転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

本文に関係のないほのぼの?としたSS(前半)

「よし、今度はお前の番だ」
「なんで僕なんですか」
「こないだはお前が俺の見せ場を奪いやがったからだ」
「で、なんでそのお題なんですか」
「適当だ」
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セルドア・コクーンさんは
「行方不明になった恋人を見つけ出したら洗脳されている」状況を全力でハッピーエンドにしてください。
クリアできた貴方の人間レベルは【21】です。
#バッドエンドを覆せ
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本編終了後から数年後―――――

 僕は、結局30半ば超えてから妻を迎えることとなった。
 過去には妹が不幸な結婚をしたことや、最近では国王一家に色々と不幸ごとが重なり、もともと自分は結婚願望はなかったが、さらに『結婚』という文字が現実的ではなかった。しかし、同年代のクレメンスが幼な妻と結婚し、遥かに年下であるアリア姫(既婚者)やベアトリーチェさん(同じく既婚者)の後押しがあったので、見合いを受けてみることにした。
 どうやら騎士団長だった時は気づかなかったものの、多くの女性のあこがれの的とされていたらしく(自分で言うのもなんか変なのだが)、送られている絵姿の多くは、今では母親となっている彼女たちの未婚の娘が多かった。絵姿を送ってきた(もしくは勝手に送られた)令嬢たちと見合いをしていても、なかなか思うような女性に出会えなかった。アレもダメ、これもダメでは孤独死が待っていると思い、いい加減に結婚相手を決めようと思っていた矢先、ある令嬢の見合いにの前に菓子店に、事前に把握していた彼女の好みであるフィナンシェを買おうと思って立ち寄ったときに、銀髪の店員の少女に一目ぼれした。彼女も僕を見ていることに気づいたが、見合い前の今はさすがに不味いと思って、睨み返してフィナンシェを買わずに出てきてしまった。その後の見合いですぐに断りを入れ(どうやら半分自分の意志で見合いを申し込んだらしく、かなりショックを受けていた。申し訳ないことをしたと思う)、翌日にもう一度その店に行った。
「いらっしゃいませ」
 店番だったのは、昨日の少女だった。彼女は僕の姿を認めると、はやく奥に引っ込みたくてしょうがないようだった。
「ねえ」
 僕は彼女に声をかけた。
「ひぃ」
 少女はまた僕が何かをするのではないかと思ったらしく怯えた顔をした。
「昨日はごめん」
 僕は頭を下げた。すると、彼女は僕がそうすると思っていなかったらしく、頭を上げた時にはかなり驚いていた顔でこちらを見ていた。
「何か、私はいけないことをしてしまいましたでしょうか」
「ううん」
「では、なぜ、睨んでいたのでしょうか」
 少女は少し涙目になっていた。ほかの客がいなくて良かった、と思った。
「睨むつもりはなかったんだ」
「えっ」
 少女の目は丸く見開かれた。可愛い。
「最初から君のことがかわいい、って思ったんだ。でも、人に会いに行く前だったし、あんまり君のことが噂になるのもよくないかなって思ったから、思いっ切り睨んじゃったんだ」
 9割がた本当のことを言った。残りの1割は恥ずかしくて言えない。すると、彼女は花が咲いたように笑った。可愛い。
「ならよかったんです。あの後、私は何かいけない事をしてしまったんだろうかってすっごい悩んだんです」
 非常に申し訳ないことをした。

 一応彼女のある程度の誤解を解き、店を後にした。そのあとは自宅に戻ったら、急に疲れが押し寄せてきて、すぐにベッドへ直行した。すぐに夢の世界に引き込まれたが、考えるのは彼女の事ばかり。早いうちに彼女を迎えに行こう、と思った。
 翌日、自宅に思わぬ訪問者が現れた。僕よりも少し若いくらいの女性で、、どうやら昨日の少女のお母さんであり、あの洋菓子店の女主人らしい。
「すみません、突然お邪魔して」
 母親は開口一番平謝りした。そもそも訪問された理由がわからない以上は、僕の方が困惑していたのだが、そんなことをおおくびにも出さずに、
「いえ。今日は非番だったので」
 と無難に返した。
 昔から自分で何事することの方が多かったので、洋菓子店の女主人の口に合うかどうかわからなかったものの、もてなしの紅茶を一応出してはいたのだが、母親は一口も口をつけなかった。
「お気遣いありがとうございます」
「で、ご用件は?」
 その問いに少し躊躇ったものの、勇気を振り絞って言った。

