世界の真理を知って立ち上がれる者は俺以外にいるのだろうか
第2話 「彼には友達がいた」
検査後の翌日、僕は家にいた。
アークとパルムは家に帰ってからも状況が理解出来ずにいてずっと黙り込んでいた。
僕は何故自分に神通力が無い様に表示されていたのかを説明したいと思ったが、説明したところで信じてはもらえないと思いやめた。
そもそもそれを知ってしまったら、とても優しい僕の両親は、今以上に苦しんでしまうというのを僕は分かっていたからだが。
そもそもこんな事になったのは僕が原因なのだが。
それでも訳はアークとパルムには言わない。
言ってはいけない秘密の様なものなのだから。
それは二年前に起きた事である。
僕が三歳になってから一ヶ月が過ぎた頃。
この時の僕の遊戯の主流は探検だった。
「今日も行くの? あまり遠くまでいっては駄目だよ」
「分かりました、母様。ですが、僕ももう三歳ですので自分の事は自分で出来るのでそんなに心配しなくて良いですよ」
「歳とかは関係無いの。自分の息子の事を心配するのは親として当然の事なの。分かった?」
「そうですね。僕が間違っていました。すみません。では、行ってきます」
「行ってらっしゃい。......外にいるお父さんにも挨拶して行くんだよ」
僕はパルムと玄関で何度目になるかは分からない程してきた会話をして、外へと出て行った。
良く毎日同じ事を言うもんだと僕は考えていたが、それは口に出さなかった。
いや、出せなかった。
それを言った後、どうなるかが予想出来なかったからだ。
僕はアークに挨拶しに行こうと、いつもアークが剣術の練習をしている庭へと行った。
着いた時、丁度休憩をとろうとしていた時らしく、気軽に話しかけれた。
まだ休憩をとっていない時であれば、どれだけ大声で呼ぼうとも聞こえていなくて休憩をとろうとするまで待っているしか無いので、今日は運が良いと僕は感じていた。
「父様、今日も探検しに行ってきます」
「そうか。元気なのは良い事だ。けど偶には父さんと稽古をしような。もうそろそろ始めても良い歳なんだし」
「はい。しかし、稽古をするのは六歳からではないと母様に怒られてします。父様も知っておられるでしょう」
「そうだな。分かった。母さんは怒ったら怖いもんな。ならそれまでは一人で稽古をしておくとするよ」
「じゃあ、父様。行ってきます」
「おう、行ってこい」
アークが言う稽古とは、体術の稽古だ。
これは、アークが戦闘好きという事があるのと、子供が産まれたら一緒に稽古をして戦うのが夢だったそうでとても僕と稽古をしたがっている。
ただ、一度だけアークと一緒に稽古をした事があるが、その時パルムに見つかって、とても怒られた事から、稽古は六歳からと決められてしまっているので、僕が六歳になるまでは出来ない。
しかし、その一回限りでも、英雄の指導という事もあり、僕は殆どの体術を完璧に使える。
だが、それでは僕は納得はいかず、完璧に、それもアークを越すぐらいまでは稽古を頑張りたいと思っている。
なので今から六歳になるまでを僕はとても楽しみにして生きていた。
僕はアークと別れた後、森の中をひたすら歩いていた。
森というよりもジャングルという言葉の方がしっくりとくる森をだ。
それでも空からくる明かりは遮ってはいず、周りを見る事は出来たが。
ここに来たのは、ここが僕にとって遊び場のような場所であるからだ。
ここを知ったのはパルムと薬草を取りにきたときの事だった。
とても綺麗な水が流れる川、かなであう鳥たちの鳴き声、動物たちの開放的な過ごし方。
僕はこれら全てに惹かれた。
それ以降、僕は毎日この森を探検している。
雨が降ろうが、嵐になろうが、雪が降ろうが、どんな天候になっても僕はここに来るだろう。
それ程までに、ここを好きになってしまったのだ。
「今日は何しようかな......」
いつもの様に独り言をした。
それは、独り言というよりは仲間を呼ぶための声に近いものだが。
「キュキュゥゥッ」
そうやって鳴き声を上げ近づいてきたのは狐だ。
人によってはこの動物を、神が宿る生物 "九尾" と呼ぶものもいるが。
だがそれは身長が九メートルあり九の尻尾がある動物なので、この犬ぐらいのデカさの尻尾が九ある動物を僕は九尾とは思っていない。
この狐といつもは遊んでおり、時に可笑しな行動をしている時はあるがそこらへんは僕は気にしていない。
