絶対守護者の学園生活記
対策と来訪
シャルの呪いを解いた翌日。
俺とシャルは獣人国の城にある転移魔法陣の上に立っていた。これからガルーダ王国に戻るからだ。
「せっかくお越しいただいたのに、あまりおもてなしが出来ず申し訳ありませんでした」
「いえ、首都を見て回ることが出来たので充分ですよ」
アーマルさんとシャルが社交辞令のような挨拶を交わしている。俺にはああいうのは無理だなぁ。
「おいレオン! またやろうな!」
「おう、今度はちゃんとコントロール出来るようになれよ?」
「当たり前だ!」
俺は俺でハンナと適当にお喋りをしている。ハンナはあの後ちゃんとシャルに謝ったらしく、友達になったとのこと。仲良きことは美しきかなだ、うんうん。
「それに、その……今度あった時は、えーと……」
急にハンナが両手の人差し指をツンツンと合わせながらもじもじとし始めた。
どうしたんだろうか、そう思って理由を聞こうとしたところ
「レオン君! そろそろ行きますよ!」
シャルの俺を呼ぶ声が聞こえた。どうやらあっちの話は終わったようだ。
「すまんハンナ、話はまた今度な。それじゃ!」
俺とシャルは転移魔法陣の中央に集まり、発動を待つ。
そして白い光に包まれ、次に広がった景色は見慣れたものだった。
「戻ってきたか……色んなことがありすぎて長く感じたなぁ」
「ふふふ、そうですね。さて、お父様に帰国の報告をしに行きましょうか」
二人で王様の部屋へと向かう。そして部屋の扉の前にたどり着いたわけだが
「うふふ」
シャルがなぜか上機嫌そうに俺の腕に抱き着いていたのだ。いや、膨らみが当たってるから役得ではあるんだが
「なぁ、王様に会うんだし離してくれないか? 誤解されちゃうぞ?」
「いいんです! このまま入りましょう」
シャルはそのまま俺を引っ張って部屋へと入っていく。
部屋に入ると向かい合って王様と親父がソファに座っていた。
「シャルにレオンか、待っていた……ぞ……」
こちらを向いた王様が、俺とシャルを見て固まってしまう。一方親父は相変わらずのムカつくニヤニヤ顔で見てきた。
「シャル?それは一体どういうことだ?」
「お父様に伝えたいことがあります。この後に時間を少し貰えますか?」
「.....大体何かは予想がつくが分かった」
そう言って俺を睨んでくる王様。民の憧れの存在がしてはいけないような顔になってますよ王様。
だが、そこは流石カリスマ。すぐに表情を普段のものへと戻した。
「バルディリアで起きたことについては全て連絡を受けた。それについて話したいからシャルは戻ってくれ。アリスが既に帰ってきてるから会ってやってほしい」
「分かりましたお父様。それではまだ会いましょうね、レオン君」
流石は王女様と感じさせるほどの綺麗な礼、カーテシーだっけか?をして退室したシャル。
「さて、レオン。先に俺とダルクで対策については話し合ったんだ。確認頼む」
事前に伝わっていたからか、王様と親父が予め考えていてくれたようだ。
二人を代表して王様が話し始める。
「まずは相手は魔族であることは間違いないと思う。だから魔族が攻める気でいるのはほぼ確定だろう。そして前回はアリスを狙い、今回はシャルを狙った。これの理由もだが、そもそもなんで魔族はシャルが獣人国にいると知っていた?」
そうか、シャルは人族の王女様であり、普通なら獣人国にはいない。なのに相手は襲ってきた。
「これについて考えられるのは二つ。前に予想した通りにこちらに内通者がいるのかもしれないか、相手が標的をを間違えたか、だ」
……シャルから話を聞いた感じでは、間違えたと言われても不思議ではなさそうな奴っぽいんだよなぁ。
「次に魔族が使う裂け目だ。あれは恐らく転移を可能にするものだ。しかしなんでそんな便利な力がありながら、ここ二ヶ月ちょっとは何もしてこなかった?」
そうだよなぁ。もしどんどん使えるんだったらもっと不意打ちなどが出来たはずだ。
「これについて考えられるのは、あの裂け目を使うには時間が必要だということ。大量の魔力を使うからとかな。でもこれは俺達と戦争をおっ始めようってんなら必要なものになるだろう」
転移は便利。これは移動においても戦いにおいても。そりゃ使わないわけないよな。
「だとしたら段々スパンが短くなってくると思ってもいいだろう。今回は二ヶ月ちょっと掛かったわけだが、次は一ヶ月かもしれない。そして前回話した相手の目的がこちらの戦力を削ることなら」
