お世辞にもイケメンとは言えない残念幼馴染が異世界で何故か優良物件になってた………え?結婚してくれ?

シフォン

魔法を習得………あれ?おかしいなぁ:3

あばばばばばばばば。頭が痛いんだよ………
私に取り憑いてくれやがった精霊王が良く分からないけど頭に直接響く声で叫んだと同時に火が消えたけど、なんだか今度はとんでもない頭痛がするんだよ。
あれかな、魔法っぽいものの名前を言っていたし、精霊王が私の力を吸い取って消火したら私の力………魔力?が減って頭痛がするのかな?
チクショウこの世界の魔法は頭痛を伴っちゃうのか。なんてこったい。
これじゃ異世界に転生した意味の三割から二割くらいが失われちゃったじゃないか。
残りの八割くらいの『異世界でモテモテになる』もこの体質のせいでとっくにおじゃんになってるってのに、酷いよ神様!あと勝城!
せめて魔法の発動の時の反動を軽減する能力とかつけてくれたらよかったのに………

『大丈夫かい?宿主サマ?』

精霊王が珍しく気を使ってくれてるけど、この痛みはもうなんというか耐えるのが無理なタイプの痛みなんだよ。
例えて表すと………そう、タンスの角に足の小指を全力でぶつけた時みたいな。
それが数十倍くらい酷くなって頭に来てる感じ。
もうあれだね、無心になって我慢するしかない系の痛みだこれ。
私はこの痛みを気合でなんとか我慢しようとしてみた。

ダメだ。まったく我慢できる気がしない。というかもう意識が遠のいている気すらしてくるよ。
早いところここを脱出しなくちゃいけないのは理解できるけど、それすら不可能なくらいに痛い。気力を根こそぎ持ってかれる………
あー、動きたくない。このまんま地面に這いつくばっていたいよ………

『………大丈夫じゃないみたいだね、どしたー?』

あーごめんね精霊王(自称)。ちょっと動きたくなくなっちゃったんだ。
自分の魔力っていうか元が私な魔力で魔法を使うだけでこんなにも頭痛がするなんて、なんというか最悪だね魔法。
あー、なんというかこの世界の魔法使いみんながこの痛みに耐えながら魔法を使っているんだと思うと尊敬しか出来ないよ。だってこんな痛みに耐えながら戦ったり、考え事をしたり、走らなきゃいけないんだよね?
ハハハ、魔法使い怖過ぎでしょ。この痛みに耐えられるってのはみんなドMなのか、マゾヒストなのか。
私は地味にというかかなり酷いことを考えながら、襲ってくる頭痛に完全に屈していた。

『あれ?普通は魔力をちょっと使ったくらいでそんな頭痛に襲われたりはしないはずなんだけど………』

………マジで?

『マジだよマジ………あ、ごめん魔力の出力方式私ら精霊のやつだったわ』

ファッ!?
もしかしてこの痛みお前の落ち度?
嘘でしょ?嘘だと言ってよ真犯人精霊王
私はこの痛みの原因が精霊王かもしれないと聞くと、突然として湧き上がってきた感情を抑えられなくなった。
頭痛って思ってるよりも辛いんだよ?それの原因がすぐ近くに居る奴だと聞いたら、ねぇ………
精霊王、今だけは私が助かるためにあなたの力を借りるけど、これが終わったら覚悟してよね。

『なにそれ怖い………というか仕方ないじゃないか、普通ならいくら精霊方式で出力しても大丈夫なんだよ?ただ単純に君の魔力が強すぎて出力の時に低い魔力抵抗でとんでもない負担んが掛かってるだけで』

………訳がわからない。もうちょい詳しくしてよ。
私は精霊王に詰め寄る。元々脳内だから常に至近距離だけどね。

『説明すると数時間は必用になるよ?むしろ今はさっさと逃げ出した方が得策なんじゃないの?説明なら安全が確認されてからでも問題ないよね?』

しかし精霊王は答えない。
まぁ、確かに説明は安全なところでやっても変わらないし、むしろそっちの方が良い………のかな?
じゃあさっさとこの現場から逃げよう。
私は、一歩踏み出してさっきまで燃えていたその場所から抜け出し、そこから加速してひとまず適当な仲間のエルフに近付いた。
あとはまだ死んでないし、精霊にやられてもいないんだからね!とでも伝えればこの問題は終わるだろう。
実際は精霊どころか精霊王にやられちゃったわけだけど………まぁそこは言わぬが花って奴で。
そんな思考の傍らさらに距離を詰める。
手が届くくらいの距離にまで近付いてからそのエルフに顔を近付け、なんとかこの状況を解決するための言葉を足りない頭でひねり出してみる。

「私………まだ死んでないよ?」

そしてちょっと考えて口から出たのがその言葉。
私がまだ正常で死んでいなくてマトモであることを伝えようとした、精一杯の言葉。
それなりに誠意を籠めたはずのその言葉に対する相手の返答は………

「………………」

返答は………ってあれ?このエルフのお兄さん気を失ってる。
どうなっているんだか分かんないね。しかもちょっと苦しそうな表情をしてるし………もしかして私みたいな(少なくとも見た目は)子供が焼かれているのを見て心苦しく思い過ぎて気絶しちゃったとか?
くぅ、イケメン過ぎるぜ。あくまで私の妄想だけど、イケメン過ぎるぜ。
ここに勝城が居たらちょろいとか将来クズ男に騙される典型だなとか言われることは間違いないけれど、しかしイケメン過ぎるぜこのエルフ。
一体何者なんだろう?
少し気になるが、まぁしかし今はそれよりもやるべきことがある。
この人以外の誰かを見付けて同じことを伝えないと。

『あー、その、うん………少し言いにいこと言っていい?』

………なんだね精霊王。私は今から誰でも良いから私の生存を伝えに行くところなんだよ。というか早いとこ私がなんともなくて大丈夫(二重表現)なことを伝えないと私の命が危ういんだよ。

『いや、考えてみなよ。普通焼いたはずの相手が生きてて、生きてるよ~って言ったらメチャクチャ驚くし、アンデッド系モンスターに勘違いされる可能性も高いよね?』

………………そういや、そうだね………
私は沈黙し、あまりにバカな自分の行動に呆れ、その場に手をついてうずくまってしまうのだった。

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