絶対守護者の学園生活記

若鷺(わかさぎ)

あれから

 魔王を倒してから二年とちょっとが経ち、俺は学園を卒業、無事に騎士団長の地位に着いた。学生時代からちょくちょく騎士団に顔を出していたおかげで、十八という若さにして異例の就任にも関わらず快く迎えてくれた。今までの功績も大きかったと思う。

 もちろん嫁達もそれぞれの道を歩んでいた。

 俺の幼馴染であるカレンは専業主婦として屋敷の管理を担当している。炊事洗濯なんでもござれのカレンは持ち前のコミュニケーション能力を活かしていつの間にか主婦友達を作っていたらしい。その主婦友達に子供の話をよく聞かされるそうで、羨ましいらしく俺に期待の目を向けてくる。

 犬っ娘のミーナも基本的には専業主婦である。屋敷にカレン一人きりだと寂しいだろうと相手をしてくれるのだが、たまに冒険者として仕事をしているらしい。ソフィ直伝の戦闘スタイルで難しい依頼をどんどんこなしていくため、同業者の中ではかなりの有名人になっているようだ。子供が出来たら休業すると言っていた。

 この国の第一王女であるシャルはなんと俺達が通っていた学園のトップ、学園長になった。なんでも俺達がこうして出会えたのもこの場所、学園があったからだということで、より良い学園にしていきたいそうだ。シャルは優秀だしそれは叶うと思う。でも頻繁に俺を呼び出すのは出来ればやめてもらいたい。「会いたかったから」と言われてしまえば何も言い返せないが.....

 そして俺の義妹であるリリィはシャルの補佐役、秘書になったそうだ。少し人見知りではあるがリリィも優秀ではあるので仕事は淡々とこなしているらしい。魔法の才能が凄いのでたまに先生もやっているとかなんとか。俺もリリィ先生に指導してもらいたい。俺が生徒だったらきっと告白しているだろう。

 この国の第二王女のアリスは騎士団長である俺の右腕として活躍している。良き友でありライバルでもあるソフィと切磋琢磨し、鬼神のごとき力を身につけている。元から可愛いというよりは美しいといった言葉が似合っていたアリスは更に大人の女性らしい妖艶な雰囲気を漂わせるようになり、騎士団での人気はかなり高い。

 そして人工エルフであるソフィは俺の左腕として騎士団で活躍している。戦闘能力もアリスと並ぶほどだ。自分のような存在をこれ以上出さない為にと日々積極的に活動する姿は多くの者から好感を持たれた。こちらも綺麗になり、良き妻として俺を支えてくれている。

 シャルの幼馴染で元公爵令嬢のリーゼさんは学園で教師をやっている。眼鏡の美人教師として生徒から絶大な人気を誇っており、分かりやすい授業、丁寧な対応も人気に拍車をかけている。嫁達の中で一番の常識人で、最も頼れるのはこの人だと俺は思っている。

 最後はギルドの受付嬢であるリーフェさん。行き遅れという悩みが解決したからか、より魅力的になった笑顔が冒険者の心をどんどん撃ち抜いているらしく、もう人妻でもいいやという者が続出しているらしい。でも惚気話を所構わずするようで、同僚の人が俺にどうにかしてと言ってくるほどだ。

 あぁ、そうだ。俺の義理の娘である超絶可愛いクーは俺の親父と母さんの間に出来た子を見てから「おねえちゃん」に目覚めたらしく、毎日のようにその子のところへ通っている。お姉ちゃんぶるクーは本当に可愛い。

 ところでなぜ急にこのようなことを振り返っているのか。それは明日の行事に関係がある。
 人生で一度あるかないかの催し、区切りの一つであり毎年の記念日にもなる大切なもの。それは何かというと――――


 ――――結婚式だ。



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