太陽王の剣〜命を懸けて、君と世界を守り抜く!〜
12 聖剣入手!?
ノクティス・ルナ・ブリリアントー・ノーブル・デ・ウルティミスが、その日『宝剣の間』に向かったのは、偶然のことだった。
その日は、珍しく仕事が日暮れ前に終わったので、午後の時間を庭園で紅茶でも飲みながらゆっくり過ごそうと決めて、侍女に準備を命じた。紅茶が届くまで庭でも眺めて思索に耽るかと執務室から退出し、長い廊下を渡り、階下へと続く階段を降りる。絢爛な装飾を施された階段を降りる途中、普段なら聞くことのない甲冑の走る金属音と男の声を耳にし、ノクティスは驚いた。
不審に思い、急いで音のする方へ駆け寄ると、衛兵が二人、頭をかきながらきょろきょろと辺りを見回しているのに行き当った。
「何事だ!?」
ノクティスが尋ねると、衛兵は困惑した表情でノクティスの顔を見つめ返した。
「お騒がせして申し訳ございません! 自分は城の巡回をしておりました!」
「巡回だと? 私は巡回で城内を大声をあげて走り回る衛兵を見たことはないが? 新しくそんな決まりでも作ったのか?」
「いえ、そんな決まりはございません! ご不快にさせて申し訳ございませんでした!」
衛兵達は怯えたようにノクティスに頭を下げた。ノクティスは不快げに顔を歪め、
「良い。下がれ」
と命じ、敬礼の後、なるべく静かにその場を後にする衛兵達を見送った。
(ふん。興が削がれた……。しかし、この辺りには久しぶりに来たな)
広い城内には1000以上の部屋がある。一度も入ったことのない部屋もあるほどだ。しかし、現在地には馴染みがあった。
(宝剣の間が近いな。久しく来ていないが――)
6年前、授剣の儀の事件直後、父親から密かに鍵を奪い、諦めきれずに何度か宝剣の間を訪ねたものだと思い出す。あれから仕事が忙しくなったこともあり、宝剣の間に行くことはなくなったが、まだ自分は野望を諦めきれていない。
しかし、時間がない。
ノクティスの野望――地上の王になること。それを叶えるには、ノクティスに残された時間はあまりにも少なすぎた。
ノクティスは病に冒されていたのだ。それは、この野心ある若い公爵の命を削り、死に至らしめる不治の病であった。このまま放っておけば、近いうちに彼には確実に死が訪れるだろう。
それでもまだ、ノクティスは野望を諦めてはいなかった。どんな手段を使ってでも、必ず野望を叶えてみせる気でいた。父王に死なない程度に毒を盛って病の床に追いやったのも、政治で発言力をつけて紋章院貴族を黙らせたのも全てその布石である。しかし、万策尽きた。最後の一手に届かない。
ノクティスにはレクス神の御印がない。
それだけで、太陽神を崇めるこの王国では、頭の固い国民達を黙らせることは出来ないだろう。それを覆すほどの実績を上げるには、彼の残りの命は短すぎた。
忌々しい物思いに耽っていたノクティスは、ふと思い立って、宝剣の間に赴こうと決めた。久々に聖剣の姿でも拝もうと思ったからだ。
ノクティスは宝剣の間の扉の前に立ち、懐から装飾の美しい鍵を取り出す。父から奪った鍵だ。そして、錠に鍵を刺し回す。しかし、手応えがない。驚いて他の錠も試してみるが、どれも手応えがない。不審に思って扉を引くと、あっけなく扉は開いてしまった。
(何!? 鍵が壊れている!?)
慌てて部屋の中に入る。部屋の中は暗い。一見荒らされたような形跡はないように見えた。しかし、壁に下がっているはずのランプが消えているのに気付いたノクティスは、胸騒ぎを抑えて部屋の奥へと進んだ。彼は聖剣の保管場所をしっかりと記憶していた。迷わず正面の棚に駆け寄る。その中段の中央に、その聖剣はあるはずだった。
(――無い、だと!?)
