とある英雄達の最終兵器
第46話 東一局目にて終局
こうして食事を終えたテュール達は学校へと戻る。
「午後の授業には間に合うなぁー。午後の授業に間に合えば、きっとルーナ先生だって……」
(怒……られるだろうなぁ……はぁ)
自分に言い聞かせようと思ったが、確実に中抜けしたことは怒られるであろう。テュールは重苦しい溜め息を一つ吐く。
「フフ、良いではありませんか。テュール様風に言うと、これもまた青春というものですよ」
「だなー、堂々と行こうぜ」
「うんうんー。ちょっと怒鳴られるだけなんだからヘーキだよー」
ルーナに怒られることにビビっているテュールを見て三人は本当に強がりでもなく、そう言う。
(なんで、こいつらこんなにメンタル強いんだよ……)
修行でいくら強くなり、根性がついてもメンタル弱な部分は変わらないテュールはそんな三人をジト目で睨む。
「なぁ、やっぱり今日はこのままサボらないか? ……分かった、分かった。そんな目で見るな。なら、どうだろう? こっそり入らないか? 最悪ルーナ先生にさえ見つからなければ……」
俯いて歩きながらそう提案したテュールはチラ、チラと三人の様子を窺う。三人の目は呆れを通り越して可哀想なものを見る目になっていた。そして──。
「テュール様? あまり男らしくない行動をされていますと女性からモテませんよ?」
「あぁ、それはちとダサすぎるな、却下だ」
「うんー。どうせなら窓を蹴破って入るくらいのノリでいかないとー」
本気のアドバイスをしてくる。最後のアドバイスは本気ですると退学になるので却下であるが。しかし、それでもテュールは折れなかった。むしろ三対一のこの状況が却って維持を張らせる結果になった。
「バッキャロー!  お前らは学校の楽しみ方を分かってない!  男子は一度は通るんだ。教師に見つからずにちゃっかり昼休みに教室に忍び込み午後の授業をさらっと受けている時にバレて怒られるということを!」
テュールは自分でも何を言ってるか分からなくなるが、とにかく勢いに任せてそんなことを言う。その発言にポカンとなる三人。
「結局怒られるんですが。よろしいので?」
「理解に苦しむな」
「なんだかめんどくさいねー」
三人はテュールの提案に理解を示せなかった。それはそうだ、言ってるテュールですら理解できていないのだから。だが結局、仕方ないな、としぶしぶ付き合ってくれるアンフィス、ヴァナル、ベリト。実に良い友人である。
「よし、ではこれからスニークミッションを開始する。各自教師に見つかった時点で祖国の土は踏めないと思え!」
──はいはい。三人はおざなりに返事をするが、どうせ付き合うなら成功させてやるという気概はあった。
こうして四人は遂に正門の前まで辿り着く。
正門には教師は立っていなかった。まずは第一関門クリア。そして門の影に隠れながら敷地内を覗き見る。テュールがハンドサインを出し、潜入開始。物陰から物陰へ、遮蔽物がない場所では最短距離を全速力で駆けた。
そして、第二関門である校庭をクリアした。四人は校舎内へと侵入を成功させる。しかし、油断してはならない。校舎内こそ教師との遭遇率が最も高いエリアであるからだ。
ひと一人分の厚さの下駄箱の影に素早く身を潜ませる四人。ヒョコヒョコヒョコと同時に校舎内を盗み見る。後ろから見ればアホ丸出しの絵である。だが、四人は至って真剣だ。
キーンコーンカーンコーン。
──!? 急に鳴り響くチャイムに驚いた四人は辺りをサッと見渡す。教師の影は見えない。もう一度侵入経路である階段を覗くと、予鈴が鳴ったため、幾人かの生徒が駆け足で上っていく姿が見えた。
ちなみにハルモニアの校舎は四つあり、一学年、二学年、三学年、特殊教室校舎だ。各校舎は四階建てでテュール達の所属するSクラスは一学年校舎四階にある。
