外道魔術師転生から始まる異世界動物のお医者さん
51話 旅立ち
「ダイゴローいつでも帰ってこいよー!」
「ダイゴロー殿、貴方に言われたようにこの村は出来る限り安全な環境を迷い人や来る人間に提供する。
お世話になった。ありがとう!」
「ダイゴロー、うちの人の腕。ありがとう。私も、もう、ありがとう!」
「腕の恩は忘れない! 俺がこの村を守っていく! 達者でな!」
皆に送られて村を後にする。
お互いに昨日醜態を晒したので気恥ずかしい。
ワースとスフィアは頑張りすぎて腰痛になって治療したし……
ま、湿っぽい別れよりもこの方がいい。
俺はトットと一緒に村の皆が見えなくなるまで手を振り続けた。
「ここからその村までは2日だな、途中仮眠所がある。
木の上に作ってあるから襲われにくい」
「そしたらトットの帰り道が危険じゃないか?」
「普通ならそこら辺の浅いところに魔物は出ないから火を炊いておけばまず大丈夫だ。
初めてあった時はなんであんな浅い場所に魔物が居たのか……
だが、あれが異常事態だし、しかも今はこれが有る」
トットが取り出したのは筒状の魔道具だ。
火の魔法が封じ込められており、火炎放射器のように使える。
魔力が無いものでも使える優れものだ。
街の備えのために商人から購入した選別代わりの品物になる。
「木の上の休憩所も作った当時は誇らしかったが、あの村でのダイゴローの建築のせいで自慢にもならないなぁ……」
「いやー、皆で作ったじゃないか、俺が作ったわけじゃないさ」
「いやー、その強化の魔法がなければあの規模の村を作るのにどれだけの時間がかかったことか……」
「まぁ、便利だよね。木でも石でも果物みたいに切れるからねぇ」
「闘いでは使えないんだろ?」
「そうだなぁ、激しい動きの中じゃぁとても無理だな。
ただ、強度上げたりは出来るから全くダメじゃないけどね」
「ワースが何しようが刃こぼれも起こさない剣なんて恐怖でしか無いって驚いてたよな」
村で過ごす間、元闘士であるワースさんから剣技も指導してもらった。
まだまだまだまだ、では有るものの以前よりもだいぶ使えるようになってきた。
ゴリラだった頃より圧倒的な持続力で粉砕ってわけにはいかない。
あ、そうだ。
どうやらあの地下生活の影響か、身体に肉がつきにくくなっていた。
それなりに食生活が安定した村の生活を経ても、筋肉は大きくならなかった。
相変わらず、まぁ瞬発力的には以前よりもいいかもしれないけど、丸太を5本担いだり、軽々と拳で粉砕はできなくなっていた。
丸太は2本ぐらいしか担いで運べないし、結構頑張らないと粉砕は難しい。
今は蹴ったほうが早く粉砕できる……衰えたなぁ……
「お、ここだここだ」
トットが大きな木に刻まれた目印を発見する。
時間的にはまだ夕方で拠点を発見できたのは僥倖だ。
見上げると木の上にツリーハウスが見える。
もちろん大きなものではないが、しっかりとした作りで、ここに拠点を作った時の苦労が忍ばれる。
「素敵なツリーハウスだな。誰が作ったんだ?」
「今のメンバーも手伝っている。別の村に行ったやつも居るが10人ほどで3日がかりで作ったんだ。
こんなとこにこんなもの作るんだから、怖いもの知らずだよな」
「みんなの苦労の上で成り立っているんだ。感謝して使わせてもらおう」
トットは慣れた手つきで高い位置に設置されたハシゴを降ろしてくる。
「こうしておけば、危険な動物は入り込まない。
やっぱり狼と野犬が危険だからな。
上に上がったら引き上げれば夜の安全も保たれるって寸法さ」
「よく考えられているな」
「まぁ、上で見ればわかるけど、村の家とは比べ物にならないけどな。
それでも当時の俺らにとっては城だった」
トットは目を細めて懐かしそうにツリーハウスを見上げている。
当時の事を思い出しているんだろう。
「すまんな、少し鑑賞に浸ってしまった……日も暮れ始めた。上がって今日は休むとしよう」
「ああ、そうだな」
降ろされたハシゴを昇る。木製だが丁寧に作られたいい仕事をしている。
握りやすく、ハシゴの幅も非常に力を込めやすく登りやすい。
使う人間の気持ちになって作られた一級品だとわかる。
上に登り、ツリーハウスを見てまた驚く。
凸凹とした板を組み合わせただけのように見えるが、非常に計算され尽くしている。
足場は太くしっかりとした木材を丁寧に重ね合わせており、安心感のを与えてくれる。
壁面に組まれた板も一見凸凹しているが、それらが組み合わさることで味がある風合いを作り出している。
全体的に計算を尽くした作りに俺は感心するしかなかった。
「驚いてるだろ」
トットの誇らしげな声も当然だ、これらを自分たちで作ったという事実はどれだけ誇らしいことだろう。
俺は、この最上の仕事に対して最大限の賛辞を持って応じるしか手段を持たない。
「なんというすば「いやー、今見るとほんとすごいな。適当だよなー、そこの壁とかもともと床にするつもりがいつの間にか丸太を切ってきただけなのを適当に並べて床作っててさぁ、どう考えたって足場が弱いから必死で組み直して、特に壁なんて最悪だろ? ほんとは床になるものを順番も適当にとりあえず壁にしましたって作ってるからもうガタガタ、最低なんだよ。
まぁ多めに筵と皮持ってきてるからさ、我慢してくれよ」
隙間風がすごかった、こんな適当なもの作りやがって、死ね。
俺は眠りについた。