空になった棚を見て、ノクティスは驚愕にその銀色の目を見開いた。
城の警備の目をかいくぐり、宝剣の間の鍵を壊して何者かが聖剣サンクトルーメを盗んだようだ。
「モア」
ノクティスが呼びかけると、背後の闇の中から少女が一人現れた。
紅い瞳と、腰の辺りまで伸びている烏の濡れ羽色の巻髪が特徴的な、十代半ばくらいの少女で、太ももまで足の見えるドレスを着ている。
少女が鈴を転がしたような声で答えた。
「はい。ノクティス様」
「サンクトルーメが盗まれた。犯人を探せ」
「承知致しました」
少女はドレスのスカートをつまみ礼をすると、現れた時と同様に闇の中にとぷりと消えた。
後に残されたノクティスは、残忍なまでに凶暴な笑みを浮かべ、呟いた。
「――面白い。私に挑もうというのか。ルナ。地上への干渉に制約を持つ貴様がどう動くのか、見せてもらおう!」
* * *
「――遅い」
レオニスは、イライラしながら地下通路に広がる闇を睨みつけた。ランプの灯りが照らす範囲には、デンテとアルサスの姿がある。三人は、王家の者だけに伝えられるという城に繋がる地下通路の、迷路の中間地点にいた。
「さっきから、何を焦ってるんだ? まだそんなに経ってないぜ。ここで待ってれば、そのステラってコが俺らの代わりに聖剣を盗んで来てくれる手筈なんだろ?」
デンテが問いかける。その言葉の内容から、デンテの中にステラの記憶がなくなっていることを再確認して、レオニスは言い知れぬ焦燥感を感じた。
「まあ、もし俺達が忍び込むとしたら、夜中の闇に紛れて城内に潜入するしかないだろう。決行は夜になる。それまでに誰かが、それも記憶を消す能力を持っている人間が、代わりに聖剣を入手して来てくれるのであれば、儲けものだな。俺達が行くよりリスクも低いだろう。――それとも、そのステラは、そんなに信用出来ない人間なのか?」
アルサスに問いかけられ、レオニスは言葉につまる。
「――さあ。よく分かりません。僕だって出会ったのは昨夜が初めてなんで。ただ、僕より年下の女の子を一人で行かせるなんて、なんか不安で……」
「男女差別は良くないぞ、レオニス。使える者は何でも使うべきだ。それに、彼女は自分から申し出たんだろう? 勇敢で能力と自信もある。なかなか面白いヤツじゃないか」
アルサスに言われ、レオニスはうなだれた。ここでこうして待っているだけの自分に焦りを覚えていた。辛い呪いを背負っても、自分のできることを精一杯やって、前向きに行動する少女の存在は、レオニスの本来持っている負けず嫌いな性格を刺激するのだ。
「ま、俺も完全にそんな女がいたことなんて忘れてるくらいだから、その『忘れられる呪い』ってのは本物だぜ! きっと上手くやって帰って来るだろ! 気長に待とうぜ!」
デンテが楽観的に言う。レオニスも頷くしかなかった。
三人はしばらく待った。
すると、闇の向こうから小さな灯りが近づいてくるのが見えた。
「ステラか!?」
レオニスが叫ぶと、灯りは足音を立ててこちらに駆け寄ってきた。近づいて来るに従って、ランプを持った少女の姿がはっきりと確認できるようになる。金髪碧眼の少女は、駆け寄る勢いのまま、レオニスの胸に飛び込んできた。
「わーい! レオニスー! ステラのこと忘れないで待っててくれたの!?」
「わっ、ばか! いちいちくっつくな! 待ってるだろ! そういう約束なんだから!」
レオニスに引き剥がされ、ステラはそれでもニコニコと嬉しそうに頷いた。
「えへへ。約束だって。久しぶり過ぎて感動! さすがレオニス!」
