絶対守護者の学園生活記
獣人国
「というわけで第一王女様と獣人国行ってくるから当分帰ってこれないわ」
今は王様からの頼み事の内容を屋敷の皆に話している最中である。急に決まったことであるので、流石のアリスも知らなかったらしく、驚いている。
さて、しばらく俺がいなくなるわけだが彼女達の反応はどうであろうか。やっぱり寂しかったりするんだろうな。
「レオン、お土産よろしくね」
「……食べ物がいい」
「エルフ国より獣人国の方が楽しそうではあるな」
「アリス先輩は戦い的な意味での楽しさだよね、それ」
「私も獣人の猛者と戦ってみたくはあるな」
「クーも戦うー!」
……俺の自意識過剰みたいですね。あれ?もしかして俺に婚約者が出来たのって全部夢だったのか?てかクーは下手したら普通に勝てそうだからやめような。相手のプライドを折りかねん。
「アリス、俺の頬を思いっきりひっぱたいてくれ」
「急になんだ」
「いいから頼む。お願い、夢なら醒めて」
「お前がそう言うなら.....」
瞬間、ヒュン!と風を切る音がしたかと思うと俺の頬に激痛が走る。
俺はそのまま横に吹き飛び床を滑ってゆく。まるで競りに出される前の水揚げされたマグロの如く。
レオン一本五万円から開始です。え? 要らない?
そんなことはともかく、これは夢ではない。つまり俺がいなくても彼女達は寂しくないということになる。
悲しさのあまり部屋の隅で壁に向かって体育座りをしていたら、彼女達が順番に俺を後ろ抱き締めてきた。なんでも、素直に寂しいと答えたら俺が調子に乗ると思ったかららしい。どうやら俺は順調に飼い慣らされていってるようだ。
………男としてどうなんだろうか?
※※※
出発当日、俺は王城に向かって歩きながら考え事をしていた。
内容は屋敷を出る前にアリスに言われた言葉の意味だ。
「レオン、どうかお姉様を守って……いや、救ってやってほしい。お前ならそれが出来る気がするんだ」
言われた時は救ってなんて大袈裟だなぁと思っていたが、今になってよくよく考えてみたら引っかかるところがあった。
お前なら。それはつまり過去にもシャルを何かしらから救おうとしたという者がいたという訳で。
それ程までに重大な何かを今もシャルは抱えている?
でもそれを今回はただの護衛である俺が聞いてしまってもいいのだろうか?
しかし答えは見つかることなく、俺は王城の転移魔法陣のある部屋へと辿り着いてしまった。
「レオン君、今回はよろしくお願いしますね?」
「あぁこちらこそ。俺と一緒だと楽しめるか分からんけど善処はする」
「ふふ、アリスから色々と聞かさせれていますから大丈夫ですよ。あなたはもっと自信を持ってください」
部屋ではシャルが既に待っていた。うん、アリスは帰ってきたら問い質しておこう。
「それでは早速行きましょうか」
「ええ、エスコートしてくれますよね?」
「よ、喜んで」
うーむ、少し茶目っ気があるのだろうかシャルは。それに見ている感じだと何か問題を抱えてるようには思えないんだが。
少しの間部屋の中央で待っていると転移魔法陣が発動し、白い光に包まれる。そして、急激に目の前の景色が変わり、獣人国の王城の転移魔法陣へと転移した。
うお、部屋の壁に沿うようにして木が植えられてる。獣人だからジャングルだとかそういう事? んなわけないか。
「ようこそ獣人国バルディリアへ」
物珍しさにキョロキョロしていると声をかけられたのでそちらを向くと、執事服姿の白い毛が特徴の老人……老獣人? とにかく年老いた獣人が立っていた。ふと思ったが執事の名前といえばセバスチャンだよな
「私は案内を任されました執事のセバスヤンと申します」
惜しい! なんかどこかの方言みたいになってる! でもこれだと愛称はもしかして
「気軽にセバスとお呼びください」
セバスやん……
そんなくだらない俺の思考はさておき、俺とシャルも紹介を済ませる。
「それで早速王の元へ案内したいと思うのですが……問題が起こってしまいまして」
「問題とは?」
セバスが申しなさそうにそう言うと、シャルが問いかける。
問題……この国に来て五分も立たないうちにこんなことになるとは。
内容次第ではすぐさま国に帰ることになるな、これは。
俺は少し緊張しながらもセバスさんの次の言葉を待つ。そして、セバスさんの口が開き
「実は、第一王女様が城から抜け出してしまいまして。昔からよくあったことなのであまり慌てることではありませんが、レオン様をお呼びになった本人がいない状態なので……」
