転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね?~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~

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 一方、アリアはセルドアと大広間へ戻った後、数人の少年から声をかけられ、ダンスを踊り、その後母親のもとへ行った。ダンスの相手は全て攻略対象や彼らの親類ではなさそうだった。
「お母様」
 プラチナブロンドの髪の女性と話していた母親に声をかけた。2人は子の大広間にいる貴族たちの中でも珍しい髪色をしており、着ているドレスの色からしても雪の精、と言われても間違っていなさそうな雰囲気を出していた。
「アリア、遅かったわね」
 エレノアはそういえば国王に挨拶が終わってもなかなか来なかった娘を心配していた。
「遅くなって申し訳ありません。ディート伯とコクーン卿と様々なお話をさせていただいて」
「そういえばバルティア公爵家から奪ったっていう――」
 母親と話していた女性が急に目を細めながら言ったが、エレノアは、
「あらミリィ、あの一家・・・・からスフォルツァ家うちが奪ったって言われるけれど、あそこはうちに対抗して直接紹介もなしに引っ張っていこうとした家よ。セレネ伯のご厚意によって正式に紹介されたうちと一緒にしないで」
 そう反論した。アリアは女性の口から出たバルティア公爵の名前に戸惑った。攻略対象の一人に公爵家の近衛騎士がいたが、彼は2歳下でそもそも男だ。そちら・・・の気がない限り必要のない相手だろう。
「でも、あそこの一の姫は貴女の娘同様・・かなりプライド高いらしいわよ」
 ミリィと呼ばれた女性は不躾な目でアリアを見ながらそう言った。そんな不躾に見られたアリアは怯えた演技をした。しかし、内心ではその彼女の発言によりアリアは納得した。ゲーム内では描かれなかった家族がいたのだ。そんな当たり前のことを『アリア』はすでに忘れていた。
「ふふ、この子はすでに公爵家の一員としてのマナーをしっかりと学んでいますのよ。そんな威張り散らすようなことはしなくてよ。あなたこそ娘のデビュタントのエスコート役に、ディート伯の”名前”が得られなかったことを根に持っているのではなくて?」
 エレノアは、怯えたふりをしている娘のことを見て言った。その発言を聞いて、目の前の女性は真っ青になった。彼女には思い当たったことがあるらしい。その発言を聞いて、今までは母親に関わったことのある人は全て覚えていたが、アリアは目の前の人のことを覚えなくて良いと思った。
「ミリィ――いえ、マグエム公爵夫人」
 母にそう名前の呼ばれ方を直された夫人は、震え上がっていた。

「あなたはかつて公爵家の姫で、いつかは王族の妃にって夢見ていたみたいだけれど、結局は、シシィに王妃の座をとられて、レオノーラにウィリンガミア大公妃の座をとられたことで、王族に望まれるだけの資質がなかったと思わなかったの?しかも、名門とは呼ばれずともあなたの出身である公爵と同じ家格を持たない家にしか望まれなかった嫁げなかったのよ。その時点で、なんで名前ではなく力を持つよう努力しなかったのよ。まだ、旦那さんと娘さんがまともでよかったわね。あなたの思惑に乗らずにきちんと生活していているみたいだわね」
 エレノアはそう彼女に言った。先ほどから2人のやり取りにほかの貴族たちも注目しているらしく、こちらを見始めていた。しかしそれに気づかない公爵夫人は、反省の色を示すどころか、顔を真っ赤にして、

「うるさいわね、『王家に見捨てられた姫』ごときが」

 と言った。その言葉に、少し離れたところに座っていた国王が立ち上がろうとし、側近らしき人に止められていた。しかし、先ほどあいさつした時に国王の後ろに立っていた黒髪の女性がこちらにやってきた。

「その言葉は、王家に対する叛意ととっていいのかしら?」

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