「ダイゴロー殿、貴方に言われたようにこの村は出来る限り安全な環境を迷い人や来る人間に提供する。
お世話になった。ありがとう!」
「ダイゴロー、うちの人の腕。ありがとう。私も、もう、ありがとう!」
「腕の恩は忘れない! 俺がこの村を守っていく! 達者でな!」
皆に送られて村を後にする。
お互いに昨日醜態を晒したので気恥ずかしい。
ワースとスフィアは頑張りすぎて腰痛になって治療したし……
ま、湿っぽい別れよりもこの方がいい。
俺はトットと一緒に村の皆が見えなくなるまで手を振り続けた。
「ここからその村までは2日だな、途中仮眠所がある。
木の上に作ってあるから襲われにくい」
「そしたらトットの帰り道が危険じゃないか?」
「普通ならそこら辺の浅いところに魔物は出ないから火を炊いておけばまず大丈夫だ。
初めてあった時はなんであんな浅い場所に魔物が居たのか……
だが、あれが異常事態だし、しかも今はこれが有る」
トットが取り出したのは筒状の魔道具だ。
火の魔法が封じ込められており、火炎放射器のように使える。
魔力が無いものでも使える優れものだ。
街の備えのために商人から購入した選別代わりの品物になる。
「木の上の休憩所も作った当時は誇らしかったが、あの村でのダイゴローの建築のせいで自慢にもならないなぁ……」
「いやー、皆で作ったじゃないか、俺が作ったわけじゃないさ」
「いやー、その強化の魔法がなければあの規模の村を作るのにどれだけの時間がかかったことか……」
「まぁ、便利だよね。木でも石でも果物みたいに切れるからねぇ」
「闘いでは使えないんだろ?」
「そうだなぁ、激しい動きの中じゃぁとても無理だな。
ただ、強度上げたりは出来るから全くダメじゃないけどね」
「ワースが何しようが刃こぼれも起こさない剣なんて恐怖でしか無いって驚いてたよな」
村で過ごす間、元闘士であるワースさんから剣技も指導してもらった。
まだまだまだまだ、では有るものの以前よりもだいぶ使えるようになってきた。
ゴリラだった頃より圧倒的な持続力で粉砕ってわけにはいかない。
あ、そうだ。
どうやらあの地下生活の影響か、身体に肉がつきにくくなっていた。
それなりに食生活が安定した村の生活を経ても、筋肉は大きくならなかった。
相変わらず、まぁ瞬発力的には以前よりもいいかもしれないけど、丸太を5本担いだり、軽々と拳で粉砕はできなくなっていた。
丸太は2本ぐらいしか担いで運べないし、結構頑張らないと粉砕は難しい。
今は蹴ったほうが早く粉砕できる……衰えたなぁ……
「お、ここだここだ」
トットが大きな木に刻まれた目印を発見する。
時間的にはまだ夕方で拠点を発見できたのは僥倖だ。
見上げると木の上にツリーハウスが見える。
もちろん大きなものではないが、しっかりとした作りで、ここに拠点を作った時の苦労が忍ばれる。
「素敵なツリーハウスだな。誰が作ったんだ?」
「今のメンバーも手伝っている。別の村に行ったやつも居るが10人ほどで3日がかりで作ったんだ。
こんなとこにこんなもの作るんだから、怖いもの知らずだよな」
「みんなの苦労の上で成り立っているんだ。感謝して使わせてもらおう」
トットは慣れた手つきで高い位置に設置されたハシゴを降ろしてくる。
「こうしておけば、危険な動物は入り込まない。
やっぱり狼と野犬が危険だからな。
上に上がったら引き上げれば夜の安全も保たれるって寸法さ」
「よく考えられているな」
「まぁ、上で見ればわかるけど、村の家とは比べ物にならないけどな。
それでも当時の俺らにとっては城だった」
トットは目を細めて懐かしそうにツリーハウスを見上げている。
当時の事を思い出しているんだろう。
「すまんな、少し鑑賞に浸ってしまった……日も暮れ始めた。上がって今日は休むとしよう」
「ああ、そうだな」
降ろされたハシゴを昇る。木製だが丁寧に作られたいい仕事をしている。
握りやすく、ハシゴの幅も非常に力を込めやすく登りやすい。
使う人間の気持ちになって作られた一級品だとわかる。
上に登り、ツリーハウスを見てまた驚く。
凸凹とした板を組み合わせただけのように見えるが、非常に計算され尽くしている。
足場は太くしっかりとした木材を丁寧に重ね合わせており、安心感のを与えてくれる。
壁面に組まれた板も一見凸凹しているが、それらが組み合わさることで味がある風合いを作り出している。
全体的に計算を尽くした作りに俺は感心するしかなかった。
「驚いてるだろ」
トットの誇らしげな声も当然だ、これらを自分たちで作ったという事実はどれだけ誇らしいことだろう。
俺は、この最上の仕事に対して最大限の賛辞を持って応じるしか手段を持たない。
「なんというすば「いやー、今見るとほんとすごいな。適当だよなー、そこの壁とかもともと床にするつもりがいつの間にか丸太を切ってきただけなのを適当に並べて床作っててさぁ、どう考えたって足場が弱いから必死で組み直して、特に壁なんて最悪だろ? ほんとは床になるものを順番も適当にとりあえず壁にしましたって作ってるからもうガタガタ、最低なんだよ。
まぁ多めに筵と皮持ってきてるからさ、我慢してくれよ」
隙間風がすごかった、こんな適当なもの作りやがって、死ね。
俺は眠りについた。
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