お世辞にもイケメンとは言えない残念幼馴染が異世界で何故か優良物件になってた………え?結婚してくれ?

シフォン

色々あって現在ロリエルフです:4

お母さんが魔法で出したものはマジカルな癒しの光とかそのへんの超常的なものではなくて………ただただ効き目が恐ろしく早い薬物だった。
うん、ひとまずこのお薬が私の傷を一瞬の内に治してしまったことについては異世界のお薬だからということで無視するけどさ………
なんで魔法でわざわざこんなものを出したのかな?本当に意味が分からないね。
でも、なんとなく察するにお母さんはそういう直接治す魔法に適性がないのかもしれない。
前世で勝城が語っている時に言ってたんだけど、その中にある言葉があったんだ。
『異世界転生には時々魔法の適正チートってのもある』ってね。
多分適正チートってのは本来いくつかしか使えないはずの魔法を、どの種類でも使えるようにしてしまうチートってことだろうから、お母さんの場合は適性が直接治す魔法になくて、さっき使った魔法薬生成ジェネレートポーションみたいな薬を作って間接的に治す魔法にあるんじゃないかと思う。
これならつじつまが合うし、色々納得できるね。

だけどあの魔法、正直言って薬を作って間接的に治す魔法とはなんか違う気がするんだよなー。
なんというか、現れたのが薬だけじゃなくてビン付きってとことかが特に。
………なんだろ、ものすごく無為なことを考えてる気がするけど、あのビンから思考が離れないよ。
なんでビンなんておまけが付いてるの?私にはそれが理解できない。
薬を使って治すってことは直接出しても大丈夫だよね?
その辺りを考えてみると、なんだか怖くなってきた。
これ以上考えて知っちゃったら戻れないような気もしてきたし………

「エフィ?ぼーっとするのは良いけど、そのままだとまた怪我するわよ?」

………おっと、そういえば今は裁縫中だったね。また忘れてた。
不意にお母さんに声を掛けられ、私は思考を中断する。
危なかった。今の思考を続けてたらあの流れで変なことに気付いちゃうかもしれなかった。
ナイスなんだよお母さん。愛してる。
まぁお母さんはただ私がまたぼーっとしてたから、もう一度自分の手を刺しちゃうんじゃないかと思ったんじゃないかな。
いやー、流石は私、まったくもって勉強が出来ないね。さっきケガをしたばっかりだってのに。
こんなんじゃ絶対バーカバーカと言われるよ、誰にとは言わないけどね。というかそれを前世で言いまくってたやつは今どこに居るのか分からないけどね………
あぁ、なんだかちょっとアイツのことを考えたらムカムカしてきたよ。それにどうせ勝城のやつは今絶対私をバカにしてるんだろう。多分千里眼か何かで。
理不尽な言いがかりだっていう自信はあるけど、とりあえずアイツにあったら一度思いっきり文句を言ってやらないと。
私は何回目かになる決意しながら、自分の作業に集中し直すのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

閑話休題。
ところで閑話休題ってどういう意味なんだろうね?私は良く分からないんだけど、とりあえず話題を変えたいときに使うと良いって言われたよ。
訳わかんないね。だけどまぁここで使えば良い気がするから使っておくよ。
閑話休題!

………うん、それじゃ本題に移ろう。
私が花嫁修業的なものを(大して意味はないけれど)しているってのは知っていると思うからその前提で話すんだけど………
この世界の、特にエルフの花嫁修業には小動物の解体ってのが含まれるとか、ちょっと訳が分からないよお母さん。
なんで可愛い兎を解体バラさなきゃいけないのかなぁ?
いやね?生きていくために動物を殺して食べないとダメってのは分かるよ?
私も元現代人だし、お肉を食べてタンパク質を取らないと………取らないと………よくわかんないけどなんかよろしくないことになるってのは知ってるからね。
でもそれをグロテスク耐性がゼロを通り越してマイナスに傾いているような現代人に任せるというのはいささか不適材不適所としか言いようがないんじゃないでしょうかねぇ!?
思わず無駄に難しい言い回しが出るほどに私はこの花嫁修業?が嫌で嫌で仕方ない。
今までケンカの1つすらしたことのない私には無理だよこれは。
料理やら裁縫やら、あと洗濯とか掃除ならまだいいよ。
だってそれは怖くない、というかグロくない。
だけど兎の解体は別だ。
なんというかついさっきまで生きていた筈のモノを斬るときの感覚は気持ち悪いことこの上ないし、特に血が噴き出してきた時なんて吐く寸前まで行きかけた。
幸いにして気持ち悪さをとんでもない混乱やら別の感情かなにかが上回ってくれたお陰で吐くことは無かったけどね。
正直一度吐いた方がマシなんだろうけど、ここで吐いて兎に吐瀉物をまき散らすようなことがあればそれはそれで兎に失礼な気がするというかなんというか。
えぇいもどかしい………これがジレンマって奴なのか。

でもさ、今気付いたんだけど正直な話動物の解体って普通は血抜きをしてからって聞いた気がする。
あれか、異世界ゆえに技術がないってことか。そうなのか。
チクショウ、私には血抜きなんてできないしそもそも血抜きの存在がないなら私はしばらくこのグロさと戦っていかなければならないというのか………?
こんなことなら大して可もなく不可もない一般家庭にでも生まれたかったね………
私は無駄に世界を恨んだ。特に前世が生田勝城なやつはかなり集中的に恨んだ。
そしてあることに気付いた。

あれ?私………途中から普通に解体できちゃってない?ということに。
うん、これどう考えてもおかしい話だけど、あまりのグロテスクさに吐きそうになっていたはずなのに、気付けば私は何でもないかのように無意識下で解体してた。
それも方法も知らないのに結構綺麗に解体してて………うわすげぇ、としか言いようがないね。
あるいはこれはSUGEEEEEってやつかな?
まぁとにかくもはや何が分からないけど、とりあえず物凄くとんでもなく凄い(ゲシュタルト崩壊)ってことだけは分かるんだよ。
私の秘められた才能チカラが_____今、覚醒するっ!………みたいな?

