外道魔術師転生から始まる異世界動物のお医者さん
68話 罠
施設内の最深部の扉。
これ以外の扉は全て調べてある。
他の扉に比べると作りが重厚で豪華だ。
この施設にとって大事な部屋であることは疑いようもない。
「ここは雰囲気が違うニャ……」
「扉には特に仕掛けはないですね。行きましょうか……」
ゆっくりと扉を開く。ゴウンゴウンと機械音が響く薄暗い部屋だ。
最初に入ったところと同じようにたくさんの試験管が並んでいる。すべて低い音を上げながら稼働しているようだ……
嫌な予感はしたが目を凝らして試験管の中身を覗いたが、液体で満たされているだけに見える。
「なんにも入っていないのか……?」
俺はそっと試験管に手を伸ばし診察で中身を確かめようとする。
「止めるニャダイゴロー!」「止めておけダイゴロー!」
ユキミとネズラースに制止される。しかし、すでに俺の魔法は発動している。
そして、事実を、真実を一瞬で把握してしまう。
「グベ……オウェェェェエ……」
一気に噴出する胃液を抑えられなかった……
突っ伏して胃の中が空になるまで吐き続けなければ、今知ってしまった事実の重みに耐えられそうもなかった……
「大丈夫かダイゴロー?」
「その反応は……やっぱりそうなのかニャ……」
「何なんだよ皆? 全然分かんねーぞ?」
「……あれは……生物の集合体です……大量の生物が……混ぜ合わせて、なかなか死なないようにいじられて……そして、永遠の苦痛を与えられ……」
「『穢』を生産する機械として生かされている……」
よく見れば、各試験管から頭上のパイプを伝ってある一箇所に集められている。
黒く禍々しい液体が一箇所に集められている。
「こんな方法……思いつくのか……信じられない……今も、この瞬間もこの中で地獄のような苦しみを受けている魂があるんだぞ!」
俺は床に拳を叩きつける!
もう、この人達は救うことは出来ない、人なのか、意識があるのか、そこまでは探れなかったが、どんな苦しみを与えられているかはわかる。
魂が悲鳴を苦しみの叫びをあげ、その魔力を『穢』へと変質させられていた。
死ぬことも出来ず、延々と……
「止めましょう……せめて、それが……彼らに出来る唯一の手段だ」
俺は全てが集められている機械を慎重に探る。
操作盤は実験室と同じように魔力を通せば起動しそうだ……
「ここから操作できるはずだ……」
魔力を送り始めると、先ほどと同じように空中にディスプレイが現れていく。
この部屋の機械を停止させる方法を探していく。
魔力を通して俺の思うように作業が進行しているのがわかる。
この設備を停止させることは、言ってみれば大量の魂の活動を止めることになる。
生物としての定義はこの際置いておくとしても、大量の殺人に他ならない……
そう考えてしまうと何も入っていない胃がギリギリと痛み始める。
「ダイゴロー……一人で抱えないでニャ……私も一緒に背負うニャ……」
そっとユキミが手を添えてくれる。
「私も共犯だ……」
ネズラースがそっと手の上に乗ってくる。
「ダイゴロー! お前は救ってやるんだ!
後悔する必要はない! 俺が証言してやる! お前は救うんだ!」
キンドゥもこの場での所業が許せないらしく、その気持を俺への応援に乗せている。
他のメンバーもハラワタが煮えくり返っているだろう……
ここに入れられている人達は、人間でも獣人でも動物でもない何かに変えられ、個体もなく混ぜられて、永遠の苦しみを与えられ続けているのだ……
あまりに救いが無いじゃないか……!
「これで、解放されてくれ……」
俺は祈るように設備の停止を指示する。
「……変わらない……?」
相変わらず何の変化もなく稼働している。
「どういうことだ?」
ネズラースも不思議そうに画面を見つめている。
ユキミは表示されている文字が理解できないのかキョロキョロと周囲を伺っている。
「どうしたんだダイゴロー? 何も変わっていないみたいだが?」
「いや、停止はこれでいいはずなんだけど……」
「……みんな気をつけろ……精霊の声が……消えたぞ……」
マジさんのその言葉が引き金のように表示されている画面が一斉に真っ赤に染まる。
そしてすべての画面が一つの言葉を表示していた。
【見つけたぞ】
次の瞬間、急に落下した。
床が消えるとかそういう兆候は無かった。
本当にいきなり、どこかへ放り出され、落下する……
「ウオオオオオォォォォォ……!!」
俺は全員につながる魔導繊維に全力の強化を流し込み引き寄せる!
反応がない!