「武闘大会、だな」
「そう、そこを狙ってくるだろう」
世界中の金の卵が、というか既にトップレベルの戦力が揃うであろう武闘大会。ちょうど一ヶ月後辺りに開かれるからな。
「魔族が攻めてくることになるかもしれないということで各国に警告しておいた。最悪の事態に備えるようにとな。こちらも警備の数を増やさせてもらう」
「俺には何か出来ることは無いか?」
「レオンは何もしなくていい。ダルクには騎士団と冒険者を率いて魔族の居場所を探してもらうが、本当ならそれに参加させたかったんがな」
「……すまん、俺は」
「そうだ、お前はここに残って守るべきものを守れ。アリスに何かあったらただじゃおかんぞ」
こうして今回の対策会議は終わった。
纏めると、魔族が武闘大会の時に攻めてくる恐れがあるため各国と連携して警備にあたる。
さらに待ってるだけではなく、親父主導で魔族の捜索にあたる。
俺は俺のやるべき事をしっかりやる、と。
※※※
「ただいまー」
屋敷へと戻ってきた俺はリビングへと続く扉を開けながら帰宅を告げる。
「「「「おかえり(なさい)」」」」
「おかえりパパー!」
カレンにリリィ、ミーナとソフィ先輩から返事が返ってきた。アリスはまだ帰ってきてないのか。
クーはててててと走って俺の足にしがみつく。あら可愛い、後でお菓子をあげよう。
そして俺は飛び付いてくるであろう嫁達を迎え入れるために両腕を広げた。が
「……何してるの?」
カレンに変な目で見られていた。あれれ?久しぶりに会った愛しい人に抱き着いたりしないの?誰も来ないからクーが抱っこしてもらえるのかと勘違いして俺の体をよじ登って来てるんだが。待ってクーそこはくすぐったいから!
俺が落ち込んでいると、しばらくしてチャイムが鳴り響いた。誰か来る予定あったかな?ここに住んでる人には合鍵渡してあるんだけどな。
俺はクーと手を繋いで来客を迎えに行った。
そして玄関を開くとそこには
「来ちゃいました♪」
ニッコリと笑うシャルと、気まずそうに佇むアリスがいた。
俺とシャルは獣人国の城にある転移魔法陣の上に立っていた。これからガルーダ王国に戻るからだ。
「せっかくお越しいただいたのに、あまりおもてなしが出来ず申し訳ありませんでした」
「いえ、首都を見て回ることが出来たので充分ですよ」
アーマルさんとシャルが社交辞令のような挨拶を交わしている。俺にはああいうのは無理だなぁ。
「おいレオン! またやろうな!」
「おう、今度はちゃんとコントロール出来るようになれよ?」
「当たり前だ!」
俺は俺でハンナと適当にお喋りをしている。ハンナはあの後ちゃんとシャルに謝ったらしく、友達になったとのこと。仲良きことは美しきかなだ、うんうん。
「それに、その……今度あった時は、えーと……」
急にハンナが両手の人差し指をツンツンと合わせながらもじもじとし始めた。
どうしたんだろうか、そう思って理由を聞こうとしたところ
「レオン君! そろそろ行きますよ!」
シャルの俺を呼ぶ声が聞こえた。どうやらあっちの話は終わったようだ。
「すまんハンナ、話はまた今度な。それじゃ!」
俺とシャルは転移魔法陣の中央に集まり、発動を待つ。
そして白い光に包まれ、次に広がった景色は見慣れたものだった。
「戻ってきたか……色んなことがありすぎて長く感じたなぁ」
「ふふふ、そうですね。さて、お父様に帰国の報告をしに行きましょうか」
二人で王様の部屋へと向かう。そして部屋の扉の前にたどり着いたわけだが
「うふふ」
シャルがなぜか上機嫌そうに俺の腕に抱き着いていたのだ。いや、膨らみが当たってるから役得ではあるんだが
「なぁ、王様に会うんだし離してくれないか? 誤解されちゃうぞ?」
「いいんです! このまま入りましょう」
シャルはそのまま俺を引っ張って部屋へと入っていく。
部屋に入ると向かい合って王様と親父がソファに座っていた。
「シャルにレオンか、待っていた……ぞ……」
こちらを向いた王様が、俺とシャルを見て固まってしまう。一方親父は相変わらずのムカつくニヤニヤ顔で見てきた。
「シャル?それは一体どういうことだ?」
「お父様に伝えたいことがあります。この後に時間を少し貰えますか?」
「.....大体何かは予想がつくが分かった」