むしろレオニスにとっては、数時間前に別れたばかりのステラを忘れるということの方が難しいのだが、褒められて悪い気はせず、レオニスは思わず赤面してしまう。
「そんなことより、首尾はどうだ!? 聖剣は無事盗み出せたのか!?」
デンテに問われ、ステラは親指を立てて胸を張った。
「もちろん、ばっちり! 見て!」
そう言うとステラは、背中に背負っていた二本の剣を下ろして、掲げ持った。
「じゃーん!」
「はあ!? 二本!?」
レオニスとデンテが同時に叫んだ。ステラは剣を二本ともデンテに手渡すと、
「えへへ。柄にルビーのついた剣身が黄金色の剣が二本あって、迷ったから両方持って来ちゃった! 間違って持って来るよりはいいよね!」
と開き直って言う。アルサスは冷静にレオニスに問う。
「で? どちらが本物の聖剣なんだ?」
「あ、はい。えっと……こっちです」
レオニスが片方の剣を指差すと、ステラはほっとしたように胸をなでおろした。
「よかった~。ステラ、そっちは地味だから偽物だと思ってたよ~。こっちの剣の方がデザインが可愛いんだもん!」
「そっちはただの宝剣だよ。しかも、純金で出来てるから剣としての性能も低い。ただの装飾品だよ」
レオニスが言うと、デンテも頷いた。
「うん。それに俺は、デザインも本物の方が渋くてかっこいいと思うぞ」
「ええ~!? デンテ見る目ない!」
ステラは怒ったように頬を膨らませた。
「ま、そんなにその偽物が気に入ったんなら、その剣はステラにやるよ。売り先を間違えなければ捕まらずに高額の値がつくだろう」
アルサスにそう宥められると、ステラは瞬間笑顔になり、飛び上がった。
「わーい! 嬉しい! これ可愛いんだもん!」
デンテから偽物の剣を受け取ると、抱きしめて柄のルビーに頬ずりした。
「さあ、聖剣も無事確認出来たことだし、そろそろ地上に戻ろうか。ぐずぐずして見つかったりしたら、間抜けだからな」
アルサスの号令で四人は地下通路を出口へと急ぐ。
その日は、珍しく仕事が日暮れ前に終わったので、午後の時間を庭園で紅茶でも飲みながらゆっくり過ごそうと決めて、侍女に準備を命じた。紅茶が届くまで庭でも眺めて思索に耽るかと執務室から退出し、長い廊下を渡り、階下へと続く階段を降りる。絢爛な装飾を施された階段を降りる途中、普段なら聞くことのない甲冑の走る金属音と男の声を耳にし、ノクティスは驚いた。
不審に思い、急いで音のする方へ駆け寄ると、衛兵が二人、頭をかきながらきょろきょろと辺りを見回しているのに行き当った。
「何事だ!?」
ノクティスが尋ねると、衛兵は困惑した表情でノクティスの顔を見つめ返した。
「お騒がせして申し訳ございません! 自分は城の巡回をしておりました!」
「巡回だと? 私は巡回で城内を大声をあげて走り回る衛兵を見たことはないが? 新しくそんな決まりでも作ったのか?」
「いえ、そんな決まりはございません! ご不快にさせて申し訳ございませんでした!」
衛兵達は怯えたようにノクティスに頭を下げた。ノクティスは不快げに顔を歪め、
「良い。下がれ」
と命じ、敬礼の後、なるべく静かにその場を後にする衛兵達を見送った。
(ふん。興が削がれた……。しかし、この辺りには久しぶりに来たな)
広い城内には1000以上の部屋がある。一度も入ったことのない部屋もあるほどだ。しかし、現在地には馴染みがあった。
(宝剣の間が近いな。久しく来ていないが――)
6年前、授剣の儀の事件直後、父親から密かに鍵を奪い、諦めきれずに何度か宝剣の間を訪ねたものだと思い出す。あれから仕事が忙しくなったこともあり、宝剣の間に行くことはなくなったが、まだ自分は野望を諦めきれていない。
