絶対守護者の学園生活記

若鷺(わかさぎ)

閑話 第5回女子会

「第五回! 女子会開催よ!」
「……どんどんぱふぱふ」
「可愛いなあ」
「こらミーナ。あまり撫ですぎると起きてしまうだろ」
「ふふ、癒されますね」

 ……しっかりと反応してくれる人が減ってきたわね。ここまでくるとアリスの「うむ」が恋しくなってくる。リリィは口笛からレベルアップしているし、ミーナとシャルはソフィに膝枕されているクーの寝顔を眺めている。
 ……たしかにクーの寝顔可愛いわね。レオンが親バカになる気持ちもわかるわ。

「ともかく! 今回の議題……というか確認したいのはシャルの想いね」
「分かっています。皆さんには私の全てを話させていただきます」

 シャルはそう言って、語り始めた。
 過去のこと、アリスへの想い、獣人国で起きた事。そして何よりレオンへの想い。
 思ってた以上の重い過去に、全員が黙り込んでしまった。そして同時にこうも思ったであろう。

 そりゃ惚れるよなぁ、と。

 シャルを自身を犠牲にして守ったこと。さらには長年シャルを苦しませてきた原因の除去。一緒に首都を観光した時のレオンの優しさなどもあるだろうか。

「なので、私はレオン君と添い遂げたいと思っています。私が加わることを許してもらえるでしょうか?」

 シャルの瞳から伝わるのは決意。嘘とは思えないほどの真剣な表情。
 ……信じてもよさそうね。

「……レオンと添い遂げるっていうのは、とっても大変な道程になるわよ?」
「魔族のことですよね? それも承知の上です」

 私がシャルに対して厳しくしていたのにはちゃんと理由がある。それはレオンが近いうちに魔族との戦いに巻き込まれてしまうかもしれないから。
 私たちにはレオンほどの力は無い。下手したら邪魔をしてしまうかもしれないから、私たちは陰から支えることにしたのだ。
 そして考えたくはないが、もしかしたら魔族との戦いでレオンが命を落としてしまうかもしれない。
 私達はそんな悲しい未来が存在するかもしれないと分かったうえでレオンに付いていくと、想いを確認しあった。
 さらに、前々からお姉様には幸せになってもらいたいんだとアリスが言っていたのを覚えていたというのもある。

 アリスは既に覚悟を決めているが、果たしてシャルはどうだろうかと思った。
 少し上から目線になってしまうけど、合格ね。

「それなら私は問題はないわ。皆は?」
「……異議なし」
「僕も大丈夫だよ」
「私もだ」

 大丈夫みたいね。むしろ心配になってくるのはレオンの甲斐性かしら?

「ところでアリスはどうしたんだ?」

 話し合うことも終わったところでソフィが不思議そうに言う。
 今頃はきっと……

「アリスはいいのよ。きっとお楽しみの最中だから」
「お楽しみ?」
「邪魔してはいけませんよ。私にとっては嬉しいことですから」
「うーむ。ならいいが……」
「……僕は分かっちゃったな」

 シャルを連れてきてからのアリスの反応から、きっとレオンと大事な話があるんだろうなと思った。そしてレオンならきっと優しく受け止めてくれるだろう。
 女の勘ではあるが、きっとそのまま……。
 シャルも気付いているようね。

 こうして今回の女子会はシャルの同盟参加と、アリスの幸せを祈ってお開きとなった。

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