キンドゥもマジもルペルもゴーザもムラマサも糸の先に何も付いていない……
「なんニャ!? 何が起きてるニャ!!」
「落ち着くんだ、どうやら我々だけ飛ばされたようだ……罠だったのか……」
「ダイゴロー様……怖い……」
ユキミとネズラース、それにフィーはいるみたいだ。
だが落下は止まらない。
突然身体が横に急激に引っ張られる感覚がする。
「出るぞ! 気をつけろ!」
ネズラースが皆に注意喚起をする。
俺もその声に従って身構える。と、言ってもどっちが上でしたかもわからないから自分自身と皆に強化をしっかりとかけておく。
この状態ならよほどのことが起きなければ対応できるはずだ……
目の前が真っ白になり、思わず目を閉じてしまう。
ボキリ……ぐちゃり……
背筋を撫でるような気色の悪い音がする。
気がつけば、地に足をつけている感覚がする。
恐る恐る目を開けば、そこは……
地獄だった。
これ以外の扉は全て調べてある。
他の扉に比べると作りが重厚で豪華だ。
この施設にとって大事な部屋であることは疑いようもない。
「ここは雰囲気が違うニャ……」
「扉には特に仕掛けはないですね。行きましょうか……」
ゆっくりと扉を開く。ゴウンゴウンと機械音が響く薄暗い部屋だ。
最初に入ったところと同じようにたくさんの試験管が並んでいる。すべて低い音を上げながら稼働しているようだ……
嫌な予感はしたが目を凝らして試験管の中身を覗いたが、液体で満たされているだけに見える。
「なんにも入っていないのか……?」
俺はそっと試験管に手を伸ばし診察で中身を確かめようとする。
「止めるニャダイゴロー!」「止めておけダイゴロー!」
ユキミとネズラースに制止される。しかし、すでに俺の魔法は発動している。
そして、事実を、真実を一瞬で把握してしまう。
「グベ……オウェェェェエ……」
一気に噴出する胃液を抑えられなかった……
突っ伏して胃の中が空になるまで吐き続けなければ、今知ってしまった事実の重みに耐えられそうもなかった……
「大丈夫かダイゴロー?」
「その反応は……やっぱりそうなのかニャ……」
「何なんだよ皆? 全然分かんねーぞ?」
「……あれは……生物の集合体です……大量の生物が……混ぜ合わせて、なかなか死なないようにいじられて……そして、永遠の苦痛を与えられ……」
「『穢』を生産する機械として生かされている……」
よく見れば、各試験管から頭上のパイプを伝ってある一箇所に集められている。
黒く禍々しい液体が一箇所に集められている。
「こんな方法……思いつくのか……信じられない……今も、この瞬間もこの中で地獄のような苦しみを受けている魂があるんだぞ!」
俺は床に拳を叩きつける!
もう、この人達は救うことは出来ない、人なのか、意識があるのか、そこまでは探れなかったが、どんな苦しみを与えられているかはわかる。
魂が悲鳴を苦しみの叫びをあげ、その魔力を『穢』へと変質させられていた。
死ぬことも出来ず、延々と……
「止めましょう……せめて、それが……彼らに出来る唯一の手段だ」
俺は全てが集められている機械を慎重に探る。
操作盤は実験室と同じように魔力を通せば起動しそうだ……
「ここから操作できるはずだ……」
魔力を送り始めると、先ほどと同じように空中にディスプレイが現れていく。
この部屋の機械を停止させる方法を探していく。
魔力を通して俺の思うように作業が進行しているのがわかる。
この設備を停止させることは、言ってみれば大量の魂の活動を止めることになる。
生物としての定義はこの際置いておくとしても、大量の殺人に他ならない……
そう考えてしまうと何も入っていない胃がギリギリと痛み始める。
「ダイゴロー……一人で抱えないでニャ……私も一緒に背負うニャ……」
そっとユキミが手を添えてくれる。
「私も共犯だ……」
ネズラースがそっと手の上に乗ってくる。
「ダイゴロー! お前は救ってやるんだ!
後悔する必要はない! 俺が証言してやる! お前は救うんだ!」
キンドゥもこの場での所業が許せないらしく、その気持を俺への応援に乗せている。
他のメンバーもハラワタが煮えくり返っているだろう……
ここに入れられている人達は、人間でも獣人でも動物でもない何かに変えられ、個体もなく混ぜられて、永遠の苦しみを与えられ続けているのだ……
あまりに救いが無いじゃないか……!
「これで、解放されてくれ……」
俺は祈るように設備の停止を指示する。
「……変わらない……?」
相変わらず何の変化もなく稼働している。
「どういうことだ?」
ネズラースも不思議そうに画面を見つめている。
ユキミは表示されている文字が理解できないのかキョロキョロと周囲を伺っている。
「どうしたんだダイゴロー? 何も変わっていないみたいだが?」
「いや、停止はこれでいいはずなんだけど……」
「……みんな気をつけろ……精霊の声が……消えたぞ……」
マジさんのその言葉が引き金のように表示されている画面が一斉に真っ赤に染まる。
そしてすべての画面が一つの言葉を表示していた。
【見つけたぞ】
次の瞬間、急に落下した。
床が消えるとかそういう兆候は無かった。
本当にいきなり、どこかへ放り出され、落下する……
「ウオオオオオォォォォォ……!!」
俺は全員につながる魔導繊維に全力の強化を流し込み引き寄せる!
反応がない!
キンドゥもマジもルペルもゴーザもムラマサも糸の先に何も付いていない……
「なんニャ!? 何が起きてるニャ!!」
「落ち着くんだ、どうやら我々だけ飛ばされたようだ……罠だったのか……」
「ダイゴロー様……怖い……」
ユキミとネズラース、それにフィーはいるみたいだ。
だが落下は止まらない。
突然身体が横に急激に引っ張られる感覚がする。
「出るぞ! 気をつけろ!」
ネズラースが皆に注意喚起をする。
俺もその声に従って身構える。と、言ってもどっちが上でしたかもわからないから自分自身と皆に強化をしっかりとかけておく。
この状態ならよほどのことが起きなければ対応できるはずだ……
目の前が真っ白になり、思わず目を閉じてしまう。
ボキリ……ぐちゃり……
背筋を撫でるような気色の悪い音がする。
気がつけば、地に足をつけている感覚がする。
恐る恐る目を開けば、そこは……
地獄だった。
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