僕も同じ様な行動をしているのだから。
「今日は何をする? 僕は探検をしたい気分なんだけど......それか新しい発見をするとかでも良いよ。ホムラは何をしたい?」
「キュッキュッキュウ」
ホムラとは僕がこの狐に付けた名前だ。
付けたというよりも、頭に思い浮かんだからそう呼んでいるだけだが。
「分かったよ。ホムラから提案するなんて珍しいし着いて行くよ」
僕はホムラが、着いてこいと言っているのが分かり、言う通りにホムラが歩いていく後ろをついて行った。
木々が空からくる明かりを遮り、少し先を見ようとすると全く分からないという程の暗さ。
それでもホムラは足を止めないので僕も足を止める事はなく、歩き続けて行く。
やがて、ホムラが足を止めたのが分かり僕もそこで足を止めた。
そこは丸を描く様に空から明かりが届き光る場所だった。
その丸の中央には、雑草に埋もれて原型の半分も見えていないプレートがあった。
そのプレートには僕が普段使っている文字とは違う、また僕の数々の記憶の中でも違う、全く理解出来ない文字が書かれていた。
「これは何なの? 見た事もない文字だけど」
「キュウキュッキュ」
「神代文字? そんな文字聞いたことないけど」
プレートに書かれてある文字をホムラは知っていた様だが、それを聞いても僕は全くその文字の事を知らなかった。
ホムラは仕方がないと言いたいかの様に鳴いた。
そしてプレートに近寄り上に乗った。
「キュウキュウキュキュッキュウ」
「ここに触れろ? って言ってるのだよな。まあその通りにするけど」
ホムラは鳴くと、プレートからジャンプして僕の横へと着地した。
僕は怪しげなプレートを見て不安でしか無かったが、ホムラが言っている事で間違った事はないし、その言葉のお陰で助かった事だって山程ある。
なので、ホムラを信じてプレートへと手を伸ばした。
中指の先がプレートに触れそのまま手全体がプレートに着くと変化は起きた。
プレートが、それも文字の部分も含めて白く光り輝き出したのだ。
それと同時に僕は乾いている葉の上に倒れた。
そして、倒れ切った時に自然と意識も消えた。
アークとパルムは家に帰ってからも状況が理解出来ずにいてずっと黙り込んでいた。
僕は何故自分に神通力が無い様に表示されていたのかを説明したいと思ったが、説明したところで信じてはもらえないと思いやめた。
そもそもそれを知ってしまったら、とても優しい僕の両親は、今以上に苦しんでしまうというのを僕は分かっていたからだが。
そもそもこんな事になったのは僕が原因なのだが。
それでも訳はアークとパルムには言わない。
言ってはいけない秘密の様なものなのだから。
それは二年前に起きた事である。
僕が三歳になってから一ヶ月が過ぎた頃。
この時の僕の遊戯の主流は探検だった。
「今日も行くの? あまり遠くまでいっては駄目だよ」
「分かりました、母様。ですが、僕ももう三歳ですので自分の事は自分で出来るのでそんなに心配しなくて良いですよ」
「歳とかは関係無いの。自分の息子の事を心配するのは親として当然の事なの。分かった?」
「そうですね。僕が間違っていました。すみません。では、行ってきます」
「行ってらっしゃい。......外にいるお父さんにも挨拶して行くんだよ」
僕はパルムと玄関で何度目になるかは分からない程してきた会話をして、外へと出て行った。
良く毎日同じ事を言うもんだと僕は考えていたが、それは口に出さなかった。
いや、出せなかった。
それを言った後、どうなるかが予想出来なかったからだ。
僕はアークに挨拶しに行こうと、いつもアークが剣術の練習をしている庭へと行った。
着いた時、丁度休憩をとろうとしていた時らしく、気軽に話しかけれた。
まだ休憩をとっていない時であれば、どれだけ大声で呼ぼうとも聞こえていなくて休憩をとろうとするまで待っているしか無いので、今日は運が良いと僕は感じていた。
「父様、今日も探検しに行ってきます」
「そうか。元気なのは良い事だ。けど偶には父さんと稽古をしような。もうそろそろ始めても良い歳なんだし」
「はい。しかし、稽古をするのは六歳からではないと母様に怒られてします。父様も知っておられるでしょう」
「そうだな。分かった。母さんは怒ったら怖いもんな。ならそれまでは一人で稽古をしておくとするよ」