しかし、時間がない。
ノクティスの野望――地上の王になること。それを叶えるには、ノクティスに残された時間はあまりにも少なすぎた。
ノクティスは病に冒されていたのだ。それは、この野心ある若い公爵の命を削り、死に至らしめる不治の病であった。このまま放っておけば、近いうちに彼には確実に死が訪れるだろう。
それでもまだ、ノクティスは野望を諦めてはいなかった。どんな手段を使ってでも、必ず野望を叶えてみせる気でいた。父王に死なない程度に毒を盛って病の床に追いやったのも、政治で発言力をつけて紋章院貴族を黙らせたのも全てその布石である。しかし、万策尽きた。最後の一手に届かない。
ノクティスにはレクス神の御印がない。
それだけで、太陽神を崇めるこの王国では、頭の固い国民達を黙らせることは出来ないだろう。それを覆すほどの実績を上げるには、彼の残りの命は短すぎた。
忌々しい物思いに耽っていたノクティスは、ふと思い立って、宝剣の間に赴こうと決めた。久々に聖剣の姿でも拝もうと思ったからだ。
ノクティスは宝剣の間の扉の前に立ち、懐から装飾の美しい鍵を取り出す。父から奪った鍵だ。そして、錠に鍵を刺し回す。しかし、手応えがない。驚いて他の錠も試してみるが、どれも手応えがない。不審に思って扉を引くと、あっけなく扉は開いてしまった。
(何!? 鍵が壊れている!?)
慌てて部屋の中に入る。部屋の中は暗い。一見荒らされたような形跡はないように見えた。しかし、壁に下がっているはずのランプが消えているのに気付いたノクティスは、胸騒ぎを抑えて部屋の奥へと進んだ。彼は聖剣の保管場所をしっかりと記憶していた。迷わず正面の棚に駆け寄る。その中段の中央に、その聖剣はあるはずだった。
(――無い、だと!?)
空になった棚を見て、ノクティスは驚愕にその銀色の目を見開いた。
城の警備の目をかいくぐり、宝剣の間の鍵を壊して何者かが聖剣サンクトルーメを盗んだようだ。
「モア」
ノクティスが呼びかけると、背後の闇の中から少女が一人現れた。
紅い瞳と、腰の辺りまで伸びている烏の濡れ羽色の巻髪が特徴的な、十代半ばくらいの少女で、太ももまで足の見えるドレスを着ている。
少女が鈴を転がしたような声で答えた。
「はい。ノクティス様」
「サンクトルーメが盗まれた。犯人を探せ」
「承知致しました」
少女はドレスのスカートをつまみ礼をすると、現れた時と同様に闇の中にとぷりと消えた。
後に残されたノクティスは、残忍なまでに凶暴な笑みを浮かべ、呟いた。
「――面白い。私に挑もうというのか。ルナ。地上への干渉に制約を持つ貴様がどう動くのか、見せてもらおう!」
* * *
「――遅い」
レオニスは、イライラしながら地下通路に広がる闇を睨みつけた。ランプの灯りが照らす範囲には、デンテとアルサスの姿がある。三人は、王家の者だけに伝えられるという城に繋がる地下通路の、迷路の中間地点にいた。
「さっきから、何を焦ってるんだ? まだそんなに経ってないぜ。ここで待ってれば、そのステラってコが俺らの代わりに聖剣を盗んで来てくれる手筈なんだろ?」
デンテが問いかける。その言葉の内容から、デンテの中にステラの記憶がなくなっていることを再確認して、レオニスは言い知れぬ焦燥感を感じた。
「まあ、もし俺達が忍び込むとしたら、夜中の闇に紛れて城内に潜入するしかないだろう。決行は夜になる。それまでに誰かが、それも記憶を消す能力を持っている人間が、代わりに聖剣を入手して来てくれるのであれば、儲けものだな。俺達が行くよりリスクも低いだろう。――それとも、そのステラは、そんなに信用出来ない人間なのか?」
