転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 会談は一言でいうと、成功だったのだろう。今現在のマクシミリアンは野望を煮えたぎらせたような人物ではなく、出来れば穏やかに過ごしていたい、というのが本心からくる発言だったようだ。
(といえども、いくら何でも『病気静養』を理由に国王からの勅書を無視するのはいただけないと思うけれど)
 アリアとしては、同じ貴族―-強いては同じ公爵家としてとしてどうよ、思わずにいられなかった。
「ねえ、貴方はすでに結婚はしているのかしら」
 アリアはクリスティアン王子とマクシミリアンが、だいぶ打ち解けて和やかに話しているところに、失礼、と割って入った。クリスティアン王子は一瞬焦ったような顔になったが、聞かれた本人であるマクシミリアンは、
「いいえ、していませんよ。それがどうかされましたか」
 と丁寧に返した。アリアは少し無邪気を装って、さらに、
「年下は興味ありませんか?」
 とにこやかに、(あくまでもアリア自身が誘っているように見せかけて)聞いた。
「おい、アリア姫」
「お気になさらないでください、王太子殿下」
 その仕草の意味するところが分かったクリスティアンは声を荒げたが、まだまだマクシミリアンはにこやかだった。
「あえて言うならば、さまざまなことに影響力のある貴女は苦手かもしれません。ですが、もう少しお淑やかな方でしたら好きですよ」
 彼は挑戦するようにアリアに言った。しかし、アリアも別に彼女自身のことが好きかどうか聞いたわけではなかったので、特に気分を害すことはなく、
「そうでしたか」
 とだけ返し、その真意については何も触れなかった。
たったそれだけの会話であったものの、双方ともに良い印象を持つことはなく、その後は終始男二人で話し込み、セリチアを挟んだ奥の国には『アカデミー』と呼ばれる学術機関があること、その国ではかなり最先端の学術を教えていることなどを話していた。

 会談は思っていたより話が弾み、一度夕食会と睡眠をとり、今後の彼の仕官などについて話し合うことになった。
 夕食会では昨日の宿の夕食と同じく畜産物を使った料理がふんだんに出され、あえて違いがあるとすれば、このフェティダ領(フェティダ公爵家)では、乳製品が多く使われていたことだった。
「これがヤギ乳で作られたチーズですか」
 クリスティアンは初めて食するヤギ乳で作られたチーズに感動していた。
「思っていたより、匂いが少ないな」
「ええ。羊の乳と牛の乳を混合させているので、わりあい匂いは少ない方かと。純粋なヤギの物は、匂いがきついという人が多いので、あまり初心者の方にはお出ししていません」
 マクシミリアンはクリスティアンの感動に、詳しく解説していた。ここでもアリアは壁の花に徹していた。
「最近はこれを作るのが僕の仕事になっているんです」
「公爵自身がやるのか」
「ええ。安静時にできることってこれくらいなんですよ」
 そう言って笑った彼の顔はアリアよりも年上とは思えないほど無邪気だった。
 そうして、さまざまな料理の話に盛り上がり、夜は更けていった。

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