「娘――リリアナだけはどうか処罰しないでください」

 母親はなりふり構わず、その場で飛び跳ねるように土下座した。
「はい?」
 僕は本当に理由がわからなかった。確かにあの少女――リリアナを睨んでしまったが、ちゃんと昨日誤解を糺したはずだ。
「あの子はあなた様のファンなんです。あの王都凱旋の時にあなた様を見かけたらしくて、それ以来ずっといつか隣に立ちたいっていう、叶わない夢を見ていたんです。でも、うちにあなた様が現れた時に、憧れていたあなた様に睨みつけられたって言って、何か悪いことをしたのではないかって言って、すごくしょんぼりしていました。で、昨日あなた様があの子のところにもう一度来て、話をしてもらったっていいました。でも、なんだかそれでもあまり元気がないから、どうしたのかって聞いたら、『たぶん自分に罰を与える前に慰めに来ただけだ』って言って」
 いや、なんかおかしい。絶対に彼女勘違いしているよ。というか僕との会話の中にどうしてそんな要素がある。それは、僕がただ思っていても、らちが明かないので、母親の話を遮った。
「待ってください」
「何でしょうか」
 母親は悲痛な面持ちでこちらを見ている。いや、本当にこちらが悪かったって思っているから、そんな顔で見ないでほしい。
「僕は娘さん――リリアナさんを罰しようなんて思っていませんよ」
 彼女は驚いたようにこちらを見た。あえていうならば、
「どうしても、というならば、一つだけリリアナさんに責任を取ってもらいましょう」
 と、すっごく悪い笑みを浮かべながら言った。母親は心底怯えた顔になった。もう少しだけ茶番に付き合ってほしい。
「リリアナさんを僕の妻にいただけませんでしょうか」

 母親はこくこくとうなずき、僕を実家――洋菓子店の裏通りだった――に連れてきた。どうやら店は臨時休業にしていたらしく、彼女もその家にいた。
「リリアナさん」
 僕は正面に立つ彼女に跪いた。いきなり騎士団の正装でやってきた僕が自分を捕まえるでもなく跪いたことに、驚いて声も出ないようだった。
「―――はい」
 かろうじて聞こえた声は小さかった。
「僕の妻になってくれませんか」
「―――――っ」
 息をのむのが聞こえた。僕は立ち上がり、箱に入れた指輪を差し出した。ずいぶん前に生涯の伴侶を見つけた時にすぐに渡そうと思って、あらかじめ宝石店に全額前金で取り置きを頼んでおいたのだ。デザインはかなり彼女に似合うと思う。彼女は母親を見た。母親は目を閉じ、
「私はこの方を良いと思うわ」
 と言った。少女は少し考えた後、
「私でよろしければ」
 と控えめに言った。彼女の指に指輪をはめてあげると、少し恥ずかしかったのか赤くなった。その姿があまりにも可愛くて、つい抱き寄せてしまった。コホンという咳払いの音がし、そこに母親がいることを思い出した。
「という事で、娘さんを大切にいたしますので、よろしくお願いします」
 彼は母親に頭を下げた。母親は、泣かせるんじゃないよ、といって、店の奥に引っ込んでしまった。
 少女はすぐに僕の自宅に来てもらった。

 彼女との結婚に至るまでは険しかった。
 彼女を暮らすようになってしばらくして、事件は起る。新国王のもと、平和に暮らしていたはずなのだが、女が家を移ってから、数か月後、どうやら僕に振られた貴族の少女たちの実家が手を組んで、恋人――リリアナを誘拐したのだ。
 クレメンスや新騎士団長、スフォルツァ公爵家、バルティア公爵家、フェティダ公爵家の3公爵家の力をもってしても、リリアナや誘拐犯の足取りはつかめなかった。新国王は内密に、新国王の私兵を動かし国内の様々な闇を探ってくれていたのも知っていた。
 が、彼女の誘拐から半年経っても、依然、見つからない。もう国内にはいないだろう、と言われた。諦めたくはなかったが、国外に出てしまっていれば、諦めるしかない。そう思っていたが、ある時、地方の修道院に彼女とよく似た人物がいると、平民出身の宰相が言った。どうやら彼の昔の情報友達ネットワークを使ったみたいだった。一度会ってみようかと思って、その修道院にいくと、確かに彼女・・はいた。しかし、どうやら自分のことを覚えていないみたいだった。
 修道院長に尋ねると、彼女は近くの村で保護されたらしく、自分の名前も覚えていないようだった。
しかし、リリアナに初めて会った時に感覚によく似た感情が、体の中を駆け巡り、彼女もまた少し何かを感じたらしく、目が揺れていた。
「リリアナ―――」
 僕は彼女を抱き寄せて名前を呼んだ。彼女がピクリと身じろぎする。しかし次の瞬間、彼女は何か長いものを取り出し、背後で手を挙げたみたいだった。どうしたのだろう、と思っていたところに、ソレ・・が降ってくるとは思わず、いくら元騎士団長である僕も、対応が遅れてしまった。
「―――――っああぁ」
 背中に激痛が走る。彼女を抱きしめていた手を離し、距離をとりつつ膝から地面に崩れ落ちると、焦点が合っていない彼女が、短剣を構えていた。もちろん、騎士団仕込みの構え方ではなく、一素人の構え方だな、と思ったが、そんなことは今の僕にはどうでもよかった。

 彼女は誰かに操られている。

 多分、僕のあることないことを彼女に吹き込ませて、ついでに彼女の精神を破壊し、僕に会ったときに襲わせようと算段したのだろう。誘拐犯はある意味賢かった、と思う。
 そんなことを考えながら、僕の意識は飛んだ。

 目を覚ましたのは、翌日の午後だった。例の修道院の一室らしいが、側にはなぜか新国王もいて、もう一度意識を飛ばしかけたが、流石に頬を叩かれ、目を覚ました。
「とりあえず、彼女は牢に移した。さすがに不味い」
 もう一人その部屋にはいて、彼――ユリウスはそう言った。

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