絶対守護者の学園生活記
証
「それで?何処に行こうとしてたのかしら?」
般若って強いのかなぁ。もしかして今の俺なら勝てたりするのか? 全力を出せば傷一つぐらいなら付けられるだろうか?
「レ・オ・ン?」
「はいっ! なんでしょうかっ!!」
現実逃避していた俺であったが、地獄の使者のドスの効いた声によって現実へと引き戻される。怖すぎてもう帰りたい。あ、ここ自宅だわ。このネタは何回目だろうか。
カレンに捕まった後、俺の自室へと連行された。カレンはベッドの上に腰掛け、その前で正座する俺。ついでにマルクもシェリーちゃんに連行されていった。お仕置きは嫌だああああああ、というマルクの叫びが聞こえたが俺にはどうしようもない。
「もう一度だけ聞くわよ? マルクと二人で何処に行こうとしてたのかしら?」
「と、桃源郷です……」
「桃源郷?」
「き、綺麗なお姉さんと一晩よろしくする場所です……」
「…………」
痛い! カレンの視線が痛い! これが無言の圧力ってやつか、凄いダメージだ。
俺には何も言えることはないので大人しくカレンの次の言葉を待つ。カレンは俯いて何かを考えているようだが、しばらくしてこちらを向く。
そしてポンポンと自分の隣を手で叩く。ここに座れってことか?
俺は立ち上がって、カレンの隣に腰掛ける。
そうするとカレンがこちらに倒れ込み、俺の膝の上に頭が着地する。いわゆる膝枕のかたちとなる。
「撫でて」
「え」
「撫でて」
「はいっ!」
カレン様の命令には絶対服従。俺はカレンの髪を撫で始める。おぉ、これはまた癖になる感じの……
「……ねぇレオン」
「なんだ?」
「私達と一緒に過ごしてきてどうだった?」
「急にどうした。楽しかったし、何より幸せだったな。心が落ち着くっていうか、ここが俺の居場所なんだって思えた」
「そう……」
そしてしばらくの間の沈黙が続く。ただ黙々と頭を撫でていたからか、少し眠くなってきた。
俺がうとうととしていた時、胸をトンと押されてベッドに仰向けに倒れ込んでしまう。
そして気付けばカレンが俺の上に跨っていた。
「私達じゃダメなの?」
ダメ? 何が?
「そういう場所に行くんじゃなくって、私達が相手じゃダメなの?」
それってつまり……そういうことだよな。それに私達って。
「駄目じゃない。むしろお前達がいい。でも俺達はまだまだ成人してない学生な訳だし、責任が……」
「あんた勘違いしてるわよ?」
「え?」
「なんで成人しなきゃそういうことをしちゃいけないって事になってるのよ。別に避妊すればいいだけだし、いざと言う時は学園辞めて働けばいいじゃない。それに既に婚約関係なんだし責任云々は関係なくないかしら」
「そんな簡単に言う「それに!」けどな……」
俺の言葉に重ねるように声を上げるカレン。
そんなカレンの目には涙が溜まっていた。凄く悲しそうな、何かを訴えるかのようなカレンの表情が、俺の心をギュッと締め付ける。
「それに……私は、レオンに愛されてるっていう証が欲しい」
……あぁ。苦しかったのは彼女の方だったか。二ヶ月もの間、将来を共にすると誓い合ったにも関わらず何も無かった。俺のヘタレのせいで、彼女を不安にさせていたのか。この考えが正しいかは分からない。それでも
それでも一人の男として、女の子にこれ以上言わせるのはどうなんだよ、俺。
「きゃっ」
俺は覚悟を決めると、起き上がってカレンと場所を入れ替える。俺がカレンを押し倒すかたちとなる。
「その、上手くないだろうし、優しく出来るかも分からない。それでも、しっかり気持ちは伝わるようにするから」
前世でも童貞だった俺には技術も経験も無い。それでも愛してるという気持ちだけは伝わるように。
俺の決意を聞いたカレンは、優しく微笑みながら両腕をこちらに伸ばした。
「来て、レオン」
そして、俺とカレンは互いの気持ちを証明するかのように求めあった。
正直上手く出来たとは言えないが、事の後のカレンの幸せそうな寝顔を見て、俺も眠りにつくのであった。
般若って強いのかなぁ。もしかして今の俺なら勝てたりするのか? 全力を出せば傷一つぐらいなら付けられるだろうか?
