夜会か)
 一人になった彼女は今まで4年間のことを思い出しつつ、振り返った。
 様々な出会い、別れ、そして同じ転生者との邂逅、どれも彼女にとってみれば、本当に自分が行ってきたものだろうか、と思うときがあるが、おそらくはこれが自分の生きてきた3年間なのだろう、と納得することにした。
 そして、今現在は『ラブデ』にはない、絶対にありえなかったスフォルツァ家の再興と、リリスの輿入れ、という局面に立たされている。今までも、あってないようなものであったが、これからはシナリオ・・・・は全くない。それをアリアは一人で乗り越えて陰かなければならない時もある。

そう思ったアリア13才、王宮夜会の前日だった。

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