四階までの道のりを考えれば、予鈴が鳴ったということはつまり猶予がないということ。授業が始まってしまえば教師とのエンカウント率はクソゲーRPGのそれと化す。四人は覚悟を決め頷き合う。ここからは誰かを犠牲にしても前だけを向いて進まなければいけないと──。
そして四人は同時に一歩目を踏み出す。そして二歩目に風と化す。タッタッタ──。僅か三歩で玄関から階段、そしてニ階まで駆け上がった。だが、そこには──。
ザビオルドが待ち構えていた。
「あ、君たち──」
ザビオルドが呼び止めると、ベリトが、ここは私にお任せを、と一礼をし、その場に残る。テュール達三人は振り返らずに駆ける。
三階踊り場、SS冒険者のカインがいた。
「あ、お前ら──」
ヴァナルが笑顔で手を振り、その両手に短剣を構える。当然模造刀だ。しかし、カインはそれを見て頬を釣り上げる。これが最後の別れじゃない、絶対に生きてまた会うぞ、その決意を胸にテュールとアンフィスは四階を目指す。ヴァナルをその場に残して──。
四階の階段を上りきると、腕を組み仁王立ちをしているラスボス──ルーナがいた。言葉を交わすは無粋。アンフィスとテュールは視線を一瞬交差させる。アンフィスの目にはテュールせめてお前だけでも教室へと辿りついてくれと。そう書いてあった──。
(気がする。というわけでスマン、アンフィス! 囮になってくれ!)
テュールはアンフィスと同時に駆け、ルーナの目の前で五センチ程の魔法陣を発動させる。
(黒衣の仮面……)
瞬間、アンフィスの顔の周りを真っ黒な布が覆う。
「ぬぁっ、前が見えねぇ!! ってめぇ、テュール!! 裏切ったなっ!!」
(っく、そこまで念入りに芝居を……! 初めから俺を行かせると分かったらルーナ先生は躊躇なく俺を止めるだろう。だが、仲間割れをしたと思い込ませれば、一瞬戸惑う。……アンフィス、流石だ兄弟っ!)
テュールはかなり自分に都合のいい解釈をしながら、ルーナの横を走り抜ける。奇しくもテュールの考え通り、目の前で仲間に攻撃することに動揺したルーナと、前が見えないまま走っていたアンフィスがぶつかり、一瞬の隙ができたのだ。
その一瞬で廊下を駆け抜け、クラスの扉の前まで辿り着いたテュール。遠くからルーナの怒鳴り声が聞こえる。だが、その言葉はテュールの耳へは届かない。ここまで犠牲になった三人のためにも俺だけは──俺だけは教室に入らなければならないんだ! テュールがクラスの扉に手をかけ、勢い良く開く──。
  テュールの目に映ったのは肌、肌、肌、肌、肌──。そしてピンク、黄色、赤、黒、水色、その他にも色鮮やかなソレら。
(あ、カグヤさんて意外におっぱい大きいんですね。あと淡いピンク──桜色の下着はどこか日本を思い出させてくれますねぇ、とても風情があり、良いものです)
(お、セシリアさんは、以前押し付けられた時に分かってましたけど、薄い布一枚になると改めてスゴさを思い知らされますね。薄い黄色──レモン色は甘酸っぱさが詰まっていますね。詰まっているのは小さなメロンですが、フフ)
(ほぅ、レフィーさんは艷やかな髪と同じ情熱的な赤なんですね。白い肌に映えますね~。そして均整のとれたプロポーション。まさに芸術と言えるでしょう)
(ハッハッハ、リリスさん。貴女が黒? ロリっ子は無理するんじゃありませんよ。レーベさんを見習いなさい。可愛いらしい水色と白のストライプ。実に健康的で、素敵じゃありませんか)
テュールの鍛え抜かれた視力、視野、判断能力、並列思考能力により瞬時にして情報を取得、統合、解析が行われる。そして見つめ合うクラス女子生徒達とテュール。