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

そして、大体一時間後。
解体終了!お疲れ様よく頑張ったね私!あの心に良くない苦行をよく乗り切ったよ!
流石は私………とか言いつつ、実際はただ解体中の兎から目を逸らして考え事をしていただけだけどね………
理由は良く分からないのだけれど、どうやら私は考え事をしているとその間に気付いたら作業を終えてしまう体質のようだ。
その証拠は今回、とりあえずずっと考え事をして現実から目を逸らしていたら気付かぬうちに解体が完了していたからである。
そういや裁縫の時も手が動きそうになったからそれを抑えようとしていたような気が………うーん、無意識にやってることだから良く分からないというかほとんど覚えてないなぁ………
ってあれ、なんか今考え事をしていて気づかなかったけど、お母さんがなんだか信じられないモノを見たかのような顔をしてこっちを見てる。
何をしているのやら。

まぁそれはそうとしてだね、まだ花嫁修業は終わらないみたいなんだ。
いやもうこれに至ってはただお母さんがちょっと楽をしたいだけなんじゃね?と思えるような内容なんだよねこれ。
その名も料理。
私の数少ない得意科目でもあった(と、言っても他よりマトモなだけで5が取れた訳じゃない)家庭科における重要な項目であり地味に一生使える技能。
こればっかりは前世から何かとお母さんを手伝ってたから上手なんだよね、私。
裁縫も結構できるけど料理に比べるとちょっと霞むくらいには得意なんだ。
あと、前世でもそれなりにお母さんを手伝う形で料理してきた私としては、なにげにこの料理って奴が大変なことを良く知っている。
なんせ前世の調理器具がメチャクチャ発達した環境でも皿洗いだったり下拵えだったり味付けの分量の調節だったりが大変だったってのに、調理器具が発達していないこの世界じゃもっと大変なんだと思う。
だからそれがたとえお母さんが花嫁修業にかこつけて楽をしようとしているのだろうと、大変さを理解している私には受け入れられちゃうんだ。
そういうことだから、ちょっと本気出して料理しちゃうよー!

私は気合を入れつつ目の前にある材料に手を伸ばす。
今日の材料は良く分からない異世界っぽい謎野菜、ジャガイモっぽいけど色がどうにもニンジンにしか見えないやつ、白いニンジンとかの変な野菜がたくさん。
あとは牛乳とか何故かやたら新鮮なお肉(現実逃避)があるし………今日の料理は多分シチューだと思う。多分だけど。
だからひとまず材料を切って………食材を………

………あれ?おかしいな。食材がない。
すぐそこにあるはずの食材を使おうと思ったらすでにない。
まさか無意識に私が食べちゃったとか?
うはぁ、どこの大食いキャラだよ私。こえーよ………
そんなくだらないことを考えてから、私はとりあえず周りを見渡した。
もしかしたらただ見当違いなところに手を伸ばしちゃっただけかもしれない。
………しかし、やはり食材は見当たらない。
と、なるとこれはもう無意識に食べちゃった線がいよいよ濃厚なのかな?
食べた覚えがないのに食べちゃうなんて、それじゃただの認知症じゃねーか!としか言いようがないけどね。
だけどそれ以外に食材が消える理由が見当たらないよ。
あぁ、謝るしかないな………晩御飯を台無しにしちゃったこととか、さ。
そう思いながら私はふと無意識にまだ熱し始めてもいない鍋に手を置いた。

「熱っっっっっっっ!?」

しかし、まだ熱し始めてすらいないはずの鍋は思っていたより何百倍も、というか死ぬほど熱く、まさに今似ている途中かのような熱さだった。

………いやナニコレ。気付かぬうちに私は火だけ着けて空焚きしてたっての?
危ない危ない………空焚きいくない。
確かあれって中身があってその上で水が入ってない時が一番危険だって聞いたけど、それでも空焚きはよくない。
だって火事の原因になっちゃうからね。
あー、何も入れてなかったから大丈夫だけど、危うく火事になる所だったよ………
私はそこまで考えて、不意にあることに気付く。
もしかして私、無意識のうちに料理しちゃったんじゃないかな?って。
自分でもアホな考えだってのは分かる。
でも………無意識のうちに兎を解体バラしたことやら無意識に縫おうとしてケガしたことからも考えてこれもありえないとも言いづらいんだよなぁ。
だって普通は無意識にするなんて出来ないようなことをやってたもん。さっき。
それを前提にしたら多分、この鍋の中身は私が無意識に作ったモノ………だと思う。
だったらマトモに食べられないモノなんてことは無いよね?
私は恐る恐る、鍋の中身を確認する。

そこには………
本当に自分で作ったのか疑わしいほど美味しそうな、シチュー(っぽいもの)があった。
いやもうまったくもって訳が分からないよこれ………私の能力を越えちゃった無意識下の作業って、私が頑張る意味あんのかチクショウ!
私は、この混乱に耐えかねて理不尽にキレるのであった。

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