「レ・オ・ン?」
「はいっ! なんでしょうかっ!!」
現実逃避していた俺であったが、地獄の使者のドスの効いた声によって現実へと引き戻される。怖すぎてもう帰りたい。あ、ここ自宅だわ。このネタは何回目だろうか。
カレンに捕まった後、俺の自室へと連行された。カレンはベッドの上に腰掛け、その前で正座する俺。ついでにマルクもシェリーちゃんに連行されていった。お仕置きは嫌だああああああ、というマルクの叫びが聞こえたが俺にはどうしようもない。
「もう一度だけ聞くわよ? マルクと二人で何処に行こうとしてたのかしら?」
「と、桃源郷です……」
「桃源郷?」
「き、綺麗なお姉さんと一晩よろしくする場所です……」
「…………」
痛い! カレンの視線が痛い! これが無言の圧力ってやつか、凄いダメージだ。
俺には何も言えることはないので大人しくカレンの次の言葉を待つ。カレンは俯いて何かを考えているようだが、しばらくしてこちらを向く。
そしてポンポンと自分の隣を手で叩く。ここに座れってことか?
俺は立ち上がって、カレンの隣に腰掛ける。
そうするとカレンがこちらに倒れ込み、俺の膝の上に頭が着地する。いわゆる膝枕のかたちとなる。
「撫でて」
「え」
「撫でて」
「はいっ!」
カレン様の命令には絶対服従。俺はカレンの髪を撫で始める。おぉ、これはまた癖になる感じの……
「……ねぇレオン」
「なんだ?」
「私達と一緒に過ごしてきてどうだった?」
「急にどうした。楽しかったし、何より幸せだったな。心が落ち着くっていうか、ここが俺の居場所なんだって思えた」
「そう……」
そしてしばらくの間の沈黙が続く。ただ黙々と頭を撫でていたからか、少し眠くなってきた。
俺がうとうととしていた時、胸をトンと押されてベッドに仰向けに倒れ込んでしまう。
そして気付けばカレンが俺の上に跨っていた。
「私達じゃダメなの?」
ダメ? 何が?
「そういう場所に行くんじゃなくって、私達が相手じゃダメなの?」
それってつまり……そういうことだよな。それに私達って。
「駄目じゃない。むしろお前達がいい。でも俺達はまだまだ成人してない学生な訳だし、責任が……」
「あんた勘違いしてるわよ?」
「え?」
「なんで成人しなきゃそういうことをしちゃいけないって事になってるのよ。別に避妊すればいいだけだし、いざと言う時は学園辞めて働けばいいじゃない。それに既に婚約関係なんだし責任云々は関係なくないかしら」
「そんな簡単に言う「それに!」けどな……」
俺の言葉に重ねるように声を上げるカレン。
そんなカレンの目には涙が溜まっていた。凄く悲しそうな、何かを訴えるかのようなカレンの表情が、俺の心をギュッと締め付ける。
「それに……私は、レオンに愛されてるっていう証が欲しい」
……あぁ。苦しかったのは彼女の方だったか。二ヶ月もの間、将来を共にすると誓い合ったにも関わらず何も無かった。俺のヘタレのせいで、彼女を不安にさせていたのか。この考えが正しいかは分からない。それでも
それでも一人の男として、女の子にこれ以上言わせるのはどうなんだよ、俺。
「きゃっ」
俺は覚悟を決めると、起き上がってカレンと場所を入れ替える。俺がカレンを押し倒すかたちとなる。
「その、上手くないだろうし、優しく出来るかも分からない。それでも、しっかり気持ちは伝わるようにするから」
前世でも童貞だった俺には技術も経験も無い。それでも愛してるという気持ちだけは伝わるように。
俺の決意を聞いたカレンは、優しく微笑みながら両腕をこちらに伸ばした。
「来て、レオン」
そして、俺とカレンは互いの気持ちを証明するかのように求めあった。
正直上手く出来たとは言えないが、事の後のカレンの幸せそうな寝顔を見て、俺も眠りにつくのであった。
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