「きゃ……きゃあああああ!!」
絹を裂くようなテュールの叫び声が教室中に響き渡る。そして、ガツン! 壊れるんじゃないかという勢いで扉を閉めるテュール。
そしてそんなテュールの後ろには、いつの間にかルーナが立っていた。
「さて、テュール。何か言い残すことはあるか」
「……いえ、ありません。本当に申し訳ありませんでした」
何の躊躇いもなく、五体投地し、額を床にこすりつけて謝罪するテュール。
「あぁ、お前は教師の許可を取らず早退し、登校したことを報告しないどころか故意に無視し、挙句女子生徒の着替えを覗く……と。ふむ、五輝星が考案した娯楽の中に麻雀という物がある。知っているか?」
ルーナはテュールの罪状を読み上げていたが、最後に急に話を変える。普通に考えればこれは何かの伏線であるが、余裕のないテュールには、一縷の希望に見えた。テュールはコクコクと頷き、いかに自分が麻雀が好きで麻雀が詳しいかを伝えた。その間もルーナは黙って頷き、話を聞いている。そして──。
「あぁ、テュールお前が詳しくて助かるよ。許可を取らない早退が三翻。報告せず故意に無視するが四翻。覗きは中々役が高いぞ? これは六翻だ」
ルーナは指折り数えながらテュールに罪状の重さを伝えていく。そして、薄々察したのであろうテュールは、声にならない声で、あっ、あっ……、あっ、と言いながら目からハイライトが消えていく。
「三+四+六は、いくつだ、テュール? あぁ、十三だ。十三翻ってのは麻雀で言えば役満になる。三万ニ千点払いだな。生徒は皆等しく持ち点ニ万五千点スタートだ。引き算はできるな? 結果、飛びだ。終局だな──」
「え? え? え? そ、の、それはつまり……?」
「退学だ」
目の前が真っ白になるテュールに対し、ルーナは真剣な表情で退学処分を宣言する。テュールが入学して僅か二日目の出来事である。
「午後の授業には間に合うなぁー。午後の授業に間に合えば、きっとルーナ先生だって……」
(怒……られるだろうなぁ……はぁ)
自分に言い聞かせようと思ったが、確実に中抜けしたことは怒られるであろう。テュールは重苦しい溜め息を一つ吐く。
「フフ、良いではありませんか。テュール様風に言うと、これもまた青春というものですよ」
「だなー、堂々と行こうぜ」
「うんうんー。ちょっと怒鳴られるだけなんだからヘーキだよー」
ルーナに怒られることにビビっているテュールを見て三人は本当に強がりでもなく、そう言う。
(なんで、こいつらこんなにメンタル強いんだよ……)
修行でいくら強くなり、根性がついてもメンタル弱な部分は変わらないテュールはそんな三人をジト目で睨む。
「なぁ、やっぱり今日はこのままサボらないか? ……分かった、分かった。そんな目で見るな。なら、どうだろう? こっそり入らないか? 最悪ルーナ先生にさえ見つからなければ……」
俯いて歩きながらそう提案したテュールはチラ、チラと三人の様子を窺う。三人の目は呆れを通り越して可哀想なものを見る目になっていた。そして──。
「テュール様? あまり男らしくない行動をされていますと女性からモテませんよ?」
「あぁ、それはちとダサすぎるな、却下だ」
「うんー。どうせなら窓を蹴破って入るくらいのノリでいかないとー」
本気のアドバイスをしてくる。最後のアドバイスは本気ですると退学になるので却下であるが。しかし、それでもテュールは折れなかった。むしろ三対一のこの状況が却って維持を張らせる結果になった。
「バッキャロー!  お前らは学校の楽しみ方を分かってない!  男子は一度は通るんだ。教師に見つからずにちゃっかり昼休みに教室に忍び込み午後の授業をさらっと受けている時にバレて怒られるということを!」