……あぁ、俺を呼びつけた本人が城を抜け出してどこかに遊びに行ってしまってるって訳か。今日俺達が来ることは伝わってたはずなんだけどな。
どうやら獣人国の第一王女様はとんだお転婆娘のようだ。
今は王様からの頼み事の内容を屋敷の皆に話している最中である。急に決まったことであるので、流石のアリスも知らなかったらしく、驚いている。
さて、しばらく俺がいなくなるわけだが彼女達の反応はどうであろうか。やっぱり寂しかったりするんだろうな。
「レオン、お土産よろしくね」
「……食べ物がいい」
「エルフ国より獣人国の方が楽しそうではあるな」
「アリス先輩は戦い的な意味での楽しさだよね、それ」
「私も獣人の猛者と戦ってみたくはあるな」
「クーも戦うー!」
……俺の自意識過剰みたいですね。あれ?もしかして俺に婚約者が出来たのって全部夢だったのか?てかクーは下手したら普通に勝てそうだからやめような。相手のプライドを折りかねん。
「アリス、俺の頬を思いっきりひっぱたいてくれ」
「急になんだ」
「いいから頼む。お願い、夢なら醒めて」
「お前がそう言うなら.....」
瞬間、ヒュン!と風を切る音がしたかと思うと俺の頬に激痛が走る。
俺はそのまま横に吹き飛び床を滑ってゆく。まるで競りに出される前の水揚げされたマグロの如く。
レオン一本五万円から開始です。え? 要らない?
そんなことはともかく、これは夢ではない。つまり俺がいなくても彼女達は寂しくないということになる。
悲しさのあまり部屋の隅で壁に向かって体育座りをしていたら、彼女達が順番に俺を後ろ抱き締めてきた。なんでも、素直に寂しいと答えたら俺が調子に乗ると思ったかららしい。どうやら俺は順調に飼い慣らされていってるようだ。
………男としてどうなんだろうか?
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出発当日、俺は王城に向かって歩きながら考え事をしていた。
内容は屋敷を出る前にアリスに言われた言葉の意味だ。
「レオン、どうかお姉様を守って……いや、救ってやってほしい。お前ならそれが出来る気がするんだ」
言われた時は救ってなんて大袈裟だなぁと思っていたが、今になってよくよく考えてみたら引っかかるところがあった。
お前なら。それはつまり過去にもシャルを何かしらから救おうとしたという者がいたという訳で。
それ程までに重大な何かを今もシャルは抱えている?
でもそれを今回はただの護衛である俺が聞いてしまってもいいのだろうか?
しかし答えは見つかることなく、俺は王城の転移魔法陣のある部屋へと辿り着いてしまった。
「レオン君、今回はよろしくお願いしますね?」
「あぁこちらこそ。俺と一緒だと楽しめるか分からんけど善処はする」
「ふふ、アリスから色々と聞かさせれていますから大丈夫ですよ。あなたはもっと自信を持ってください」
部屋ではシャルが既に待っていた。うん、アリスは帰ってきたら問い質しておこう。
「それでは早速行きましょうか」
「ええ、エスコートしてくれますよね?」
「よ、喜んで」
うーむ、少し茶目っ気があるのだろうかシャルは。それに見ている感じだと何か問題を抱えてるようには思えないんだが。
少しの間部屋の中央で待っていると転移魔法陣が発動し、白い光に包まれる。そして、急激に目の前の景色が変わり、獣人国の王城の転移魔法陣へと転移した。
うお、部屋の壁に沿うようにして木が植えられてる。獣人だからジャングルだとかそういう事? んなわけないか。
「ようこそ獣人国バルディリアへ」
物珍しさにキョロキョロしていると声をかけられたのでそちらを向くと、執事服姿の白い毛が特徴の老人……老獣人? とにかく年老いた獣人が立っていた。ふと思ったが執事の名前といえばセバスチャンだよな
「私は案内を任されました執事のセバスヤンと申します」
惜しい! なんかどこかの方言みたいになってる! でもこれだと愛称はもしかして
「気軽にセバスとお呼びください」
セバスやん……
そんなくだらない俺の思考はさておき、俺とシャルも紹介を済ませる。
「それで早速王の元へ案内したいと思うのですが……問題が起こってしまいまして」
「問題とは?」
セバスが申しなさそうにそう言うと、シャルが問いかける。
問題……この国に来て五分も立たないうちにこんなことになるとは。
内容次第ではすぐさま国に帰ることになるな、これは。
俺は少し緊張しながらもセバスさんの次の言葉を待つ。そして、セバスさんの口が開き
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