転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 『秋の狩り』は狩猟会で獲物をしとめた数が多い10人による、その年の最高の狩人を決める戦いであり、その中にはセルドア、クレメンス、アランもその10人の中に入っており、中でもセルドアかクレメンスが優勝するのではないかと言われていた。
 この戦いでは、一般の婦女子は見学できないものの、アリアをはじめとする王宮侍女たちは別で彼らの雄姿を間近で見ることが出来、気になる相手に差し入れを持って来ついでにちゃっかり応援する、という感じで多くの侍女たちがこの会を見学する。ちなみに、アリアは、一応来賓、という形で参加しているクロードや狩りに参加している三人に差し入れを持ってきていた。差し入れは、フェティダ領の土産でもある畜産物をふんだんに使ったサンドだった。

 彼らが狩りを楽しんでいる間、アリアは他の侍女たちと共に王宮の裏手にある、会場の山中を散歩していたのだが、いつの間にかはぐれてしまい、方向音痴でもある彼女は王宮までの帰り道がわからなくなってしまっていた。
(これじゃあ、不味いわね)
 一応食糧(差し入れ用のサンドと水分である少しぬるめの紅茶)は持ってきてはいるので、最悪それを食いつないでいけばいい。だが、自分がいなくなったことで、他の人たちが自分を探し回った挙句、また誰かが行方不明にならないといいのだけれど、と、他人の心配をしていた。今現在は、まだ狩りの真っ最中らしく、犬や鷹、馬の鳴き声がかすかに聞こえてきて、声を上げたものの、全く誰も来なかったところからすると、どうやら聞こえていなかったらしかった。
(とりあえず、日が暮れる前に王宮にたどり着けばいいのだけれど、まあ、難しいわよね)
 どこかで王宮の正面側、すなわち住宅側に出ることは可能だが、出るのも非常に大回りをしなくてはならない、という事を、以前地誌学で習ったのだが、そういった情報は平常時ならばありがたい、と思うが、今回の場合は死亡フラグなのではないのだろうか、と思ってしまったアリアだった。
 すっかり夕方になり、さまざまな動物の鳴き声がやんだため、完全に狩りは終わったのだろう、と思った。
(これじゃあ、私は一人で戻らなければ、ならない)
 すでに歩き疲れ果てていたアリアは、少し休息をとっていた。ちなみに、サンドや紅茶を入れたかごは歩いている最中どこかに落としてきてしまい、手元にはなく、靴についても片方どこかにやってしまっていた。
(うう、足が痛い)
 足元を見たら、見事に豆が何か所か出来てきており、そのうちの一部はもう破れてしまっていた。空腹と疲労でこれ以上動けない、と思ったアリアは、その場に寝転んでしまい、さらに、今までなかった気配を感じたため、あたりを見回してみると、暗闇から1対の光にが彼女の姿をとらえ、それが何かであるか理解したアリアは、意識を飛ばした。

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