テュールは自分でも何を言ってるか分からなくなるが、とにかく勢いに任せてそんなことを言う。その発言にポカンとなる三人。
「結局怒られるんですが。よろしいので?」
「理解に苦しむな」
「なんだかめんどくさいねー」
三人はテュールの提案に理解を示せなかった。それはそうだ、言ってるテュールですら理解できていないのだから。だが結局、仕方ないな、としぶしぶ付き合ってくれるアンフィス、ヴァナル、ベリト。実に良い友人である。
「よし、ではこれからスニークミッションを開始する。各自教師に見つかった時点で祖国の土は踏めないと思え!」
──はいはい。三人はおざなりに返事をするが、どうせ付き合うなら成功させてやるという気概はあった。
こうして四人は遂に正門の前まで辿り着く。
正門には教師は立っていなかった。まずは第一関門クリア。そして門の影に隠れながら敷地内を覗き見る。テュールがハンドサインを出し、潜入開始。物陰から物陰へ、遮蔽物がない場所では最短距離を全速力で駆けた。
そして、第二関門である校庭をクリアした。四人は校舎内へと侵入を成功させる。しかし、油断してはならない。校舎内こそ教師との遭遇率が最も高いエリアであるからだ。
ひと一人分の厚さの下駄箱の影に素早く身を潜ませる四人。ヒョコヒョコヒョコと同時に校舎内を盗み見る。後ろから見ればアホ丸出しの絵である。だが、四人は至って真剣だ。
キーンコーンカーンコーン。
──!? 急に鳴り響くチャイムに驚いた四人は辺りをサッと見渡す。教師の影は見えない。もう一度侵入経路である階段を覗くと、予鈴が鳴ったため、幾人かの生徒が駆け足で上っていく姿が見えた。
ちなみにハルモニアの校舎は四つあり、一学年、二学年、三学年、特殊教室校舎だ。各校舎は四階建てでテュール達の所属するSクラスは一学年校舎四階にある。
四階までの道のりを考えれば、予鈴が鳴ったということはつまり猶予がないということ。授業が始まってしまえば教師とのエンカウント率はクソゲーRPGのそれと化す。四人は覚悟を決め頷き合う。ここからは誰かを犠牲にしても前だけを向いて進まなければいけないと──。
そして四人は同時に一歩目を踏み出す。そして二歩目に風と化す。タッタッタ──。僅か三歩で玄関から階段、そしてニ階まで駆け上がった。だが、そこには──。
ザビオルドが待ち構えていた。
「あ、君たち──」
ザビオルドが呼び止めると、ベリトが、ここは私にお任せを、と一礼をし、その場に残る。テュール達三人は振り返らずに駆ける。
三階踊り場、SS冒険者のカインがいた。
「あ、お前ら──」
ヴァナルが笑顔で手を振り、その両手に短剣を構える。当然模造刀だ。しかし、カインはそれを見て頬を釣り上げる。これが最後の別れじゃない、絶対に生きてまた会うぞ、その決意を胸にテュールとアンフィスは四階を目指す。ヴァナルをその場に残して──。
四階の階段を上りきると、腕を組み仁王立ちをしているラスボス──ルーナがいた。言葉を交わすは無粋。アンフィスとテュールは視線を一瞬交差させる。アンフィスの目にはテュールせめてお前だけでも教室へと辿りついてくれと。そう書いてあった──。
(気がする。というわけでスマン、アンフィス! 囮になってくれ!)
テュールはアンフィスと同時に駆け、ルーナの目の前で五センチ程の魔法陣を発動させる。
(黒衣の仮面……)
瞬間、アンフィスの顔の周りを真っ黒な布が覆う。
「ぬぁっ、前が見えねぇ!! ってめぇ、テュール!! 裏切ったなっ!!」
(っく、そこまで念入りに芝居を……! 初めから俺を行かせると分かったらルーナ先生は躊躇なく俺を止めるだろう。だが、仲間割れをしたと思い込ませれば、一瞬戸惑う。……アンフィス、流石だ兄弟っ!)
