転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 今回フェティダ領へ向かうのはアリアと騎士団へ入ったユリウスだ。ユリウスはアリアに『フェティダ公爵と会ってみるか』という誘いを受け、アリアと同じ日程の休暇をもらって同行することを決めたのだ。

 フェティダ領へ向かう馬車の中では、アリアは一人であり、先日の騒動をふと思いだしてしまった。
 王妃のその実家である、という事を笠に立てて王太子の婚約者であるベアトリーチェに言いがかりをつけようとした少女コゼットと、彼女を嗾けたマーブリット公爵。『ラブデ』の中におけるコゼットの役回りは、本来ならばアリア・スフォルツァ、リリス・スフォルツァ、ミスティア王女の三人の一人で、王太子ルートに入っている今では一番アリアの可能性が高かった。確かゲーム内でもベアトリーチェと各攻略対象の婚約はそれぞれ、今回みたいに電撃的に行われたものだった。そのため、各攻略対象者に出てくる悪役令嬢はこのようにヒロインに詰め寄るシーンがあった気がするのを覚えている。
 もちろん、実際のアリアはそれをすることはないが、万が一自分がしてしまっていた場合だったら、と考えるだけで恐ろしい。そういう結果にならなくて良かったとホッとすると同時に、今度はどんな災難が降ってくるのかが怖かった。
(これ以上厄介ごとが降ってこないでほしいわね)
 アリアの周りでは意図的なのか偶然なのか、小さなものから大きなものまでさまざまな騒動が頻発している。
(損もしていないけれど得もしていないわね)
 誰かの信頼を自然に得ることもあれば、そのえられた信頼に従って行動しなければならない時もある。
(しかも、それを苦に感じていない)
 気づいてみれば王宮に上がって早くも3年目。騒動があったために、時間がゆっくり流れた、と思わなかったが、時間の経過を苦にしていない自分もいることに気づいていた。
「お姉さま」
 過去に耽っていたアリアは、ユリウスの声に現実に引き戻された。
「どうしたの」
「もうすぐ、宿場町に着きますが、泊まられますか」
 前回と違って、あまり護衛の数も多くないし、公爵家の威光など示さなくて良いため、一行が街道を進む速度は速い。そのため、かなり朝に王都を出て、今現在の時刻は昼を過ぎたころだろうか、まだ日が天辺を越えたころ合いだった。
「いいえ、少しフェティダ領に到着する時間は遅くなってしまうけれど、ご飯だけ食べて先に進みましょう」
 アリアはいくらユリウスが近くにいるからと雖も、この宿場町で一晩過ごすのはあまり得策でないような気がした。
「分かりました」
 ユリウスはつい最近入団したばかりながらも、すでにしっかりとした騎士だった。

 宿場町につき、前回止まった宿に併設されている食堂についた二人は、手早く済ませるため手軽に作れそうな腸詰と野菜を煮込んだ汁物に揚げたパンを添えたものを頼んだ。
「お姉さまは、前回もこれを食べられたのですか」
 ユリウスは出されたそれを見て一言、美味しそうと言って、食べ始めた。アリアも迷わずそれを食すると、ユリウスが首を少しかしげながら聞いた。
「いいえ、違うわよ。どうして?」
 そんな質問と行為にアリアの方も疑問に思った。
「いえ、僕は騎士団で同期や先輩たちと食堂でご飯食べるたり、野営訓練とかもしたりすることが多いから、あんまりこういった食事もできにならないんだけれど、お姉さまも迷いなく食べる方なんだ、と思って」
「そう言う事ね」
 アリアは弟の言い分に納得した。
「確かに、私はあまりこういったものは普段食べないけれど、こないだ来た時には別の物頼んだんだけれど、未知の物を初めて食べることには全く抵抗はなかったわね」
 アリアは一応、それっぽく答えておいた。仮にも『前世の料理と凄い似ているから、あまり気にしていなかった』という言葉はしまっておこう、と思った。
「そうなのですか」
 ユリウスは、妙に素直に納得していた。
(うん。それでいいんだけれど、なんか申し訳に気分になるのはなんでだろう)
 嘘はついていないけれど、弟に対して言葉を濁しただけで罪悪感を感じる姉であった。

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