お世辞にもイケメンとは言えない残念幼馴染が異世界で何故か優良物件になってた………え?結婚してくれ?

シフォン

魔法を習得………あれ?おかしいなぁ:4

状況は最悪だ。
私が自宅に戻ると、突如として物凄く眩しい光を向けられて逃げ出す羽目になった。
しかもそのあとは神官みたいな服を着た人たちが里の中を徘徊して私を狙いだすし………まったくもって何をしたいのか分からないけど、とりあえず彼らが持ってる黒い火が危険極まりないものであることだけは理解できた。
何故かって?
さぁね、でもなんとなく嫌な予感がするんだよ。
あれだ、虫のさざめきってやつだ。

『………虫の知らせじゃない?』

………そうとも言うね。
まぁとにかく私の勘は告げているのさ。あの火は絶対に当たっちゃダメなタイプの火だって。
いわゆる即死魔法的なやつで当たると必ず死ぬけど命中率が低い………とかなんじゃないかな。
精霊王、解説頼んだ。

『私を便利な魔法辞典か何かと勘違いしてない?まぁ良いけどさ………アレは滅霊の焔っていう魔法だね。私でも特殊な触媒を使ったフレイムバニッシュでないと消化できないし、魂を燃やすからもし命中したら………肉体と思考回路だけが残って生きた人形になっちゃうよ?』

は、はぁ………
とりあえずあれに当たると魂を焼かれるんだね。つまり死ぬよりも酷い目に合うんだね。
なんてこったい。
てか魂なんてものが存在するんだね………理解はできないけれどなんとなく察したよ。

さて、とりあえずあの神官もどきの男の人たちが持っている火がヤバいのは理解したけれど、これからどうしようか。
まずあの神官を殺すのは絶対になしとして、お父さんもお母さんも頼れそうにない。そして私の知り合いなんてあとはアルカくんくらいしか親しい人はいないけれど、流石にあの子に頼るのは難しいというか、外道の所業だよね。
ふむ、ダメだ。手詰まりだ。
逃げる先なんて今のところこの里から出たことのない私には存在しないし、この里に隠れ場所はない。
正確にはあるけれどそのどれもこれもお父さんに教えてもらったものだからすでにわれてると考えていいよね。
だとするともうこれなにか劇的に状況を改善しちゃう策でもなきゃダメなんじゃないかな。

『宿主サマって………私が言うのも難だけど案外ぼっちなのかい?』

うるせぇ消すぞ。物理で。
私は失礼極まりないことを言ってきた精霊王にすごみながら、いい感じの作戦を思いつけないか少しうなる。
そして、何故か某青いタヌキロボットのことを思い出した。
そういえばアレの道具には存在感を石ころ並みにする帽子ってあったよね………今はアレが欲しい………

あ、そうだ。ここは魔法なんて便利なものがある世界だからもしかしたら魔法を使って同じ事が出来るかもしれないぞ。
一筋の希望が、かすかながら見えてきた。
しかもここには多分凄いかもしれない精霊の王様が居るんだ。存在するなら使えない魔法なんてない………かもしれない。
ひとまず尋ねてみよう。
精霊王、自分の存在感を変化させる魔法って使える?

『使えるよ?目立つための魔法しかないけど』

あぁそう。そうですかい。
目立つ方の魔法は今要らないんだよなぁ。むしろ目立たなくなる方の魔法が欲しいのに。
どうやら使えないようだ………また振り出しだよ。
私は頭を抱え、どうしようかと悩み始める。
しかし、打開策なんて足りない頭でいくら考えても思いつくわけがなく、気付くと現実逃避的な思考を始めていた。
………そういや目立つといえば前世で同じクラスにものすごく派手な子がいたけど、今どうしてるのかな。
時間の流れが一緒なら30代になっていてもおかしくはないけれど、いまだに派手なのかそれともほどほどなのかむしろ逆なのか………気になる所だね。なんて。
出来るものなら死ぬ前に前世の知り合いに会いたかったよ。まぁ派手なあの子のそばに居たら私は完全に存在感のない置物になっちゃうけどね………

………ん?いや待て。
派手なあの子のそばにいる私の存在感が消えるのはただ死ぬほど目立つもののそばにいる別の物が目立たなくなるってことだから………
そうだ、目立つようにする魔法が使えるならば私以外の何かを目立たせればいいんだ。

『………いやバカなの?そんなことしたらむしろ魔力を察知されるって』

それなら………その………目立たせたものにトラップでも仕掛ければ良いんじゃないかな!存在感があるものは一回くらい見ちゃうだろうしさ!

『じゃあどうする?私としてはそれを目にしたやつ全員石化する目を召喚するメドゥーサの祝福なんかがおすすめだよ』

いやダメだからね。特に被害が大きい奴なんてとばっちり喰らう人が多そうでしょ?
なんというか気絶させるだけみたいな魔法ないの?精霊王でしょ?

『あるにはある。でも追ってくるなら容赦しない、って感じのメッセージを伝えた方が楽だと思うけど?』

いやいやいやいや、今から私がやろうとしてるのは華麗なぼっち逃避行じゃなくて誤解を解いて日常を取り戻すことなんだよ?
石化させてどうするんだっちゅーの。
そんなことしたら関係が悪化しちゃうどころか修復不可能なくらいに壊れちゃうよ。
ほら、なんかないの?スタン系の魔法とかあれば最高、最悪でも眠気を誘うタイプの魔法とかあれば良いんじゃないかな。

『ふむ………むしろ気絶させてじわじわと恐怖を与えたいのか。そうかそうか宿主サマは性根がひん曲がってて困るなー』

………いい加減にしないと消すよ?

『あいあい、そんじゃテケトーにやっとくよー?』

私がちょっとマジメに脅すと、精霊王はようやくマトモにやる気が起きたのか、二つの魔法を発動する。

『【フォーカス】!そんでもって時間差で【インセンシビリティ】!』

正直どっちの魔法も意味は分からないけれど、多分言った順番的に考えてもフォーカスが私以外のものを目立たせる魔法だとして………インセンシビリティって何?
そう思っていた時、不意に私の視界の端に神官もどきの一人が映り込み………何か珍しいものを見付けたかのようにし別の方向を見て、それと同時に気絶する。

その光景を見て訳が分からずに私は若干混乱しそうになったけれど、きっと精霊王が放った魔法が効いたんだなと思いこむことで無理矢理納得する。
………それにしても、一体何に視線を誘導したのかな?
精霊王、一応魔法をかける相手はお前に任せたけれど、どんなものに掛けたんだい?相手はちゃんと選んだんだよね?

『いや?適当に選んだチビッ子の一人だよ?』

ほぇ………チビッ子に視線を誘導したのか。
そんでその子はどんな子かな?気になるんだけど。
もし物凄く可愛くて頭が良くて私を慕ってくれているアルカくんっていう男の子にそれをやっていたら割と真面目に怒るよ?

『んな理不尽な………まぁ安心したまえ、私が対象に選んだのは女の子だからね』

そうかい。なら良いけれど。
私はもし騙してたらあとで全力の拷問を喰らわせてやるけれど、ひとまず面倒な神官もどきたちが気絶したことに安心しようと思い、ちょっとだけ肩の力を抜くのであった。

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