テュールはかなり自分に都合のいい解釈をしながら、ルーナの横を走り抜ける。奇しくもテュールの考え通り、目の前で仲間に攻撃することに動揺したルーナと、前が見えないまま走っていたアンフィスがぶつかり、一瞬の隙ができたのだ。
その一瞬で廊下を駆け抜け、クラスの扉の前まで辿り着いたテュール。遠くからルーナの怒鳴り声が聞こえる。だが、その言葉はテュールの耳へは届かない。ここまで犠牲になった三人のためにも俺だけは──俺だけは教室に入らなければならないんだ! テュールがクラスの扉に手をかけ、勢い良く開く──。
  テュールの目に映ったのは肌、肌、肌、肌、肌──。そしてピンク、黄色、赤、黒、水色、その他にも色鮮やかなソレら。
(あ、カグヤさんて意外におっぱい大きいんですね。あと淡いピンク──桜色の下着はどこか日本を思い出させてくれますねぇ、とても風情があり、良いものです)
(お、セシリアさんは、以前押し付けられた時に分かってましたけど、薄い布一枚になると改めてスゴさを思い知らされますね。薄い黄色──レモン色は甘酸っぱさが詰まっていますね。詰まっているのは小さなメロンですが、フフ)
(ほぅ、レフィーさんは艷やかな髪と同じ情熱的な赤なんですね。白い肌に映えますね~。そして均整のとれたプロポーション。まさに芸術と言えるでしょう)
(ハッハッハ、リリスさん。貴女が黒? ロリっ子は無理するんじゃありませんよ。レーベさんを見習いなさい。可愛いらしい水色と白のストライプ。実に健康的で、素敵じゃありませんか)
テュールの鍛え抜かれた視力、視野、判断能力、並列思考能力により瞬時にして情報を取得、統合、解析が行われる。そして見つめ合うクラス女子生徒達とテュール。
「きゃ……きゃあああああ!!」
絹を裂くようなテュールの叫び声が教室中に響き渡る。そして、ガツン! 壊れるんじゃないかという勢いで扉を閉めるテュール。
そしてそんなテュールの後ろには、いつの間にかルーナが立っていた。
「さて、テュール。何か言い残すことはあるか」
「……いえ、ありません。本当に申し訳ありませんでした」
何の躊躇いもなく、五体投地し、額を床にこすりつけて謝罪するテュール。
「あぁ、お前は教師の許可を取らず早退し、登校したことを報告しないどころか故意に無視し、挙句女子生徒の着替えを覗く……と。ふむ、五輝星が考案した娯楽の中に麻雀という物がある。知っているか?」
ルーナはテュールの罪状を読み上げていたが、最後に急に話を変える。普通に考えればこれは何かの伏線であるが、余裕のないテュールには、一縷の希望に見えた。テュールはコクコクと頷き、いかに自分が麻雀が好きで麻雀が詳しいかを伝えた。その間もルーナは黙って頷き、話を聞いている。そして──。
「あぁ、テュールお前が詳しくて助かるよ。許可を取らない早退が三翻。報告せず故意に無視するが四翻。覗きは中々役が高いぞ? これは六翻だ」
ルーナは指折り数えながらテュールに罪状の重さを伝えていく。そして、薄々察したのであろうテュールは、声にならない声で、あっ、あっ……、あっ、と言いながら目からハイライトが消えていく。
「三+四+六は、いくつだ、テュール? あぁ、十三だ。十三翻ってのは麻雀で言えば役満になる。三万ニ千点払いだな。生徒は皆等しく持ち点ニ万五千点スタートだ。引き算はできるな? 結果、飛びだ。終局だな──」
「え? え? え? そ、の、それはつまり……?」
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