そう言って俺を睨んでくる王様。民の憧れの存在がしてはいけないような顔になってますよ王様。
だが、そこは流石カリスマ。すぐに表情を普段のものへと戻した。
「バルディリアで起きたことについては全て連絡を受けた。それについて話したいからシャルは戻ってくれ。アリスが既に帰ってきてるから会ってやってほしい」
「分かりましたお父様。それではまだ会いましょうね、レオン君」
流石は王女様と感じさせるほどの綺麗な礼、カーテシーだっけか?をして退室したシャル。
「さて、レオン。先に俺とダルクで対策については話し合ったんだ。確認頼む」
事前に伝わっていたからか、王様と親父が予め考えていてくれたようだ。
二人を代表して王様が話し始める。
「まずは相手は魔族であることは間違いないと思う。だから魔族が攻める気でいるのはほぼ確定だろう。そして前回はアリスを狙い、今回はシャルを狙った。これの理由もだが、そもそもなんで魔族はシャルが獣人国にいると知っていた?」
そうか、シャルは人族の王女様であり、普通なら獣人国にはいない。なのに相手は襲ってきた。
「これについて考えられるのは二つ。前に予想した通りにこちらに内通者がいるのかもしれないか、相手が標的をを間違えたか、だ」
……シャルから話を聞いた感じでは、間違えたと言われても不思議ではなさそうな奴っぽいんだよなぁ。
「次に魔族が使う裂け目だ。あれは恐らく転移を可能にするものだ。しかしなんでそんな便利な力がありながら、ここ二ヶ月ちょっとは何もしてこなかった?」
そうだよなぁ。もしどんどん使えるんだったらもっと不意打ちなどが出来たはずだ。
「これについて考えられるのは、あの裂け目を使うには時間が必要だということ。大量の魔力を使うからとかな。でもこれは俺達と戦争をおっ始めようってんなら必要なものになるだろう」
転移は便利。これは移動においても戦いにおいても。そりゃ使わないわけないよな。
「だとしたら段々スパンが短くなってくると思ってもいいだろう。今回は二ヶ月ちょっと掛かったわけだが、次は一ヶ月かもしれない。そして前回話した相手の目的がこちらの戦力を削ることなら」
「武闘大会、だな」
「そう、そこを狙ってくるだろう」
世界中の金の卵が、というか既にトップレベルの戦力が揃うであろう武闘大会。ちょうど一ヶ月後辺りに開かれるからな。
「魔族が攻めてくることになるかもしれないということで各国に警告しておいた。最悪の事態に備えるようにとな。こちらも警備の数を増やさせてもらう」
「俺には何か出来ることは無いか?」
「レオンは何もしなくていい。ダルクには騎士団と冒険者を率いて魔族の居場所を探してもらうが、本当ならそれに参加させたかったんがな」
「……すまん、俺は」
「そうだ、お前はここに残って守るべきものを守れ。アリスに何かあったらただじゃおかんぞ」
こうして今回の対策会議は終わった。
纏めると、魔族が武闘大会の時に攻めてくる恐れがあるため各国と連携して警備にあたる。
さらに待ってるだけではなく、親父主導で魔族の捜索にあたる。
俺は俺のやるべき事をしっかりやる、と。
※※※
「ただいまー」
屋敷へと戻ってきた俺はリビングへと続く扉を開けながら帰宅を告げる。
「「「「おかえり(なさい)」」」」
「おかえりパパー!」
カレンにリリィ、ミーナとソフィ先輩から返事が返ってきた。アリスはまだ帰ってきてないのか。
クーはててててと走って俺の足にしがみつく。あら可愛い、後でお菓子をあげよう。
そして俺は飛び付いてくるであろう嫁達を迎え入れるために両腕を広げた。が
「……何してるの?」
カレンに変な目で見られていた。あれれ?久しぶりに会った愛しい人に抱き着いたりしないの?誰も来ないからクーが抱っこしてもらえるのかと勘違いして俺の体をよじ登って来てるんだが。待ってクーそこはくすぐったいから!
俺が落ち込んでいると、しばらくしてチャイムが鳴り響いた。誰か来る予定あったかな?ここに住んでる人には合鍵渡してあるんだけどな。
俺はクーと手を繋いで来客を迎えに行った。
そして玄関を開くとそこには
「来ちゃいました♪」
ニッコリと笑うシャルと、気まずそうに佇むアリスがいた。
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