「じゃあ、父様。行ってきます」
「おう、行ってこい」
アークが言う稽古とは、体術の稽古だ。
これは、アークが戦闘好きという事があるのと、子供が産まれたら一緒に稽古をして戦うのが夢だったそうでとても僕と稽古をしたがっている。
ただ、一度だけアークと一緒に稽古をした事があるが、その時パルムに見つかって、とても怒られた事から、稽古は六歳からと決められてしまっているので、僕が六歳になるまでは出来ない。
しかし、その一回限りでも、英雄の指導という事もあり、僕は殆どの体術を完璧に使える。
だが、それでは僕は納得はいかず、完璧に、それもアークを越すぐらいまでは稽古を頑張りたいと思っている。
なので今から六歳になるまでを僕はとても楽しみにして生きていた。
僕はアークと別れた後、森の中をひたすら歩いていた。
森というよりもジャングルという言葉の方がしっくりとくる森をだ。
それでも空からくる明かりは遮ってはいず、周りを見る事は出来たが。
ここに来たのは、ここが僕にとって遊び場のような場所であるからだ。
ここを知ったのはパルムと薬草を取りにきたときの事だった。
とても綺麗な水が流れる川、かなであう鳥たちの鳴き声、動物たちの開放的な過ごし方。
僕はこれら全てに惹かれた。
それ以降、僕は毎日この森を探検している。
雨が降ろうが、嵐になろうが、雪が降ろうが、どんな天候になっても僕はここに来るだろう。
それ程までに、ここを好きになってしまったのだ。
「今日は何しようかな......」
いつもの様に独り言をした。
それは、独り言というよりは仲間を呼ぶための声に近いものだが。
「キュキュゥゥッ」
そうやって鳴き声を上げ近づいてきたのは狐だ。
人によってはこの動物を、神が宿る生物 "九尾" と呼ぶものもいるが。
だがそれは身長が九メートルあり九の尻尾がある動物なので、この犬ぐらいのデカさの尻尾が九ある動物を僕は九尾とは思っていない。
この狐といつもは遊んでおり、時に可笑しな行動をしている時はあるがそこらへんは僕は気にしていない。
僕も同じ様な行動をしているのだから。
「今日は何をする? 僕は探検をしたい気分なんだけど......それか新しい発見をするとかでも良いよ。ホムラは何をしたい?」
「キュッキュッキュウ」
ホムラとは僕がこの狐に付けた名前だ。
付けたというよりも、頭に思い浮かんだからそう呼んでいるだけだが。
「分かったよ。ホムラから提案するなんて珍しいし着いて行くよ」
僕はホムラが、着いてこいと言っているのが分かり、言う通りにホムラが歩いていく後ろをついて行った。
木々が空からくる明かりを遮り、少し先を見ようとすると全く分からないという程の暗さ。
それでもホムラは足を止めないので僕も足を止める事はなく、歩き続けて行く。
やがて、ホムラが足を止めたのが分かり僕もそこで足を止めた。
そこは丸を描く様に空から明かりが届き光る場所だった。
その丸の中央には、雑草に埋もれて原型の半分も見えていないプレートがあった。
そのプレートには僕が普段使っている文字とは違う、また僕の数々の記憶の中でも違う、全く理解出来ない文字が書かれていた。
「これは何なの? 見た事もない文字だけど」
「キュウキュッキュ」
「神代文字? そんな文字聞いたことないけど」
プレートに書かれてある文字をホムラは知っていた様だが、それを聞いても僕は全くその文字の事を知らなかった。
ホムラは仕方がないと言いたいかの様に鳴いた。
そしてプレートに近寄り上に乗った。
「キュウキュウキュキュッキュウ」
「ここに触れろ? って言ってるのだよな。まあその通りにするけど」
ホムラは鳴くと、プレートからジャンプして僕の横へと着地した。
僕は怪しげなプレートを見て不安でしか無かったが、ホムラが言っている事で間違った事はないし、その言葉のお陰で助かった事だって山程ある。
なので、ホムラを信じてプレートへと手を伸ばした。
中指の先がプレートに触れそのまま手全体がプレートに着くと変化は起きた。
プレートが、それも文字の部分も含めて白く光り輝き出したのだ。
それと同時に僕は乾いている葉の上に倒れた。
そして、倒れ切った時に自然と意識も消えた。
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