アルサスに問いかけられ、レオニスは言葉につまる。
「――さあ。よく分かりません。僕だって出会ったのは昨夜が初めてなんで。ただ、僕より年下の女の子を一人で行かせるなんて、なんか不安で……」
「男女差別は良くないぞ、レオニス。使える者は何でも使うべきだ。それに、彼女は自分から申し出たんだろう? 勇敢で能力と自信もある。なかなか面白いヤツじゃないか」
アルサスに言われ、レオニスはうなだれた。ここでこうして待っているだけの自分に焦りを覚えていた。辛い呪いを背負っても、自分のできることを精一杯やって、前向きに行動する少女の存在は、レオニスの本来持っている負けず嫌いな性格を刺激するのだ。
「ま、俺も完全にそんな女がいたことなんて忘れてるくらいだから、その『忘れられる呪い』ってのは本物だぜ! きっと上手くやって帰って来るだろ! 気長に待とうぜ!」
デンテが楽観的に言う。レオニスも頷くしかなかった。
三人はしばらく待った。
すると、闇の向こうから小さな灯りが近づいてくるのが見えた。
「ステラか!?」
レオニスが叫ぶと、灯りは足音を立ててこちらに駆け寄ってきた。近づいて来るに従って、ランプを持った少女の姿がはっきりと確認できるようになる。金髪碧眼の少女は、駆け寄る勢いのまま、レオニスの胸に飛び込んできた。
「わーい! レオニスー! ステラのこと忘れないで待っててくれたの!?」
「わっ、ばか! いちいちくっつくな! 待ってるだろ! そういう約束なんだから!」
レオニスに引き剥がされ、ステラはそれでもニコニコと嬉しそうに頷いた。
「えへへ。約束だって。久しぶり過ぎて感動! さすがレオニス!」
むしろレオニスにとっては、数時間前に別れたばかりのステラを忘れるということの方が難しいのだが、褒められて悪い気はせず、レオニスは思わず赤面してしまう。
「そんなことより、首尾はどうだ!? 聖剣は無事盗み出せたのか!?」
デンテに問われ、ステラは親指を立てて胸を張った。
「もちろん、ばっちり! 見て!」
そう言うとステラは、背中に背負っていた二本の剣を下ろして、掲げ持った。
「じゃーん!」
「はあ!? 二本!?」
レオニスとデンテが同時に叫んだ。ステラは剣を二本ともデンテに手渡すと、
「えへへ。柄にルビーのついた剣身が黄金色の剣が二本あって、迷ったから両方持って来ちゃった! 間違って持って来るよりはいいよね!」
と開き直って言う。アルサスは冷静にレオニスに問う。
「で? どちらが本物の聖剣なんだ?」
「あ、はい。えっと……こっちです」
レオニスが片方の剣を指差すと、ステラはほっとしたように胸をなでおろした。
「よかった~。ステラ、そっちは地味だから偽物だと思ってたよ~。こっちの剣の方がデザインが可愛いんだもん!」
「そっちはただの宝剣だよ。しかも、純金で出来てるから剣としての性能も低い。ただの装飾品だよ」
レオニスが言うと、デンテも頷いた。
「うん。それに俺は、デザインも本物の方が渋くてかっこいいと思うぞ」
「ええ~!? デンテ見る目ない!」
ステラは怒ったように頬を膨らませた。
「ま、そんなにその偽物が気に入ったんなら、その剣はステラにやるよ。売り先を間違えなければ捕まらずに高額の値がつくだろう」
アルサスにそう宥められると、ステラは瞬間笑顔になり、飛び上がった。
「わーい! 嬉しい! これ可愛いんだもん!」
デンテから偽物の剣を受け取ると、抱きしめて柄のルビーに頬ずりした。
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